「iDeCo」と「企業型DC」を併用する場合の注意点とは?
ファイナンシャルフィールド / 2022年12月16日 12時30分
2022年10月より、企業型DC加入者のiDeCoに加入できる要件が緩和されました。これに伴い、iDeCoに加入できるようになったという人もいるのではないでしょうか。 本記事は、iDeCoと企業型DCを併用する場合の注意点について解説します。「iDeCoに加入できるようになったのは良いけど、何か注意すべきことがあるのではないか」と思われる人は、参考にしてみてください。
iDeCoと企業型DCを併用できる条件
iDeCoと企業型DCを併用するためには、以下の条件を満たす必要があります。
・掛金(企業型DC・iDeCo)が各月拠出である
・iDeCoの掛金額が、企業型DCの事業主掛金額と合算して各月の拠出限度額を超えていない
・企業型DCの加入者掛金を拠出(マッチング拠出)していない
掛金を各月拠出にする必要があります。会社によっては、掛金が年単位拠出となっていることがあります。年単位拠出の場合、iDeCoに加入することができません。拠出については会社ごとの「企業型DC規約」に規定されていますので、そちらで確認する必要があります。
企業型DCと併用する場合のiDeCo拠出限度額は、月額2万円です。ただし、企業型DCの事業主掛金と合算して5万5000円を超えることはできません。
企業型DCに加入している方は、加入者掛金の拠出(マッチング拠出)を行うことができます。しかし、その場合、iDeCoに加入することはできません。反対に、iDeCoに加入した場合は、加入者掛金を拠出することができません。
iDeCoとマッチング拠出の拠出額における差異
企業型DCの掛金は、事業主(会社)が負担します。iDeCoもマッチング拠出も、この上に自身の掛金を上乗せするという点では同じです。
企業型DCの掛金の上限は、5万5000円です。iDeCoに加入した場合であっても、マッチング拠出を選択した場合であっても、事業主の掛金と自身が拠出する掛金の合計額は、5万5000円が上限となります。
iDeCoとマッチング拠出では、自身の拠出限度額は異なります。iDeCoの場合、自身の拠出限度額は月額2万円です。マッチング拠出の場合、自身の拠出限度額は「事業主の掛金額」です。
自身の拠出限度額の違いは、微妙なところで差が出ます。例えば、会社の掛金が2万7500円だとしましょう。iDeCoに加入した場合、自身の拠出限度額は2万円ですので、掛金の合計額は4万7500円です。
一方、マッチング拠出を選択した場合、自身の拠出限度額は「会社の掛金額」ですので、2万7500円です。会社の掛金と合計すると、5万5000円となります。この例では、マッチング拠出を選択した方が、掛金の合計額は大きくなります。
違う例を挙げます。今度は、会社の拠出金額が1万5000円だとしましょう。iDeCoに加入した場合、自身の拠出限度額は2万円ですので、掛金の合計額は3万5000円です。一方、マッチング拠出を選択した場合、自身の拠出限度額は「会社の掛金額」ですので、1万5000円です。会社の掛金と合計すると、3万円となります。この例では、iDeCoに加入した方が、掛金の合計額は大きくなります。
なお、会社の拠出金額が2万円のとき、または会社の拠出金額が3万5000円以上のときは、拠出金額における差異は生じません。
まとめ
iDeCoとマッチング拠出は選択制であり、いずれか一方しか選択できません。判断基準として、掛金の合計額(最大)を挙げました。違いは以下のとおりです。
・会社の掛金額が2万円未満のとき、掛金合計額(最大)はiDeCoを選択したときの方が多い
・会社の掛金額が2万円のとき、掛金合計額(最大)に差はない(4万円)
・会社の掛金額が2万円超3万5000円未満のとき、掛金合計額(最大)はマッチング拠出を選択したときの方が多い
・会社の掛金額が3万5000円以上のとき、掛金合計額(最大)に差はない(5万5000円)
他の条件が同じであれば、掛金が大きい方が、将来受け取れる金額は大きくなります。企業型DCに加入されている方がiDeCoに加入できるようになって悩むのは、「マッチング拠出とどちらが良いか」ではないでしょうか。
本記事における「注意点」は、会社の掛金額により、掛金合計額に差が生じ、将来受け取れる金額にも差が出るということです。運用成績については言及しかねますが、他の条件が同じであれば、「いくら拠出するのか」は、重要な判断材料といえるのではないでしょうか。
出典
厚生労働省 2020年の制度改正
厚生労働省 iDeCoの概要
e-Gov法令検索 確定拠出年金法施行令
執筆者:中村将士
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー
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