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「30時間」のみなし残業制で「50時間」働いたらその分の残業代は支払われる? 会社の「メリット」はどんなものがあるの?

ファイナンシャルフィールド / 2023年1月18日 2時40分

「30時間」のみなし残業制で「50時間」働いたらその分の残業代は支払われる? 会社の「メリット」はどんなものがあるの?

みなし残業制度を採用する会社で、みなし残業時間を超えて働いてしまった場合、その分の残業代は支払われるのか心配になったことはありませんか?   先に結論を言ってしまうと、実際はみなし残業時間以上に働いた時には、その分の残業代は支払われます。   さて、ここでふと疑問がわきます。みなし残業時間を超えた分に対しても残業代が支払われるのであれば、なぜ会社はみなし残業制度を導入しているのでしょうか?   今回は、実際にみなし残業時間を超えて働いた場合、残業代がいくら支払われるのかをシミュレーションし、企業がみなし残業制度を導入している理由を解説します。

残業代をシミュレーション

例として、30時間分のみなし残業制度を導入している会社で、50時間の残業をした場合、残業代がいくら支払われるのかを計算してみましょう。
 
1時間当たりの賃金は1500円とします。この場合、支払われる追加の残業代は3万7500円です。計算式は下記のとおりです。なお、従業員が時間外労働をした場合には、1時間あたりの賃金に「割増率(1.25倍)」をかけて算出します。

1時間あたりの賃金1500円×(実残業時間50時間-みなし残業時間30時間)×割増率1.25 = 3万7500円

1時間あたりの賃金は、基本給÷月の平均所定労働時間で算出されます。正確な金額は会社の労務が計算しますが、おおよそ基本給÷(1日の定時の業務時間×20日)で計算可能です。
 
例えば、基本給が20万円で、1日8時間の勤務をしているとします。この場合、20万円÷(8時間×20日)で、1時間あたりの賃金は1250円です。
 
上記の式は通常の残業代を計算する時と、同じ計算方法です。このように、みなし残業時間を超えて残業した場合でも、指定の計算方法で問題なく残業代が支払われます。
 

企業がみなし残業制度を導入する2つの理由

みなし残業制度を導入しても、結局は通常の残業代を支払うなら、会社にはどのようなメリットがあるのでしょうか? 会社がみなし残業制度を導入する主なメリットは、下記の2つです。
 

残業代の計算を効率化できる

従業員に業務効率化の意識を促せる

 
それぞれ説明します。
 

残業代の計算を効率化できる

みなし残業制度があることによって、指定のみなし残業時間以下しか残業していない人の残業代の計算を一律で省けます。
 
例えば、みなし残業時間が30時間、実際の残業時間が10時間の場合、実残業時間がみなし残業時間より短いので残業代の計算が必要なくなり、規定の基本給+みなし残業代を支給すれば給与計算が終わるわけです。
 
結果、賃金の計算業務を効率化でき、従業員がより価値を生み出す業務に集中できる環境が作れるメリットがあります。
 

従業員に業務効率化の意識を促せる

みなし残業制度は、従業員にみなし残業時間以下で業務を終わらせようという意欲を湧かせるきっかけになります。
 
みなし残業時間が30時間とすると、従業員は「月の残業時間を30時間より短くすれば、その分のみなし残業代は得できる」と考える可能性が高いです。そうすると、できるだけ仕事を定時時間内や短い残業時間内で終わらせようとするため、生産性を高める努力をしてくれます。
 
このように、みなし残業制度を通じて、従業員が成長するきっかけを作れるのです。加えて、効率化された業務フローや業務効率化のノウハウが社内にたまっていきます。従業員の成長やノウハウの蓄積は会社にとって事業の成長につながるため、将来的に大きなメリットが見込めます。
 

みなし残業制度を有効活用して効率よく稼ごう

みなし残業時間を超えて残業したとしても、通常通りの残業代が問題なく支払われます。業務が立て込み、残業時間が増えてしまった月があった場合も安心してください。
 
また、みなし残業時間より短い残業時間で業務が終われば、短くなった分の残業代は得になります。
 
みなし残業制度を採用している企業に勤めているなら、制度を有効活用し、生産性高く業務をこなして効率よく給料を稼ぐようにしましょう。
 
 
執筆者:増田賢人
2級FP技能士

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