国民年金の免除や猶予。所得税・住民税も控除されるから追納した方がお得って本当?
ファイナンシャルフィールド / 2022年12月26日 7時0分
![国民年金の免除や猶予。所得税・住民税も控除されるから追納した方がお得って本当?](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_177191_0-small.jpg)
国民年金保険料の免除や納付猶予、学生納付特例の適用を受けた期間について、追納をするかどうか迷っている人もいるでしょう。 「社会保険料控除を受けられる」「早めに追納すればお得」と聞いても、具体的にイメージできない人も多いのではないでしょうか。 そこで本記事では、国民年金保険料の追納制度について、制度の概要、社会保険料控除で軽減される税額の例、追納に関する期限の3つをまとめました。制度について知った上で、追納についてよく検討してみてください。
国民年金保険料の追納制度とは
国民年金保険料の追納制度とは、過去に保険料の免除や納付猶予、学生納付特例の適用を受けた期間がある場合に、後から保険料を納めて全額納付した状態に近づけられる制度です。
国民年金保険料の免除や納付猶予、学生納付特例の適用を受けた期間があると、保険料を満額納付した場合と比較して、老齢基礎年金の金額が少なくなります。追納制度を活用すると、老齢基礎年金を満額に近づけることが可能です。
国民年金保険料の追納の手続き方法は次のとおりです。
年金事務所
・追納申込書
・マイナンバーカードまたはマイナンバーが確認できる書類+身元確認書類
追納申込書は、ねんきんネットで作成できます。必要事項を入力し印刷したら、最寄りの年金事務所に持参するか、郵送で提出しましょう。
申し込みが完了すると、納付書が発行されるので、指定金額を追納してください。
追納した国民年金保険料は社会保険料控除の対象となる
追納によって納めた国民年金保険料は、社会保険料控除の対象として、所得税、住民税の計算時に所得から差し引けます。そのため、もとの所得金額にもよりますが、追納することで税金が軽減され、還付を受けられる可能性があります。
追納によってどのくらいの節税効果が期待できるのか、課税所得金額が400万円の人が、約2年分の追納保険料40万円を納めた場合を試算しましょう。
課税所得金額が400万円の人には、所得税20%、住民税10%が課せられます。追納によって40万円が控除されると、最大で40万円×30%=約12万円の所得税・住民税が軽減される計算です。
つまり、その年の追納保険料額は、軽減された12万円を引いた実質28万円であると考えることもできます。
国民年金保険料の追納は期限に注意
国民年金保険料の追納を行う場合は、2種類の期限があることに注意しましょう。
1つめの期限は、追納が可能な期限です。
追納はいつまででもできるわけではなく、追納の承認を受けた月から10年以内しかさかのぼれません。追納の承認を受けた時点で、すでに10年が経過している保険料免除、納付猶予、学生納付特例の適用期間がある場合、その期間に関しては追納できないことになります。
例えば、2012年1月から2012年12月まで免除を受けていた人が、2022年7月に追納の承認を受けた場合、2012年6月納付期限までの分は追納できません。
2つめの期限は、保険料が加算されるまでの期限です。
追納の保険料は、免除や納付猶予を受けた期間の翌年度から3年度目以降に追納すると、経過期間に応じた加算額が上乗せされる仕組みになっています。
例えば、2022年度中に追納する場合、2020年度、2021年度の分は加算額なしで追納可能です。しかし、2019年度以前の分については、加算額を上乗せした追納保険料を納める必要があります。
過去に保険料免除、納付猶予、学生納付特例の適用期間がある人は、2つの期限に注意して、できるだけ早く追納の申し込みをするのがおすすめです。
国民年金の免除や猶予を受けたら早めに追納しよう
国民年金の免除や納付猶予、学生納付特例の適用を受けた場合、できるだけ満額に近い老齢基礎年金を受け取るためには、家計に余裕ができた時点で速やかに追納することが有効です。
3年度以降は加算額が上乗せされる上に、10年が過ぎると追納自体ができなくなります。追納した国民年金保険料は社会保険料控除に算入できるメリットがあるため、年末調整や確定申告で忘れずに適用しましょう。
出典
日本年金機構 国民年金保険料の追納制度
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.2260 所得税の税率
総務省 個人住民税
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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