「私は年金だけで大丈夫」そう言えるのは現役時代の年収がいくらの人? 「老後に必要な生活費」をもとに検証
ファイナンシャルフィールド / 2023年1月11日 23時20分
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果たして老後に受給できる年金で生活できるのか、多くの人が不安に思っているのではないでしょうか。年金の受給額は年収や納付月数などによっても異なってくるので、人によって大きく差があります。 この記事では、リタイア後に「私は年金だけで大丈夫」と言えるのは、現役時代にどの程度の年収の場合なのかについて、解説します。
老後に必要な1ヶ月の金額はいくら?
公益財団法人生命保険文化センターの「生活保障に関する調査(2022年度、18~79歳の男女4844人が回答)」によると、夫婦2人で老後の日常生活を送るために必要な月額は、20~25万円未満と回答した人が全体の27.5%でした。平均すると23.2万円という結果となっています。これは最低限必要と考えられる月額です。
もちろん、ゆとりを持ちたい人は必要に応じて上乗せして考えなければなりません。同調査によれば、ゆとりある老後生活を送るためには、最低日常生活費に加えて平均14.8万円が必要と考えられるという結果でした。つまり、最低日常生活費と合わせると平均月額は38万円が必要となります。
また、総務省統計局の「家計調査年報(2021年)」によると、老後に必要な生活費の月額は、65歳以上の夫婦のみの無職世帯では25万5100円、単身世帯の場合は14万4747円という結果でした。十分にゆとりある老後生活とまでは言えなくとも、無理なく現実的に暮らしていくためには、その程度の生活費が必要だと言えます。
月額26万円の年金を受け取るには、現役時代の年収はいくら必要?
日本の年金は“3階建て”の構造で、加入状況によって該当する構成が異なり、年収が同じなら誰もが同じ額の年金を受給できるとは言えません。誰もが強制加入するのが“1階”部分である国民年金です。自営業者の強制加入の年金は国民年金のみとなります。令和2年度の国民年金の平均受給月額は、年収に関わらず一律で平均約5万6000円です。
次に、会社員や公務員の場合、1階部分の国民年金に加えて、“2階”部分に当たる厚生年金、“3階”部分に当たるものとして「年金払い退職給付」や「企業型の確定拠出年金」など企業独自の年金があります。令和2年度の厚生年金の平均受給月額は14万6145円で、国民年金は約5万6000円ですから、合わせて20万2145円となり、月額26万円には届きません。
ここでは私的年金は考えに入れず、「厚生年金のみ」とします。厚生年金は標準報酬月額によって納める保険料が変動するため、納めた保険料が多い人ほど年金額も多くなります。「夫が会社員、妻が専業主婦」の家庭の場合を仮定しましょう。夫婦共に国民年金に加入しているため、国民年金の受給月額は5万6000円の2人分で11万2000円です。
厚生年金の年間受給額の計算式は「報酬比例年金額+経過的加算+加給年金額」です。ここでは経過的加算額と加給年金額については考慮に入れません。2003年4月以降に就業した場合、報酬比例年金額は「平均標準報酬額×0.005769×被保険者期間の月数」の式で求められます。
「平均標準報酬額」とは、年金に加入して保険料を支払う必要がある期間(被保険者期間)に得た「標準報酬月額」と「標準賞与額」の合計を、被保険者期間の月数で割った金額です。ただし、標準報酬月額は65万円が上限なので、年収が多ければ多いほど受給年金額が比例して増えるわけではありません。
就職から退職までの平均月収を62万とし、賞与なしとします。23歳で就職、65歳定年の42年(月数にして504ヶ月)で計算すると「報酬比例年金額=62万円×0.005769×504ヶ月≒180万円」です。月額にすれば約15万円になります。これに、夫婦2人分の国民年金受給月額を加えると、26万2000円です。
つまり、夫が会社員、妻が専業主婦の場合、1ヶ月に26万円の年金を受給したければ、あくまで目安にはなりますが、現役時代には744万円(62万円×12ヶ月)の年収が必要です。
老後の生活に必要な費用は自分で備えておこう
年金制度は刻々と変化しているため、今後も受給できる金額が減少したり、定年の年齢が引き上げられたりする可能性もあるでしょう。
この記事では計算を簡易にするために便宜上、妻を専業主婦として計算しましたが、共働きの家庭が多くなっていますので、協力することで年金受給額を上げることも可能です。それでも足りない部分は私的年金の利用や、貯蓄をしておくことで備えておきましょう。
出典
公益財団法人生命保険文化センター 老後の生活費はいくらくらい必要と考える?
総務省統計局 家計調査年報(家計収支編)2021年(令和3年) 2総世帯及び単身世帯の家計収支
厚生労働省 厚生年金保険・国民年金事業の概況(令和2年度)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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