学生時代の「年金猶予」で将来の年金は減る? 受給額を減らさない方法を解説
ファイナンシャルフィールド / 2023年1月16日 8時20分
20歳になると国民年金保険料を納付する義務がありますが、在学中は納付が難しい場合もあるかもしれません。そのため、在学中の納付が猶予される「学生納付特例制度」を利用した人も多いのではないでしょうか。学生納付特例制度で猶予された期間がある場合、追納せずに放置しておくと将来受け取る年金額が少なくなります。 本記事では、学生納付特例制度で猶予された期間があっても、将来受け取る年金額を減らさずに済む方法について解説します。
将来もらえる国民年金はいくら?
国民年金保険料を20歳から60歳まで納めると、老齢基礎年金を年間77万7800円、月約6万5000円もらえます(2022年度)。しかし、学生納付特例制度で猶予された期間があると、保険料を全額納めた場合と比較し、受給額が少なくなります。これは、学生納付特例制度で猶予された期間は年金の受給資格期間として計算されるものの、年金額には反映されないためです。
例えば、20歳から22歳までの3年間、国民年金保険料の納付を学生納付特例制度で猶予された場合、3年間(36月)分の保険料は支払っていないものと見なされ、受給額は年間約72万円、月約6万円になります。月々約5000円の違いですが、減額された年金額は一生涯続くことになります。
老齢基礎年金の受給額を増やす方法
減額された老齢基礎年金を満額もらえるようにする方法は2つあります。
追納制度
学生納付特例制度で猶予された期間の国民年金保険料を後から納付(追納)することにより老齢基礎年金の受給額を増やす方法です。追納した分は全額、社会保険料控除により所得税・住民税が軽減されるというメリットがありますが、「追納できる期間は10年以内」に限られるので注意が必要です。
任意加入制度
60歳までに老齢基礎年金の受給資格を満たしていない場合や、老齢基礎年金を満額受給できない場合などで年金額の増額をしたいときに国民年金に任意加入できる制度です。
次の5つの条件をすべて満たすと任意加入できます。
●日本国内に住所を有する60歳以上65歳未満の人
●老齢基礎年金の繰上げ支給を受けていない人
●20歳以上60歳未満までの保険料の納付月数が480月(40年)未満の人
●厚生年金保険、共済組合などに加入していない人
●日本国籍を有しない人で、在留資格が「特定活動(医療滞在または医療滞在者の付添人)」や「特定活動(観光・保養などを目的とする長期滞在または長期滞在者の同行配偶者)」で滞在する人ではない人
上記に加え、以下に当てはまる人も加入することができます。
●年金の受給資格期間を満たしていない65歳以上70歳未満の人
●外国に居住する日本人で、20歳以上65歳未満の人
追納制度と任意加入制度どちらが良い?
追納制度、任意加入制度ともに減額された老齢基礎年金を満額にすることができる制度です。では、どちらの制度を利用したら良いでしょうか。
例えば、2012年度分の国民年金保険料を2022年度に追納する場合、約18万3000円必要になります。金銭的に厳しければ無理に追納を行わず、任意加入制度を利用することも選択肢になります。
また、残業などで収入が増え、所得税率が上がりそうな場合には、社会保険料控除を受けることができる追納制度の利用も良いでしょう。どちらの制度が良いかは状況によって異なります。よく考えて決めるようにしましょう。
まとめ
本記事では、学生納付特例制度で猶予された期間があり老齢基礎年金が減額されていた場合に、満額を受け取るための方法について解説しました。減額された場合の金額は一生涯続くことになります。老齢基礎年金を満額で受け取りたい場合には、追納制度や任意加入制度を検討してみましょう。
出典
日本年金機構 老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額
日本年金機構 国民年金保険料の学生納付特例制度
日本年金機構 国民年金保険料の追納制度
日本年金機構 任意加入制度
執筆者:齋藤彩
AFP
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