「車の購入」は実際どのくらい節税効果がある? 「4年落ちの中古車」がおすすめな理由も解説
ファイナンシャルフィールド / 2023年1月21日 23時20分
「節税目的で車を買う」ことは、会社員にとっては縁遠いかもしれませんが、法人や個人事業主にとっては大きな意味を持ちます。車の購入には節税効果があると知っていても、どうすれば節税効果を最大にできるのか疑問に思われる人も多いでしょう。本記事では、節税目的で車を買う際に、効果の高い方法をご紹介します。
車の購入が節税になる理由
そもそもの話として、なぜ車を購入すると節税になるのか、その理由を解説します。
法人や個人事業主が業務使用を目的に物品を購入する場合に、その購入にかかった費用が経費として認められます。業務目的の物品として、安価なものだと文房具や業務連絡に使う携帯電話、パソコンなどが当てはまり、高価なものだと物品の製造に使う機械類、そして自動車なども当てはまるのです。
また、高価な物品購入については国が定めた耐用年数に応じた年数を減価償却という形で複数年にわたり経費計上できます。
自動車の購入は、減価償却の効果が大きくなっています。国が定めた車の耐用年数は「普通車6年、軽自動車4年」となっており、比較的高額な買い物にもかかわらず短い年数で経費計上できる金額は大きめです。こうして計上した経費は、確定申告時に所得金額から差し引くことができます。課税対象の所得金額が小さくなるため、節税効果が生まれるのです。
車を購入した際の節税効果をチェックしてみよう
事業用の車を購入した際にどれくらい経費計上できるのか、確認していきます。ここでは普通車を新車で購入した場合と中古で購入した場合とで比較していきます。
減価償却のルールについて
簡単に減価償却をする際のルールについて簡単に確認してきます。減価償却をする際、「定額法」と「定率法」で計算方法が異なります。
定額法は、その資産の耐用年数に応じて毎年同じ金額を減価償却費として計上していくやり方です。個人事業主は、原則この方法を用いて行います。
定率法は、残高に応じて償却率を掛けた金額で償却していく方法です。償却率については耐用年数に伴って一定の割合が定められています。その割合は次のようになります。
2年:1.000
3年:0.667
4年:0.500
5年:0.400
6年:0.333
どちらの方法で減価償却をするかは選択でき、申告期限までに税務署に届け出る必要があります。
新車を購入した場合のシミュレーション
それでは実際にシミュレーションをしてみましょう。ここでは税金を含まない車の購入価格が300万円だったと仮定し、定額法で確認していきます。
前段で普通車の耐用年数が6年と説明しました。減価償却率は1÷耐用年数で求められます。普通車の耐用年数6年ですから、1÷6年=0.167年になり、それに当てはめると以下の計算式となります。
1年当たりの減価償却費:300万円×0.167年=50.1万円
このように年間50.1万円が経費として計上できることになります。
中古車を購入した場合のシミュレーション
次は中古車を購入した場合の簡易シミュレーションです。
中古車を購入した場合、耐用年数以内か超えているかで計算方法が変わってきます。
●法定耐用年数以下の場合
(法定耐用年数-経過年数)+経過年数×20%
●法定耐用年数以上の場合
法定耐用年数×0.2
※いずれも小数点以下は切り捨て
仮に3年落ちの普通車を中古で、200万円で購入した場合の耐用年数の計算方法は以下のとおりとなります。
(6年-3年)+3年×20%=3.6年
※小数点以下を切り捨てるため、3年で減価償却をする。
3年落ちの中古車を200万円で買った場合は、3年間で減価償却できるため年間66.6万円の経費計上ができるということになります。
車の購入で最も効果的に節税できるのは「4年落ちの中古車を買う」
最も節税効果が高いのは表題の通りです。
減価償却資産の耐用年数等に関する省令の三条2項に「次に掲げる資産(別表第一、別表第二、別表第五又は別表第六に掲げる減価償却資産であって、前号の年数を見積もることが困難なものに限る。)の区分に応じそれぞれ次に定める年数(その年数が二年に満たないときは、これを二年とする。)」と記載されており、それに応じて計算すると「(6年-4年)+4年×20%=2.8年」となるため、4年落ちの中古車を購入すると2年間で減価償却できるのです。
よく「儲かっている会社は4年落ちのベンツを買う」と言われていますが、それにはこうした理由があったのです。
注意しておきたいのが、その車の購入が本当に事業のために使われているのかということを証明する必要があることです。極端に高額な車などは税務調査が入った時に疑念を指摘される可能性があります。
極端な節税はNGだが、車購入の節税は利用の価値あり!
最も節税効果が高いのは「4年落ちの中古車購入」でした。車購入の際には意識したいところです。ただ本当に必要なタイミングで車を購入しないと後々の資金繰りに影響してくる場合もあるので注意しましょう。
出典
国税庁 No.2100 減価償却のあらまし
国税庁 主な減価償却資産の耐用年数表
財務省 減価償却資産の耐用年数等に関する省令
執筆者:宇野源一
AFP
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