年金制度は破綻しないって本当? 年金の仕組みを解説
ファイナンシャルフィールド / 2023年1月9日 10時0分
![年金制度は破綻しないって本当? 年金の仕組みを解説](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_179064_0-small.jpg)
公的年金は、現役世代の保険料によってほとんどが支えられています。そのため、少子高齢化が進む日本で、このまま制度が破綻しないのか不安な人も多いのではないでしょうか。 そこで本記事では、年金制度の仕組みについて紹介すると共に、年金制度が破綻しないのかについて解説していきます。
公的年金制度の仕組み
公的年金制度は「国民年金」と「厚生年金」の2つで構成されています。国民年金は、20歳以上60歳未満の日本国民の誰もが加入するものです。国民年金に対して、厚生年金は会社員や公務員の人が加入するもので、会社員や公務員の人は国民年金と厚生年金の2つに加入することになっています。
このことから、誰もが加入する国民年金を1階、会社員や公務員の人が加入する厚生年金を2階とする2階建て構造とよばれているのが、現在の公的年金制度です。
公的年金制度の運営方法
年金制度を長期的に継続していくためには、財源の確保と運営の仕方が重要です。公的年金制度では、大きく分けて「賦課(ふか)方式」と「積立方式」の2つの運営方法があり、日本などの主要各国の公的年金は、基本として賦課方式で運営しています。
賦課方式
賦課方式は、現在年金を受給している人の年金を、現役世代が納付した保険料で賄う方式です。インフレや現役世代の賃金が上がった場合に、それらに合わせて年金額を受給できるのが強みとなっています。
しかし、現在の日本のように少子高齢化が進んでしまうと、現役世代よりも年金を受給する世代の方が多くなってしまうことが考えられるので、現役世代の負担の増加が懸念されます。
積立方式
賦課方式に対して積立方式は、現役世代が将来年金を受給するときのために保険料を積み立ていく方式です。納付した保険料の一部が将来のために積み立てられていき、受給が始まるまでの運用益も活用されるのが強みとなっています。しかし、市場の急激な変化などで運用に支障が出てしまうと将来の受給に影響が出てしまう恐れもあります。
賦課方式と賦課方式はどちらも一長一短がありますが、それぞれがカバーし合うことで公的年金制度を運営しているのが現状です。
公的年金制度は破綻しない?
公的年金制度は破綻しないと考えられます。その理由として挙げられるのが、年金額のスライドや財政検証と年金積立金の運用です。
年金額のスライド
年金額は、賃金や物価の変動によって、年度ごとに改定することになっています。これが、賃金スライド・物価スライドです。
また、少子高齢化がこのまま進むと現役世代の負担が大きくなってしまうので、この負担が大きくならないように、賃金スライド・物価スライドのスライド調整率を差し引く「マクロ経済スライド」も導入されています。
例えば、賃金や物価が大きく上昇した場合は、上昇分に合わせて賃金スライド・物価スライドの改定がありますが、それだと上がった分だけ現役世代の負担も上がってしまいます。そのため、緩やかに上昇するようにマクロ経済スライドによって上昇分を調整し、大きく負担が上がらないようにしているのです。
5年ごとの財政検証
公的年金制度は、少なくとも5年ごとに「財政検証」を行っています。これは、保険料の引き上げや積立金の運用をどのようにするべきかについて考えるためです。財政の検証を行うことで、長期的な年金の運営ができるように調節しているので、年金制度が破綻することは低いと考えられます。
年金積立金の運用
日本では、年金積立金が運用されています。運用しているのは、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)です。2022年度の運用状況を見てみると、2022年度第2四半期末現在の資産運用額は192兆968億円となっています。この数字から、財政検証で年金積立金を使うことになったとしても、しばらくの間は問題ないと考えられます。
公的年金制度は破綻しないが今後を注視しましょう
本記事では、年金制度の仕組みについて紹介すると共に、年金制度が破綻しないのかについて解説してきました。制度は破綻しないと考えられますが、調整によって年金額の減少や年金期間の変更がされる可能性もあります。そのため、制度の改定の情報については注視していきましょう。
出典
厚生労働省 日本年金機構 知っておきたい年金のはなし
日本年金機構 マクロ経済スライド
厚生労働省 給付水準の将来見通し(平成26年財政検証)-人口 中位ケース -
年金積立金管理運用独立行政法人 2022年度の運用状況
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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