将来の公的年金に頼れない! 早くから考えたい資産構築のポイントとは?
ファイナンシャルフィールド / 2023年1月14日 3時40分
年金をまだ受給していない世代では、今後年金を十分にもらえないと考えている方も多いと思います。年金に不安を抱えている方は、早い段階から投資などの対応をすればするほど、効果的に資産構築を行うことができます。 今回は若いときからでも始められる資産構築のポイントについてお伝えします。
将来の公的年金に頼れない理由
厚生労働省によると、公的年金の給付水準は、少子高齢化が進む中で長期的にはゆるやかに低下する見通しを立てています。
2022年時点の20~60歳の人口に対する65歳以上の人口の割合は、1.7対1から、40年後には1.1対1となる見込みです。また、70歳未満の就業者に対する65歳以上の人口の割合は、1.7対1から40年後には1.2対1となる見込みです。
両方の場合において、高齢者1人を支えるための人口の割合は、今から40年後には大きく減少することが見込まれます。
また、65歳で年金を受け取り始めるときの年金額に対する、現役世代の手取り収入の割合を表す「所得代替率」は、現在60%程度と試算されています。この所得代替率は、女性や高齢者の労働市場への参加が進み、日本経済が成長していけば、50%程度になると見込まれています。
あくまで女性や高齢者の労働市場の参加が進み、日本経済が成長するという前提であり、この前提が崩れることになると、将来の年金受給にも影響が出るかもしれません。
早くから考えたい資産構築のポイント
そのような環境の中で、早くから公的年金に頼らない収入を考えておくことも大切です。若いときから意識して考えることで、長期的にさまざまな手を打てることになります。
ここでは将来を支えるさまざまな選択肢を確認してみましょう。
私的年金
資産構築の選択肢として、個人型確定拠出年金(iDeCo)や個人年金保険といわれる私的年金を、早くから検討することが挙げられます。
iDeCoは拠出時の掛け金が全額所得控除扱いになることや、運用中の運用益は非課税になるなど、一定のメリットがあります。
個人年金保険の掛け金は、個人年金保険料控除により所得から控除ができるため、iDeCoほどではないものの一定の節税効果があります。
運用方法次第ですが、将来的な資産構築に寄与することも可能となります。運用がうまくいった場合、公的年金プラスアルファの収入が期待できます。
長く働く
もらう時期を遅くする年金の繰下げ受給により、支給率の増加による年金の増加が期待できます。
定年後も働き続けることで労働による収入が継続し、年金受給を遅らせることも可能でしょう。現役を続ける工夫としては、専門的なスキルを絶えずに磨き続けることで、将来にわたってキャリアを構築していくことなどが挙げられます。
一方で、人生100年時代を迎え、若いうちから自らの希望する働き方を選べる環境を作っていくという視点で、本業以外の副業を試しておくことも効果的です。
現役引退後に副業を通じて、新たに起業するという選択肢も出てくるかもしれません。
資産運用
令和5年度税制改正の大綱等において、2024年以降のNISA制度の抜本的拡充・恒久化の方針が示されたことにより、年間投資枠が大きく拡大されることとなりました。
つみたてNISAの場合、これまでの40万円から120万円と3倍に拡大されたことで、将来を見据えて拠出額を増額し運用することもできます。
生涯の非課税限度枠も1800万円となり、政府が掲げる貯蓄から投資への流れに乗っていくことも要検討です。
iDeCoや新NISAの投資枠を全て使い切る方は多くないかもしれませんが、枠を使い切ってもなお投資資金がある場合は、リスクを取って外貨商品や外国株に投資資金を振り分けることも1つの選択肢でしょう。
ただし、資産運用は銘柄選定を含めて自己責任が前提であり、リスクを理解した上で実行することが求められます。
長期にわたる運用により、複利の効果や投資による価格変動リスクが小さくなり、安定した収益が期待できることから、早くから取り組むことで一定の資産構築が期待できます。
リスクをどこまで許容するかによって、将来の運用実績が大きく変わりますので、ご自身の家計の状況から投資方針を考えてみましょう。
出典
厚生労働省 いっしょに検証!公的年金
厚生労働省 副業・兼業の促進に関するガイドライン
金融庁 新しいNISA
執筆者:古市守
CFP®・1級ファイナンシャル・プランニング技能士
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