電気料金が高い! 電気料金の請求明細を見てみましょう!
ファイナンシャルフィールド / 2022年12月12日 6時0分
2022年になって、特に各家庭でも電気料金が高騰していることがヒシヒシと感じられます。 毎月の電気料金の請求明細では、合計請求金額しか見ないという方も多いのかもしれませんが、電気料金の高騰の理由には使用する電力量の多寡のみならず、請求の内訳ごとの単価の上昇が大きく影響しています。 あらためて標準的な電気料金の内訳の構造や、主な料金高騰の原因となっている「燃料費調整額」「再エネ促進賦課金」の単価推移などを確認したいと思います。
電気料金の標準的な構成要素
電力会社やお住まいの地域などによって違いがありますが、標準的な電気料金の金額を決定する構成要素には以下の4つがあり、通常、毎月の電気料金の請求明細を見るとそれぞれの金額を確認することができます。
以下、平均的なモデルケースとして、東京電力エナジーパートナーの従量制での契約内容を参考に記載します。
(1)基本料金
電気の使用量の多寡にかかわらず、毎月固定でかかる料金となります。ただし、契約する際のアンペア容量の大きさによって基本料金が決められている、いわゆる「アンペア制」が一般的です(ほかに「最低料金制」の地域もあり)。
(2)電力量料金
使用期間に消費した電力量に応じて、従量的にかかる料金です。電力使用量は「kWh」という単位が使用されますが、1kWの電力を1時間消費したときの電力量を表しています。
電力量料金は三段階となっており、最初の120kWhまでが第1段階料金、120kWh超300kWhまでが第2段階料金、300kWh超が第3段階料金となっています。それぞれの料金単価の設定は、第1段階<第2段階<第3段階となっているため、電力を多く使用するほど割高となります。
(3)燃料費調整額
(4)再エネ促進賦課金
燃料費調整額と再エネ促進賦課金は次の段落で説明しますが、共通でいえることは、基本料金を除いた3つの構成要素について、いずれもそれぞれの単価設定に基づき、使用電力量に比例して算出される点です。
各家庭で省エネの実践により、ある程度は電気料金の節約はできますが、単価自体が高騰し続けることで限界と感じてしまう場合もあるでしょう。
燃料費調整額と再エネ促進賦課金
燃料費調整額とは、電気を作るために使用する燃料である原油や石炭などの価格の変動を、電気料金に反映させるための調整額となります。
当然、燃料の価格が上昇すれば燃料費調整額も上昇します。下記の表にあるとおり、近年はマイナスの調整額(利用者の負担減)で推移していたものが、ロシアによるウクライナ侵攻が開始された2022年2月からはプラスの調整額(負担増)となり、以後、毎月上昇し続けている状況です。
再エネ促進賦課金(再生可能エネルギー発電促進賦課金)とは、地球温暖化防止の対策として再生可能エネルギーの普及を進めるため、電気の利用者が消費電力量に応じて電気料金と一緒に支払う負担金のようなものです。
この背景には、電気事業者が一定期間再生可能エネルギーで作られた電気を固定料金で買い取ることを法律で義務付けた、固定価格買取制度(FIT)があります。
つまり、一般家庭を含めた電気の利用者がそれぞれ使用した電力量に応じて、FITの一部を負担し、再生可能エネルギーの普及促進につなげていこうとするものです。
こちらの単価についても2012年の制度開始以来、年々上昇する傾向が続いています。
平均モデルとして、東京電力エナジーパートナー(関東エリア)の従量電灯B、30A契約の消費税等込みでの単価の推移は表1のとおりです。
【表1】
※東京電力エナジーパートナー 「過去の燃料費調整のお知らせ一覧」より筆者作成
まとめ
政府は2023年1月分から、家庭や企業での電気・都市ガス料金の負担軽減策を実施しますが、急激な円安の状況も続いています。
「この冬は例年以上に寒さが厳しい」などの予測も聞かれますが、このような気候変動の要因には、地球温暖化という環境問題があるのでしょう。燃料価格の高騰には世界情勢の影響もあるものの、わが国のエネルギー問題について真剣に考え、取り組むべき時が来ているのかもしれません。
出典
東京電力エナジーパートナー 過去の燃料費調整のお知らせ一覧
執筆者:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー
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