親の介護が突然始まったとき、慌ててやってはいけないこととは?
ファイナンシャルフィールド / 2023年1月24日 11時20分
![親の介護が突然始まったとき、慌ててやってはいけないこととは?](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_182114_0-small.jpg)
親はいくつになっても元気でいてくれると思っていたのに、突然倒れて入院。回復はしたものの完全には元に戻らず、「いきなり介護が始まり、どうしてよいか分からない」というご相談を受けることがあります。 まずは、地域包括支援センターでの相談をお勧めするのですが、あわせて慌ててやってはいけないこともお伝えしています。
すぐに仕事を辞めようと考えない
大切な親のためにできるだけのことをしてあげたいと考え、仕事を辞めて実家で介護しようと考える人もいます。しかし、仕事を辞めて収入がなくなれば、自分の生活費に困ることになるでしょう。
介護が始まったときに、いつまで続くのかを予想できません。貯蓄があっても介護期間が長くなれば底をつくこともあるでしょう。また、介護期間が終わった後に、また今と同じような仕事を探せる保証もありません。
まずは、介護休暇、介護休業などを利用して、介護と仕事を両立できる体制を整えましょう。介護保険や市区町村が提供するサービスをできる限り利用できるよう、情報を集めることが重要です。
介護保険制度の要介護認定を受けてケアマネジャーが決まったら、相談しながらケアプランを考えます。自分が仕事をしながら親を支えられるよう、介護休暇や介護休業を取りながら介護の体制を整えましょう。「パートだから無理」などと最初からあきらめてしまう人もいますが、正社員でなければ利用できないという決まりはないので、会社と相談してみましょう。
介護に必要なお金を立て替え続けない
親のお金はどこにあるのかよく分からないからと、取りあえず立て替えていると、次第にいくら立て替えたか分からなくなってきます。基本的に、親の介護費用は親の年金と貯蓄から賄うと考えましょう。
これまで、親にお金のことなんて聞けないと思っていた人もいらっしゃるでしょう。しかし、今後の介護のことを考えると、親から年金や預金のことを聞き出しておいたほうが良いケースが多いです。そして、できるだけその範囲でできる介護プランを考えてもらえるよう、ケアマネジャーとの良い関係も大切です。
親を援助したいと考える子の気持ちは分かりますが、援助するにしても無理のない範囲を心掛けましょう。介護を始めた頃は問題なくても、介護期間が長くなり、介護度が上がってくると費用がかさみ、次第に苦しくなってくることもあります。親の介護はきちんとできたけれど、自分は生活資金に困るということになれば本末転倒です。
また、親の「お金」を管理する場合は、いつ・何に・いくら使ったのか、きちんと記録を残すようにしておくことが重要です。立て替える場合も記録に残し、忘れないうちに返してもらうようにします。特にきょうだいがいる場合、親のお金のことで後々もめたというケースもあるので、しっかり記録を残しておきましょう。
きょうだいに相談せずにあれこれ決めない
兄弟姉妹がいる場合、相談してから介護の方針を決めることが重要です。一緒に育ったきょうだいでも大人になって別々の暮らしが長くなると、考え方もそれぞれ変わってきます。
誰が中心になって介護をするのか、自宅で介護を受けるか施設に入所するかなど、意見が合わないことがあるかもしれません。それぞれに、「長男だから」「親は自分をもっとも頼りにしていたから」「遠く離れて暮らしているから」「今は自分の生活が大変で」などという思いが交錯し、もめてしまうこともあるでしょう。しかし、焦って1人で決定し、そこで兄弟姉妹の関係が悪くなってはいけません。
自分が中心となって介護するにしても、困ったときにきょうだいを頼れるかどうかは、介護する側が倒れてしまわないための大事なポイントです。そのためにも、連絡は密に取っておきましょう。
例えば、LINEグループを作り、「こんなことがあった」「こんなことを決めないといけない」などの情報を共有すると、細かな誤解も避けられるのでオススメです。意見のすり合わせは大変かもしれませんが、ここで仲たがいすることがないよう、連絡と相談は重要です。
まとめ
初めての介護が突然始まったら、どうしてよいか分からず、後から考えれば軽率だったと思う判断をすることがあるかもしれません。決して慌てないで、まずは地域包括支援センターで相談をしましょう。できるだけ情報を集め、周囲と相談しながら、長く親を支えられる介護の方法を考えましょう。
親の年金や貯蓄のことは聞きにくいと思いますが、せめて「もしものときのために、預金通帳とキャッシュカードのことを教えて」と親が元気なうちに聞いておくと安心です。
執筆者:蟹山淳子
CFP(R)認定者
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