ワーク・ライフ・バランスが取れていると感じている人と年収の関係性は?
ファイナンシャルフィールド / 2022年12月18日 3時10分
コロナ禍以降、自分にとって大切な時間について考え、以前よりも仕事や家庭、生活に対して積極的に向かい合うようになった方もいるのではないでしょうか。 こうした流れから、昨今の働き方改革の1つとして提唱されてきた「ワーク・ライフ・バランス」がさらに重視されるようになりましたが、ここでは仕事とプライベートのバランスが取りやすい就労環境などについて確認していきましょう。
企業側の取り組みから分析
仕事(ワーク)と生活(ライフ)のバランスを取るための企業の制度としては、フレックスタイム制や半休・時間単位の休暇などがあります。
こうした制度に対して企業が積極的な取り組みや支援を行っているか、その指標となるのが、ワーク・ライフ・バランスの推進を経営方針などとして掲げ、専任の組織や担当者を設けているかという点です。
内閣府 男女共同参画局が企業を対象に行ったアンケート調査(平成30年度)の結果では、ワーク・ライフ・バランスの推進に対する経営方針や組織の有無について以下のとおりとなっています。
正社員数 | 経営方針・推進組織あり | 経営方針・推進組織なし |
---|---|---|
101~300人 | 16.0% | 52.5% |
301~1000人 | 25.9% | 36.2% |
1000人以上 | 46.3% | 19.9% |
※内閣府 男女共同参画局 仕事と生活の調和推進室「仕事と生活の調和」推進サイト 「関連資料リスト・調査研究」より筆者作成
正社員数別の結果から、企業規模が大きくなるほど経営課題として位置づけられていることが多いと考えられるので、ワーク・ライフ・バランスが取りやすい就労環境といえるかもしれません。
ワーク・ライフ・バランスが取れている実感は?
働く側から見て希望どおりのワーク・ライフ・バランスが取れているのか、その実態はどうでしょうか。
同じく男女共同参画局が個人に対して行ったアンケート調査(平成30年度)の結果から、「仕事」「家庭生活」「地域社会・個人の生活等」のバランスが希望どおりとなっているか、働き方(正社員、非正規雇用、雇用者以外)ごとに比較します。
希望どおりのバランス | 希望と不一致 | 不本意ながら ワークを優先 |
不本意ながら ライフを優先 |
||
---|---|---|---|---|---|
正社員 | 男 | 42.0% | 58.0% | 46.6% | 3.4% |
女 | 45.8% | 54.2% | 42.7% | 4.1% | |
非正規雇用 (非正規社員) |
男 | 49.2% | 50.8% | 33.0% | 4.8% |
女 | 61.4% | 38.6% | 26.8% | 3.6% | |
雇用者以外 (自営業など) |
男 | 52.5% | 47.5% | 31.4% | 4.6% |
女 | 55.7% | 44.3% | 26.6% | 7.6% |
※内閣府 男女共同参画局 仕事と生活の調和推進室「仕事と生活の調和」推進サイト 「関連資料リスト・調査研究」より筆者作成
希望と実際のバランスに不一致があるという回答では、正社員の男性が最も多い割合で、次に正社員の女性となっています。
一方、希望どおりのバランスで働いているという回答の割合では、非正規雇用の女性、続いて雇用者以外の女性が多くなっており、全体でも男性より女性の方がバランスが取れている傾向がうかがえます。
希望どおりのバランスとなっているかの回答について、正社員は男女ともに他の働き方より割合が低くなっていますが、前述した企業による取り組みの結果と合わせると、おそらく企業規模が小さい会社では、ライフ・ワーク・バランスが希望に見合ってないことが多いと考えられます。
ただし、不本意ながらライフを優先しているという項目を見ると、全体的に割合は低いものの、他の働き方や性別と比較して非雇用者の女性の回答が多くなっていることから、もっと働きたい、収入を得たいと感じている自営業やフリーランスの女性の方がいるのではないでしょうか。
平均給与とワーク・ライフ・バランスの関係
ここまで確認してきたアンケート調査の結果では、正社員より非正規雇用、非正規雇用よりフリーランスや自営業といった雇用者以外、また男性より女性の方がワーク・ライフ・バランスは取れているようです。
ただし、中には不本意ながら仕事を優先、あるいは生活を優先というバランスになっているケースもあります。
もちろん、例えば子育てなど個別の事情もあるかと思いますが、仕事と生活のバランスについてどちらを重視するべきか、働き方と収入面から自分に合ったワーク・ライフ・バランスを考える場合もあるでしょう。
参考までに、統計を基にした働き方・性別ごとの平均年収は以下のとおりとなっています。
平均年収 | ||
---|---|---|
正社員(男) | 小企業 | 371.8万円 |
中企業 | 407.5万円 | |
大企業 | 471.6万円 | |
正社員(女) | 小企業 | 294.5万円 |
中企業 | 321.6万円 | |
大企業 | 360.3万円 | |
非正規雇用(男) | 227.6万円 | |
非正規雇用(女) | 153.2万円 | |
非雇用者(ただし中央値) | 241万円 |
※国税庁 長官官房 企画課 「令和2年分 民間給与実態統計調査 -調査結果報告-」、厚生労働省 「令和3年賃金構造基本統計調査 結果の概要」を基に筆者作成
なお、収入の幅が広い非雇用者の年収については中央値としており、最頻値の135万円~185万円未満(14.3%)、185万円~235万円(13.9%)、335万円~435万円(13.6%)を基に計算しています。
まとめ
アンケート調査の結果では、希望どおりのワーク・ライフ・バランスが取れているのは非正規雇用や非雇用者が多くなっている一方で、働き方により平均年収は下がる傾向が見られました。
ただし、フリーランスや自営業など非雇用者の年収については幅が非常に幅広く、一概には当てはまらないともいえます。
収入を重視するか、それとも生活も大切にしてワーク・ライフ・バランスを優先するか、働き方について考える際の1つの参考としてください。
出典
内閣府 男女共同参画局 仕事と生活の調和推進室「仕事と生活の調和」推進サイト 関連資料リスト・調査研究
厚生労働省 令和3年賃金構造基本統計調査 結果の概要
国税庁 長官官房 企画課 令和2年分 民間給与実態統計調査 -調査結果報告-
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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