「インボイス制度」に激変緩和措置! 気になるその内容を解説
ファイナンシャルフィールド / 2022年12月28日 2時30分
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2023年10月からスタートする「インボイス制度」には、“緩和措置”が導入されることになりました。今回は、インボイス制度の緩和措置について、これまでの経緯を踏まえて解説します。12月23日に閣議決定した「令和5年度税制改正の大綱」では、インボイス発行事業者の登録期限が2023年の9月30日まで延長されました。 この機会に、インボイス制度について、確認しておきましょう。
インボイス制度についておさらい
インボイス制度は、買い手と売り手に関わる消費税のルールです。買い手と売り手それぞれの立場で解説します。
買い手側から見たインボイス制度
買い手側から見たインボイス制度と、影響について確認しておきましょう。事業者が売り上げにかかる消費税を納付する際に、仕入れに生じた消費税分を差し引く「仕入税額控除」を行います。仕入税額控除を適用するには、取引で交わした請求書に以下の項目が必要です。
●書類作成者の氏名や名称
●取引年月
●取引内容
●税込み支払価格
●書類の交付先の氏名や名称
インボイス制度が始まると、仕入税額控除を受けるには、上記の項目に「登録番号」「適用税率」「消費税額等」の記載が追加で必要です。つまり、インボイスの発行事業者との取引でないと、仕入税額控除を受けられません。そのため、仕入税額控除を受けられない取引を中止せざるを得なくなります。
売り手側から見たインボイス制度
次に、売り手側の視点でインボイス制度を確認します。まず、インボイスの発行事業者として登録していないと、買い手側が仕入れ額控除を使えません。そのため、買い手側が取引を中止する可能性があります。
加えて、インボイスの発行事業者として登録するには、「課税事業者」にならないといけません。そのため、課税売上高が1000万円以下で消費税の納付が免除される「免税事業者」も課税事業者になります。
これまで免税事業者だった事業者でも、インボイスの発行で消費税の支払いが必要です。その結果、売り上げが減る恐れもあります。以上から、インボイス制度をまとめると、以下の通りです。
●インボイス制度は2023年10月から開始
●インボイスの発行事業者の請求書でないと仕入税額控除を受けられない
●インボイスの発行事業者になると、売上高にかかわらず課税事業者になる
インボイス制度は、免税事業者やフリーランスから反発の声が上がったため、2022年12月に「負担軽減策」が発表されました。どのような軽減策となったのか、確認していきましょう。
インボイス制度の新しい緩和措置とは?
新たに発表されたインボイス制度の緩和措置は、受け取った消費税の2割の納付になる見通しです。これまでのインボイス制度と比較すると、図表1の通りになります。
図表1
報酬 | 消費税率 | 消費税 | 納付額 | |
---|---|---|---|---|
これまでの制度 | 200万円 | 10% | 20万円 | 20万円 |
緩和措置 | 200万円 | 10% | 20万円 | 4万円 |
筆者作成
以下の売り上げと仕入れから、消費税の納付額をシミュレーションしてみましょう。
●売り上げ450万円(うち消費税45万円)
●外注費80万円(うち消費税8万円)
消費税の納付額は、売り上げの消費税から仕入の消費税を差し引いて計算します。
●これまでの制度:45万円-8万円=37万円
●緩和措置:(45万円-8万円)×20%=約7万円
緩和措置の導入で、消費税の納付額も約30万円も開きました。しかし、新しい緩和措置は、2023年10月から3年間の時限的な措置です。3年後に緩和措置が終わると負担が増加するので、問題が先送りされているだけだと指摘する声も上がっています。
緩和されたように見えるが問題が先送りされているだけ?
インボイス制度と新たに発表された緩和措置について解説しました。消費税の納付額は軽減される措置になりましたが、3年間の時限的な措置が終わると、その後はどうなるか不透明です。緩和措置が終了すると、負担が一気に重くなる人もいるでしょう。今後も、どのような制度になっていくのか引き続き注目してみていく必要があります。
出典
国税庁 申請手続
国税庁 No.6497 仕入税額控除のために保存する帳簿及び請求書等の記載事項
国税庁 消費税の仕入れ税額控除の方式としてインボイス制度が開始されます
執筆者:川辺拓也
2級ファイナンシャルプランナー
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