収入が老齢基礎年金だけで固定資産税が払えない! そんなときの対策は?
ファイナンシャルフィールド / 2023年1月16日 3時0分
固定資産税は、土地や家屋などの固定資産を保有している場合に発生する税金です。 毎年、管轄の自治体から納付書が送付されるため、支払いについての認識はあるものの、日々の生活に追われ、後回しにしてしまう人も多いようです。滞納により延滞税がかかるだけでなく、放置してしまうと差し押さえや自宅を失うリスクもあるため注意が必要です。 特に収入が年金のみとなり、老齢基礎年金だけでは支払いが難しい場合には、早めの対策が必要です。固定資産税の概要とともに、対策について考えてみましょう。
固定資産税とは?
毎年1月1日時点での土地や家屋などの固定資産の所有者は、固定資産税の納税義務者となります。
固定資産評価基準に基づいて評価される課税標準額に税率(1.4%)をかけて、納付税額が決定します。課税の公平という観点から地域や土地によるばらつきからくる負担の均衡を目的とした負担調整措置や災害等により重大な被害をうけた場合など事情に応じた軽減措置はありますが、税金であるため、納付を逃れることはできません。
固定資産税は、不動産(固定資産)が存在する自治体(市町村、東京23区では東京都)に納める地方税です。毎年4月~6月頃に管轄の自治体から課税明細書と納付書が郵送されてきます。1年分を4期に分割して支払う方法または一括払いのいずれかにより、納付書に記載されている期限までに納付します。
固定資産税は、普通税(使途が定められていない税)であるため、市町村ごとに、道路や学校、公園など公共施設の整備のほか、介護・福祉などの行政サービスに使われています。
固定資産税の納税が難しい場合には…
不動産を保有している限り納付しなければならない固定資産税ですが、日々の生活のなかで後回しにしてしまうケースも見られます。
滞納すると延滞税が加算され、放置する期間が長引くと雪だるま式に膨らみ、負担が増えてしまうことに注意が必要です。督促状が送付されてきても放置し続けると、差し押さえや公売(競売)にかけられ、自宅を失うリスクもあります。
まずは、市役所等への相談を
延滞税を負担しても納付することができればよいのですが、将来的にも支払いが難しい場合には、まずは、管轄の自治体の窓口に相談してみましょう。くれぐれも無断で放置することは避けるべきです。電話で問い合わせのうえ、担当者と面談の予約をします。
納税が困難となった事情があると判断されれば、分納や原則として1年間の納税が猶予される場合もあります。しかしながら、延滞税が発生するうえ、納付が免除になることはなく、差し押さえが先延ばしになるにすぎません。
固定資産を手放すことも選択肢
先祖代々からの不動産を守りたいなどの思いに理解もできますが、財産は不動産が多くを占め、現預金が心もとない世帯が散見されます。年金その他の収入が増えることが見込めない状況においては、生活を切り詰めることにも限度がありますので、不動産を手放すことも選択肢です。
差し押さえや自宅を失う前に検討しておきたいこと
差し押さえられても、納税できない場合には、公売により不動産を売却されることになります。この場合、滞納した固定資産税と延滞税を差し引いた後に、売却金が残れば現金を手にすることができます。
しかし、手放すことを想定するのであれば、債務が深刻化して差し押さえになる前に、早めに専門家への任意売却の相談をおすすめします。
賃貸住宅への住み替えにあたっては、家賃(賃借料)が発生することになりますので、今後の家計収支について、合わせて検討しましょう。公営住宅への入居などについても自治体に相談してみるとよいでしょう。
そのほか、地域性や自宅の評価額によるため必ずしも該当するとは限りませんが、自宅を担保に融資を受ける「リバースモーゲージ」や売却後も家賃を支払うことで住み続けることのできる「リースバック」なども選択肢です。
◆「リバースモーゲージ」は、所有権はそのまま、自宅を担保にして生活資金を借りることでこれまで通りの生活を維持することが可能となり、相続が発生した時点で売却により債務を返済します。
◆「リースバック」は、売却により所有権を失いますが、賃貸借契約を締結して自宅に住み続けることができるため、周囲に知られることなく、これまで通りの生活を維持することができます。固定資産税は発生しません。
ただし、買取金額は一般的な取引価格を下回ることや毎月の家賃は近隣よりも高く設定されることに加え、買取できる物件であることが前提となるため、ハードルは高いかもしれません。
まとめ
土地や家屋などの固定資産を保有する場合には、固定資産税を納付する必要があります。納付が遅れると延滞税が発生しますし、放置すると差し押さえ、さらに自宅を失うリスクがあることを知っておきたいものです。
固定資産税は、土地や家屋を保有する限り、毎年発生します。長年、個人事業を営まれた方などがリタイアした場合などには、年金収入が老齢基礎年金のみで納税が難しいケースも見られます。3年ごとに固定資産評価額の見直しはあるものの、納税額に大きな変動はないため、固定資産税分の予算は、優先的に準備しておきましょう。
固定資産税の支払いが困難な場合には、自治体への相談などにより状況を伝えることが大切です。自宅だけでなく、生活にも影響を与える可能性がありますので、くれぐれも納付しないまま放置することは避けましょう。
執筆者:大竹麻佐子
CFP(R)認定者・相続診断士
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