裁量労働制とフレックスタイム制は何が違う? 雇用契約書で注意するべき点は?
ファイナンシャルフィールド / 2023年1月17日 5時10分
近年、時間にとらわれずに働ける「裁量労働制」「フレックスタイム制」という働き方が注目を集めています。しかし、どちらも始業終業の時間に縛られないため、「裁量労働制とフレックスタイム制の違いが分からない」という方も多いのではないでしょうか。 本記事では、「裁量労働制」と「フレックスタイム制」の違いや、労働契約を結ぶ際に注意すべき点について解説します。
裁量労働制とフレックスタイム制の違いは?
裁量労働制とフレックスタイム制は、どちらも始業終業の時間に縛られない働き方です。しかし、裁量労働制とフレックスタイム制では、労働時間の管理の仕方や対象となる職種などに違いがあります。裁量労働制とフレックスタイム制の違いは、大きく分けて以下の4つです。
●労働時間の管理・計算方法が違う
●対象となる職種が違う
●導入する際の手続きが違う
●報酬の支払い方法が違う
それぞれの違いについて、ひとつずつ見ていきましょう。
労働時間の管理方法が違う
裁量労働制の場合、従業員が出社する時間や退勤する時間を自由に決められます。
フレックスタイム制の場合も、出勤と退勤の時間を自分で決められますが、必ず出勤しなくてはならない「コアタイム」が設定されているため、24時間いつでも自由に出勤・退勤してもよいというわけではありません。フレックスタイム制では出勤・退勤時間を自分で決めることはできますが、労働時間そのものは一般の従業員と同じです。
しかし、裁量労働制の場合は、「みなし労働時間」が設定されており、みなし労働時間を8時間以下と設定した場合、8時間に満たない労働時間であっても「8時間労働した」ということになります。
対象となる職種が違う
フレックスタイム制は、職種が限定されず全ての従業員に導入できます。一方の裁量労働制は、対象となる職種が限定されているため、全ての従業員に導入することはできません。
裁量労働制は、「専門業務型裁量労働制」と「企画業務型裁量労働制」の2つに大別できます。
専門業務型裁量労働制の対象職種は、研究・開発職など専門性の高い職種や弁護士や公認会計士、税理士などの士業、デザイナー、コピーライターなどのクリエイティブな仕事です。
企画業務型裁量労働制は、事業運営に関する重要な決定が行われる本社などで、企画立案や調査、分析などの業務を行う労働者が対象となります。
導入する際の手続きが違う
裁量労働制とフレックスタイム制は、どちらも導入するためには労使協定の締結や就業規則の規定などが必要です。
裁量労働制を導入する際は、労使委員会を設置し決議を行い、決議したことを労働基準監督署へ届け出をする必要があります。
フレックスタイム制の場合は、まず「始業、終業時刻の労働者による決定」を就業規則に規定し、労使協定においてフレックスタイム制の基本的枠組みを定めます。
報酬の支払い方法が違う
裁量労働制の報酬は、実際の労働時間ではなく、あらかじめ定められたみなし労働時間で支払われます。また、裁量労働制ではみなし労働時間を超えることがないため、時間外労働がありません。ただし、休日労働や深夜労働をした場合には、割増賃金が発生します。
フレックスタイム制は、実際の労働時間に応じた報酬がそのまま支払われます。時間外労働についても、法定労働時間を超えたものについては、割増賃金が発生します。
雇用契約書で注意するべき点
雇用契約を結ぶ際、雇用契約書に書かれている裁量労働制とフレックスタイム制について、以下の点に注意しておきましょう。
●裁量労働制の場合:始業・就業の時刻、所定時間外労働の有無に関する事項の欄に「裁量労働制」を適用する旨が明記されている。労使協定で定めた内容に基づいて労働時間を記載されている
●フレックスタイム制:始業・就業の時刻、所定時間外労働の有無に関する事項の欄に「フレックスタイム制」を適用する旨が明記されている。フレキシブルタイムとコアタイムがある場合は、その時間帯の開始および終了の時刻を記載されている
「裁量労働制」と「フレックスタイム制」では労働時間の管理・計算方法などの違いがある
裁量労働制とフレックスタイム制は、どちらも時間に縛られない働き方ですが、「労働時間の管理・計算方法」「対象となる職種」「導入する際の手続き」などの違いがあります。
導入する際は、裁量労働制とフレックスタイム制の制度の意味をきちんと理解したうえで慎重に決定しましょう。
出典
厚生労働省 裁量労働制の概要
厚生労働省 フレックスタイム制のわかりやすい解説&導入の手引き
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
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