夫婦2人で「月26万円」の年金を受け取りたい! 現役時代の年収は「700万円以上」が目安に
ファイナンシャルフィールド / 2023年1月20日 23時30分
総務省がまとめた「家計調査年報(2021年)」によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯における「生活費」は約25万5100円(消費支出約22万4400円と非消費支出約3万700円の合計)です。 これを全て年金で賄うためには、夫婦で合わせて月26万円程度の年金受給額が必要です。 それでは、夫婦で毎月26万円の年金を受け取るためには現役時代に年収がいくら必要なのか、詳しく解説します。
夫婦共働きの場合
まずは現役時代に「夫婦共働き」だった場合を見てみましょう。夫婦がそれぞれ年金を毎月13万円受給するためには、年収がいくら必要なのでしょうか。
まず、令和4年度の老齢基礎年金額は満額で6万4816円です。夫婦が2人とも満額を受け取れる場合、残り約13万円を老齢厚生年金で補えればよい、となります。
老齢厚生年金の大部分は「報酬比例部分」です。報酬比例部分額は厚生年金の加入期間が平成15年4月以降の場合「標準報酬月額×5.481÷1000×平成15年4月以降の加入月数」です。仮に加入月数が456ヶ月(38年間)であるとするならば、「標準報酬月額×5.481÷1000×456ヶ月」がそれぞれ78万円(6万5000円×12ヶ月)になればよいわけです。
そうして計算すると、必要な標準報酬月額は32万円になります。年収だと384万円(32万円×12ヶ月)です。それ以上であれば、年金受給額は26万円以上になります。
それでは、夫婦の年収が500万円と268万円だった場合はどうでしょうか。
年収500万円の場合の標準報酬月額は41万円、年収268万円の場合の標準報酬月額は22万円です。この額に先ほどの「標準報酬月額×5.481÷1000×456ヶ月」を当てはめると、年収500万円の方の報酬比例部分は102万4727円、年収268万円の方の報酬比例部分は54万9853円になります。この場合、両者を足して12ヶ月で割ると13万1215円となります。満額の老齢基礎年金と合わせると26万847円です。
どちらかが専業主婦(夫)だった場合
それでは、どちらかが専業主婦(夫)だった場合はどうでしょうか。その場合も老齢基礎年金は両者が満額を受け取れると仮定すると、夫か妻の働いている側が老齢厚生年金で13万円(年額156万円)を補わなければなりません。
先ほどの「標準報酬月額×5.481÷1000×456ヶ月」にこの額を当てはめた場合、必要となる平均報酬月額は62万4165円です。片働きだった場合、働いている側の厚生年金加入期間の平均年収が726万円以上でなければなりません。
年収が足りない場合は繰下げ受給という手もある!
もしも計算の結果、「夫婦の年収では年金受給額が26万円に届きそうにない」、という場合には、「年収アップとは別の方法」で年金受給額を増やす方法を考えるとよいでしょう。
例えば「繰下げ受給」という方法があります。繰下げ受給とは、1ヶ月遅らせるごとに0.7%が年金に加算され、66歳まで受給を遅らせることで8.4%、最長で75歳、84%まで受給額を加算できるというものです。
例えば、年収がそれぞれ300万円の夫婦の場合、老齢厚生年金の受給額は「平均標準報酬月額26万円×5.481÷1000×456ヶ月×2人」で129万9654円(月額10万8304円)です。老齢基礎年金と合わせると23万7936円となるため、目標には約2万2000円足りません。
しかし、夫婦が共に66歳まで受給を遅らせれば、年金受給額は25万7922円になります。目標の26万円にかなり近づけることができるわけです。
夫婦それぞれが年収384万円以上であれば世帯での年金受給額26万円が可能!
計算した結果、世帯で毎月26万円以上の年金を受給するためには、共働きの場合は夫婦の年収が768万円以上、片働きであれば726万円以上必要であることが分かりました。
もしもその金額に届きそうにないという場合は、別の方法で受給額を増額させるのもひとつの方法です。例えば、夫婦の年収がそれぞれ300万円でも、1年間受給を遅らせれば目標の月26万円にかなり近づけることができます。
出典
総務省統計局 家計調査年報(家計収支編)
日本年金機構 令和4年4月分からの年金額等について
日本年金機構 は行 報酬比例部分
日本年金機構 令和2年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表(令和4年度版)
日本年金機構 年金の繰下げ受給
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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