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賃貸不動産の投資の基礎 その2

ファイナンシャルフィールド / 2022年12月24日 12時30分

賃貸不動産の投資の基礎 その2

前回は不動産投資の目的と、投資の収益性の指標である表面利回り・実質利回りについて解説しました。   今回「その2」では、不動産投資の収益性に関する別の指標を紹介したいと思います。

NOI利回りとは?

表面利回りと実質利回りは、広告などで不動産投資の収益性を一言で表すために使われる指標ですが、必ずしも正確なものではありません。
 
初期投資費用として物件の購入価格はあっても、仲介手数料など物件の取得に要する費用が含まれておらず、それ以外にも不動産投資に関する費用が反映されていないからです。
 
物件取得に要する費用などを反映した利回りを「NOI利回り」といい、次の計算式で求められます。
 
NOI利回り=正味営業収入(年間家賃収入-不動産の年間運営経費-空室損)÷初期投資額(物件購入価格+物件の取得費用)
 

<NOI利回りの計算の例>

物件購入価格:2500万円
物件の取得費用:80万円
年間家賃収入:108万円(月9万円×12ヶ月)
年間運営経費:24万420円(月2万35円×12ヶ月)
空室損:2万1600円(年間賃料:108万円×2%)
 
NOI利回り:81万7980円÷2580万円=3.17%

NOI利回りは、年間家賃収入から不動産の年間運営経費だけでなく、空室損も引いた正味営業収入を算出し、それを物件取得費用も含めたすべての初期投資費用で割ったものになります。
 
正味営業収入のすべての初期投資費用に対する比率を表示したもので、表面利回り・実質利回りに比べてさらに低くなりますが、単年度で見れば、これが最も正確な利回りということができます。
 

NOI利回りの問題点

ただし、NOI利回りには時間とローンの要素が組み込まれていないという問題があります。
 
NOI利回りは単年度における利回りで、初年度のNOI利回りと、例えば5年目、10年目のNOI利回りは異なります。なぜなら、例えば家賃収入や経費などは通常、時間の経過に応じて変化するからです。
 
そのため、初年度の利回りは良くても、5年目、10年目の利回りが悪ければ、投資しない方がいいかもしれません。NOI利回りだけでは、その点に関する判断ができないということになります。
 
NOI利回りに組み込まれていない要素は次のとおりです。

1. 家賃収入、経費、金利などの時間に応じた変化
不動産の家賃収入、管理費をはじめとする経費、借入金利などは時間とともに変化しますが、NOI利回りには織り込まれていません。
 
2. 投資用不動産の売却価格
賃貸期間が終了した時点で、通常では投資用不動産は売却されますが、その価格が反映されていません。
 
3. 投資ローンに関連する要素
投資ローンを利用して不動産投資を行う場合、借入金の金利を費用に含める必要がありますが、NOI利回りには反映されていません。

時間的な要素を考慮して、不動産の収益性を総合的に示す利回りを内部収益率(IRR)利回りといいます。
 
内部収益率(IRR)利回りを算出するには、投資期間全体のキャッシュフローを算出し、表計算ソフトなどを使用して内部収益率を求める作業が必要になりますが、この利回りについては別途、解説したいと思います。
 

まとめ

「その2」では、不動産投資での収益性の判断において、表面利回り・実質利回りは必ずしも正確な指標ではないことから、より正確な指標としてNOI利回りについて説明しました。
 
しかしNOI利回りも、時間やローンの要素が考慮されていない問題であることが分かります。
 
次回「その3」では、投資ローンの要素を考慮した不動産投資の採算を計算する方法について解説したいと思います。
 
 
執筆者:浦上登
サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー

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