【もう本人には聞けない】生命保険に加入していたかわからない!どうすればいい?
ファイナンシャルフィールド / 2023年1月15日 0時10分
故郷で一人暮らしをしていた 親が亡くなった。葬儀も済ませて一段落。遺品整理などをしようとしていて、ふと思い浮かんだのが「そういえば、生命保険のこと何も聞いていなかった……」。 決してありえない話ではないでしょう。亡くなった人にいまさら聞くこともできないし、遺品整理でも保険証書が見つからなかったら、もうお手上げなのでしょうか。
死亡保険金にも時効があります
生命保険の死亡保険金の請求にも時効があります。保険法第95条で「保険給付を請求する権利、保険料の返還を請求する権利(中略)は、これらを行使することができる時から三年間行使しないときは、時効によって消滅する」と規定されています。
そうはいっても、保険会社が保険金受け取りの権利がある人に対して時効(権利消滅)の意思表示をしないと成立しません。実際には、個別の状況や事情によっては、3年を過ぎても相談できる場合もあるようです。
「生命保険契約照会制度」とは
とはいえ、そもそも生命保険(死亡保険)に入っていたかどうかも不明だったらどうするのか。また、死亡保険に入っているような話が以前に出ていたような記憶はあるけれど、どこの保険会社かなんて聞いてもいない。遺品整理をしていても、保険証書は出てこなかった。こういった事態もありえるでしょう。
これらの状況でモヤモヤしているとき、手がかりを得られるかもしれない手段として「生命保険契約照会制度(死亡)」があります。その概要は、次のようなものです。(※1)
<どんな制度なの?>
照会対象者(死亡した人など)が保険契約者(保険料支払者)または被保険者になっている生命保険契約があるかをどうか調査する。(契約があることが分かった場合、契約内容の調査や保険金請求などには、個別の保険会社への別途手続きが必要)
<どこの保険会社が調査対象になるの?>
生命保険協会加盟会社全社=日本で営業するすべての生命保険会社(42社)
<どこに調査依頼するの?>
生命保険協会
<誰が調査依頼できるの?>
照会対象者の法定相続人など(照会者)
<照会手続きの流れは?>
・照会者が必要書類を準備し必要事項を記入したうえで、オンラインまたは郵送で生命保険協会に申請。
・生命保険協会から生命保険会社各社に調査依頼。
・各社の調査結果を生命保険協会が取りまとめて、照会者に照会結果を回答。
(図示すると、【図表1】のとおりです)
<費用はいくらかかるの?>
照会1件当たり 利用料3000円(税込み)
亡くなった人がそもそも生命保険に加入していなかったら、調査しても結果は該当なしです。また、共済などは生命保険協会に加盟していないため、調査できません。
とはいえ、上記のようにいろいろとあやふやで困った状況のときに、全生命保険会社を横断的に調査できる制度は、頼りになるものだといえるでしょう。
まとめ
今回の生命保険契約に関する照会制度は、もともと東日本大震災の被災地で手かがりを失った人たちのためにスタートしたものが源流です。こうした「災害時」に加えて「平時」にも対応できるよう調査対象を拡充して創設し、2021年7月からスタートしたわけです。(「平時」には、死亡だけでなく本人の認知判断能力が低下している場合も含まれます)
この制度創設時の背景説明として、次のようなくだりがあります。(※2)
「超高齢社会の進展が続く中、高齢者が独居のまま亡くなられる事案や認知症患者の増加等、本人・ご家族等が本人に関する生命保険契約を把握しきれない事案がますます増加していくことが想定されます。」
時代の流れなのでしょうが、心にも沁みてくる思いがいたします。もしも自分が死亡したとき、いろいろな契約や資産・おカネに関わるさまざまな情報やデータを残された家族などにどう伝えるのか。今回の生命保険に限らず、考えておくべき対象は想像以上に多いかもしれません。
「終活」は、身の回りのモノやコト(人間関係を含む)を整理して廃棄と集約を行うことがメインだ。ともすればそう思われがちですが、情報やデータも整理と集約をして、キチンと次世代に伝えておく。そのことの重要さも、改めて思い知らされます。
出典
(※1)一般社団法人生命保険協会「生命保険契約照会制度のご案内」~「生命保険契約照会制度(死亡)」
(※2)一般社団法人生命保険協会「ニュースリリース」~「生命保険契約照会制度の創設(2021年7月1日開始)~確実な保険請求のためのセーフティネット~」(2021年6月11日)
執筆者:上野慎一
AFP認定者,宅地建物取引士
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