年金の「未納」がダメな理由って? 国民年金保険料の「免除・納付猶予制度」について解説
ファイナンシャルフィールド / 2022年12月27日 10時30分
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コロナ禍や物価の高騰、円安による影響などで、生活に余裕がなく、「国民年金保険料を納められない」という声が聞かれますが、そのような場合でも、未納のままにしておかず「申請」することで、年金給付の際などに条件が良くなる場合があります。 もし、どうしても保険料を払えないという時は、この記事を参考に、自分が免除・猶予の対象となるのかをぜひ調べてみてください。
免除制度
国民年金保険料の免除制度には、主に「法定免除」と「申請免除」の2種類があります。
法定免除と申請免除、4種類の免除額
法定免除制度とは、「生活保護の生活扶助を受けている」、「障害基礎年金や被用者年金の障害年金(2級以上)を受けている」、「国立ハンセン病療養所などで療養している」といった人を対象に、国民年金保険料免除事由(該当・消滅)届の提出により、国民年金保険料を免除する制度です。
申請免除とは、「本人や世帯主、配偶者の前年所得が一定以下の場合」、「失業した場合」など、経済的に困難と認められるときには、「本人の申請」により保険料の納付が免除になる制度です。新型コロナウイルス感染症の影響により納付が困難となった人も、「申請」により保険料が免除となる可能性があります。
免除には、全額免除、4分の3免除、半額免除、4分の1免除の4種類があります。また、「産前産後期間」は国民年金保険料が免除される制度があります。この制度は他の免除制度とは少し異なり、免除期間も保険料を全額納めたものとして、老齢基礎年金等の年金額が計算されます。
将来、老齢基礎年金を受け取るとき
全額免除を受けた期間についての老齢基礎年金の額は、保険料を全額納付した場合の年金額の2分の1(2009年3月以前の期間は3分の1)の額を受け取ることができます。
4分の3免除を受けた場合には、保険料を全額納付した場合の年金額の8分の5(2009年3月以前の期間は2分の1)、半額免除を受けた場合には8分の6(2009年3月以前の期間は3分の2)、4分の1免除を受けた場合には8分の7(2009年3月以前の期間は6分の5)を受け取ることができます。
ただし、4分の3免除、半額免除、4分の1免除など、一部納付の承認を受けている期間においては、一部納付の保険料を納付している必要があります。
猶予制度
納付猶予制度とは、20歳から50歳未満の人で、本人や配偶者の所得が一定以下の場合には、本人の申請により認められると、保険料の納付が猶予される制度です。学生の方は、本人の所得が一定以下であれば、家族の所得に関わらず納付が猶予される学生納付特例制度を利用することができます。
納付が猶予された期間については、受給資格期間には含まれますが、後から保険料を納めなければ将来受け取る老齢基礎年金の年金額には反映されませんので、注意してください。
国民年金被保険者実態調査
日本国内に住む20歳以上60歳未満のすべての人は、国民年金保険に加入します。会社員や公務員の方、またはその方に扶養されている配偶者の方は、厚生年金保険に加入している、または加入者に扶養されているため、直接保険料を支払う必要はありません。しかし、自営業者や農業者、その家族、学生、無職の方など第1号被保険者とされる方は、自ら保険料を納めなければなりません。
厚生労働省の国民年金被保険者実態調査(2020年)によると、国民年金第1号被保険者(任意加入被保険者、外国人、法定免除者、転出による住所不明者を除く)のうち、2018年4月から2020年3月までの納付対象月の保険料を全く納付していない人の割合は、全体の15.6%、一部について納付していない方は9.1%であるとされています。
また、申請し全額免除を受けている人の割合は全体の16.6%、学生納付特例を受けている人は14.4%、納付猶予者の割合は4.5%となっています。
未納がダメな理由
国民年金保険料を納めることが経済的に困難な場合には、納付免除を申請し認められると、年金を納めていなくても、免除の種類によりそれぞれ決まった額を受給することができます。
また、保険料の免除・納付猶予を受けている場合には、過去10年までさかのぼり保険料を納付(追納)することができ、将来の老齢基礎年金を満額に近づけることができます(保険料免除・納付猶予を受けた期間の翌年度から起算して3年度目以降は、当時の保険料に一定の金額が加算されます)。
さらに、国民年金保険料の免除・納付猶予を申請し認められた場合には、受給資格期間に算入されます。しかし、保険料を納めず未納となっている期間については、将来受け取る老齢基礎年金の受給資格期間に算入されません。さらに、障害基礎年金および遺族基礎年金の受給資格期間にも算入されないため、受給要件を満たさずこれらの年金が受け取れない可能性が出てきてしまいます。
このように、免除・納付猶予が認められた場合には、国民年金保険料が未納の場合と比べメリットがあります。経済的な理由により保険料を納めることができない場合には、住民登録をしている市(区)役所・町村役場の国民年金担当窓口または年金事務所等に確認をし、免除・納付猶予制度の申請をするようにしましょう。
出典
厚生労働省 国民年金被保険者実態調査(令和2年)
日本年金機構 国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度
執筆者:勝川みゆき
ファイナンシャルプランナー2級・AFP
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