60歳で定年退職して年金をもらうまで5年間。必要なお金はどれくらい?
ファイナンシャルフィールド / 2022年12月14日 23時30分
近年では定年年齢が65歳に引き上げられている企業も増加している傾向がありますが、一般的な定年年齢というとやはり60歳です。 しかし、定年退職後の主な収入源となる年金の支給は、基本的には65歳からとなっています。60歳で定年退職してから65歳の年金支給までは、勤務延長や再雇用、転職などをして働く方も多いでしょうが、もし、60歳からの5年間に収入がなかったら、支出だけが発生する期間にどの程度お金が必要なのでしょうか。 そこで本記事では、厚生労働省などの資料をもとに、60歳から年金をもらうまでの5年間に必要なお金はどれくらいなのかを解説します。
60~64歳で二人以上世帯、無職の方の月間消費支出
総務省「家計調査 家計収支編 2022年10月」によると、60~64歳の二人以上の世帯で無職の方の月間平均の消費支出は30万6162円となっています。月間平均の消費支出から、60歳から5年間(60ヶ月)で発生する消費支出の金額を単純計算すると、以下のとおりになります。
・30万6162円×60ヶ月=1836万9720円
月間平均の消費支出の内訳は、図表1のとおりです。
【図表1】
食料 | 8万8014円 |
住居 | 2万7613円 |
光熱・水道 | 2万3903円 |
家具・家事用品 | 1万693円 |
被服及び履物 | 1万1939円 |
保健医療 | 2万1973円 |
交通・通信 | 3万1556円 |
教育 | 84円 |
教養娯楽 | 4万1166円 |
その他の消費支出 | 4万9220円 |
総務省「家計調査 家計収支編 二人以上の世帯 詳細結果表 2022年10月」より筆者作成
図表1に計上されているのは消費支出のみです。したがって、税金などの非消費支出を考慮すると、さらに必要な金額は増えると考えられます。
医療費や介護費などへの備えも考慮しておこう
図表1にまとめた、月間平均の支出額では、保険・医療に対する支出額が約2万円となっています。病気での入院や手術が必要な場合や両親の介護費用などを考えると、平均額の月間約2万円の支出を超えることも考えられます。
また、2022年10月1日からは、75歳以上で一定以上の所得がある方について、医療費の窓口負担割合が1割から2割、現役並みは3割に見直されることが決まっています。特に、見直しの対象に当てはまる方は、医療費や介護費などへの備えもしっかり考えておきましょう。
退職金で60歳からの5年間の消費支出をカバーできるか
年金に加えて、定年退職後の老後資金の大きな割合を占めるのが退職金です。退職金で60歳の定年から年金をもらうまでの5年間の消費支出の金額をカバーできるかを見ていきましょう。
厚生労働省「平成30年就労条件総合調査」の資料から、平成29年1年間における勤続20年以上、かつ45歳以上の退職者に支給された退職金の平均金額は図表2のとおりです。
【図表2】
大学卒(管理・事務・技術職) | 1983万円 |
高校卒(管理・事務・技術職) | 1618万円 |
高校卒(現業職) | 1159万円 |
厚生労働省「平成30年就労条件総合調査 結果の概況」より筆者作成
図表2を見ると、管理・事務・技術職に従事していた方なら、退職金で5年間の消費支出をカバーすることは可能です。
ただし、年金の支給開始までに退職金を使い切ってしまうのは老後の資金計画にも不安が残りますので、やはり現役時代の貯金が重要といってよいでしょう。
70歳までの就業機会の確保や定年制の廃止が努力義務に
厚生労働省「平成29年就労条件総合調査 結果の概況」の資料を見ると、定年制を定めている企業のうち、60歳定年の企業は全体の79.3%、65歳は16.4%です。
2021年に改正された「高年齢者雇用安定法」では、70歳までの就業機会の確保が努力義務とされています。これには、定年制を廃止することも含まれます。
60歳定年から年金支給まで余裕をみて確保しておきたい
総務省「家計調査 家計収支編 2022年10月」の資料より平均の消費支出から単純計算すると、定年退職の60歳から年金が支給される65歳までに必要な消費支出の金額は約1837万円です。
ただし、医療費や税金などの支出を考えると、余裕をみて5年間に必要な費用を用意しておきたいところです。年金が支給される65歳までは、働いて生活費を稼ぐのもひとつの方法です。
また、老後に必要な資金を知ったうえで、現役のうちから貯蓄・投資を行うなどの対策をして、必要なお金を準備しておくようにしましょう。
出典
総務省 家計調査 家計収支編 二人以上の世帯 詳細結果表 2022年10月
厚生労働省 平成29年就労条件総合調査 結果の概況 2 定年制等
厚生労働省 平成30年就労条件総合調査 結果の概況 4 退職給付(一時金・年金)の支給実態
厚生労働省 高年齢者雇用安定法改正の概要
厚生労働省 後期高齢者の窓口負担割合の変更等(令和3年法律改正について)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
監修:高橋庸夫
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