国民年金を「老後まで支払わない」のは可能? 支払えない場合の対処法を解説
ファイナンシャルフィールド / 2023年1月4日 23時0分
![国民年金を「老後まで支払わない」のは可能? 支払えない場合の対処法を解説](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_178590_0-small.jpg)
2022年度の国民年金保険料は、1ヶ月当たり1万6590円です。「年金制度の将来性に不安がある」、「目先の生活にかかるお金で手いっぱい」などの理由から、できれば国民年金を支払いたくないという人もいるのではないでしょうか。 しかし、国民年金への加入は国民の義務となっていることから、自身の意思だけで「支払わない」という選択はできません。 本記事では、国民年金保険料の支払いについて解説します。
国民年金への加入は義務であり逃れられない
まず結論ですが、国民年金保険料は支払わなければなりません。単に「払いたくない」という理由だけで老後まで逃げられるものではないのです。
第2号被保険者である会社員などは、給与から自動的に厚生年金保険料が天引きされますし、第3号被保険者である専業主婦(夫)は個別に保険料を納める必要はありません。よって、「払わない」という選択自体ができないということになります。
しかし、学生や個人事業主などの第1号被保険者は自身で保険料を納めていることから、「払わない」選択もできてしまうのです。
国民年金保険料を滞納した場合の流れ
国民年金保険料の納付書が届いても支払わずにいる場合には、まずは「納付督励」という保険料支払いの案内が届きます。
それを無視し続けると、次に「特別催告状」が届きます。そしてこれも無視し続けると封筒の色が青→黄→赤と変化していき、赤になると財産差押えの旨が記載されるなど強い警告になります。
それでも未納が続く場合には「最終催告状」、「督促状」、「差押予告通知書」と流れ、最終的に財産差押えが実行されてしまいます。
(1)納付督励
(2)特別催告状
(3)最終催告状
(4)督促状
(5)差押予告通知書
(6)差押え実行
国民年金を支払えない場合どうすればいい?
国民年金保険料は、たとえお金がなくて支払えない場合であっても無視し続けてはいけません。
ただし、支払いが難しい場合は適正な手続きを行うことで、保険料の免除や納付の猶予を受けることができます。
お金がない場合には保険料免除制度・納付猶予制度を利用する
失業など何らかの事情によって国民年金保険料を支払うことが困難な場合には、保険料免除制度または納付猶予制度を利用しましょう。
保険料免除制度は前年所得の金額に応じて、保険料が全額免除、3/4免除、半額免除、1/4免除のいずれかになります。納付猶予制度では前年所得が一定額以下の場合には、保険料の納付が猶予されます。
ただし、納付猶予制度については50歳未満限定の制度である点に注意してください。
支払不要となるケースも
国民年金保険料を支払うお金がある場合であっても、次の条件に当てはまれば保険料を支払う必要はありません。
・所得が減り、保険料免除制度・納付猶予制度の要件に該当する
・外国に移住する
個人事業主の所得とは、売り上げから経費を差し引いた利益額を指しています。経費を漏れなく上げることで所得が小さくなれば、保険料免除制度または納付猶予制度の要件に該当する可能性もあります。
誤解しないでいただきたいのですが、売り上げを抜いたり、経費を水増ししたりするなどの脱税行為をするという意味ではありません。
また、外国への移住によって日本国内の住所がなくなった場合は、国民年金への加入義務がなくなることになります。
しかし、いずれの方法も通常の生活を送っている人には現実的ではないでしょう。支払い能力のある第1号被保険者であれば「支払わざるを得ない」という結論になってしまいます。
まとめ
国民年金保険料は、支払いたくないという理由だけで支払わないということはできません。督促を無視して済む話ではなく、最終的には財産を差押えられてしまいます。
国民年金保険料の滞納は、放置が何より怖いということを知り、保険料の支払いが困難な場合には、保険料免除制度、納付猶予制度を利用しましょう。
出典
日本年金機構 国民年金保険料
厚生労働省 国民年金の保険料の納付義務
日本年金機構 国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度
日本年金機構 国民年金の任意加入の手続き(日本の年金制度への継続加入)
日本年金機構 日本年金機構の取り組み(保険料徴収)
執筆者:佐々木咲
2級FP技能士
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