老後資金の備えは貯蓄だけですか? 目的によって備え方を考えてみよう
ファイナンシャルフィールド / 2023年1月14日 10時30分
老後に2000万円問題などで公的年金だけでは生活をするのが難しいといわれるようになりましたが、老後の資金を準備していますか? 老後資金の備え方は貯蓄だけではありません。用途や目的によって備え方を変えるだけで、老後の生活も変わっていきます。 そこで本記事では、60代以上の人の一般的な金融資産がいくらなのかを確認すると共に、貯蓄や保険の使い分けについて解説していきます。
60代以上の人の金融資産はいくらくらい?
まず、60歳以上の人の金融資産は、一般的にいくらくらいもっているのでしょうか。
金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査(令和3年)」によると、単身世帯における金融資産額の中央値は、60歳代が460万円、70歳代が800万円です。2人以上世帯では60歳代が810万円、70歳代が1000万円となっています。
老後資金が年金とは別に夫婦で2000万円必要だと考えると大きく不足しているので、不足している部分を備えていかなければいけません。
目的によって資産形成の仕方を使い分ける
不足している部分について全て貯蓄で備えるということも可能ですが、貯蓄にも良い点と悪い点があります。
まず、貯蓄の良い点は入出金が簡単にできるので急な出費にも対応できるところです。貯蓄があると安心感をもてるという人も多いのではないでしょうか。
しかし、急な出費が高額だった場合は貯蓄だけでは賄えないこともあります。また、認知症や重度の介護状態になると、意思能力がないと判断されて預金が凍結されてしまうこともあるので注意が必要です。そのため、将来の病気や介護費用のために貯蓄をしていても、預金が引き出せずに困っている家族も実際にいらっしゃいます。
貯蓄も必要ですが、貯蓄以外の方法で老後資金を考えたいところです。
老後の生活費や旅行などのための資金
老後の生活費や旅行などの資金には、貯蓄が有効です。決められた時期に、決められた金額の目標を立てて準備することができるからです。
しかし、これからの資金作りは公的年金だけでなく個人年金やiDeCoなどを利用して、老後の資金を備えることも考えましょう。
まず、個人年金は自分で掛金を積み立てて、一定の年齢から決められた金額を受け取る保険です。掛金が保険料控除として活用でき、掛金や受け取る時期も自分で決めることができます。普通預金よりも利回りがいいものもあるので、預金だけでなく個人年金も併せて備えることも考えてみましょう。
一方、iDeCoも将来のために自分で掛金を積み立てて、自分で運用するものです。iDeCoは個人型確定拠出年金の通称で、原則として60歳までは引き出すことができませんが、それ以降は決められた金額を受け取ることができます。こちらも掛金については所得控除の対象となり、運用益についても非課税で受け取ることが可能です。
介護費用のための資金
老後において心配なこととしては、病気や介護になった場合が挙げられます。特に介護費用は介護の期間が長ければ長いほど、介護費用も高くなってしまいます。
そこで考えたいのが、民間生命保険会社の介護保険で、少額の保険料で介護に備えることができます。また、受取人を家族にすることで、前述の認知症や重度の介護状態になった場合に介護保険金を家族が受け取ることができます。そのため、貯蓄で備えるよりも、確実に家族に介護費用を渡すことができるので、介護状態になった際に有効です。
しかし、介護状態にならない場合には掛け捨てになってしまうものもあります。また、介護保険金を家族が受け取った場合は、贈与税の対象になる可能性があります。加入の際には、内容をよく確認してから決めましょう。
目的によって貯蓄以外の方法も使い分けましょう
本記事では、60代以上の人の一般的な金融資産がいくらなのかを確認すると共に、貯蓄や保険の使い分けについて解説してきました。
資産の形成には、貯蓄が有効な場合と保険が有効な場合があります。しかし、貯蓄だけで備えるのではなく、目的によってどの方法が有効なのかを考えながら資産の形成をしていくことをおすすめします。
出典
金融広報中央委員会 知るぽると 家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査] 各種分類別データ(令和3年)
金融広報中央委員会 知るぽると 家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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