住宅ローンの変動金利と固定金利はどっちが有利? 将来の変化を予測できるのか?
ファイナンシャルフィールド / 2023年1月26日 3時20分
住宅金融支援機構の「住宅ローン利用者の実態調査」(2022年4月調査)によると、住宅ローンの契約で変動金利を選んだ人は全体の73.9%、全期間固定型は8.9%で、残りの17.3%が固定期間選択型となっており、史上最低の超低金利を背景として、実に7割を超える方々が変動金利を利用しています。 その一方で、昨今の世界的な物価高などを理由に、固定金利が少しずつ上昇し始めているとの報道も耳にするようになりましたが、私たちは住宅ローンの金利の選択についてどのように判断すればいいのでしょうか? 金利の決定要素など、基本的なポイントを確認してみたいと思います。
「変動金利」と「固定金利」の決定要素とは
住宅を購入する際、「今は金利が最も低い変動金利で契約しても、将来、金利が上がるようであれば固定金利に変更できるので安心です」といった不動産業者の営業トークを聞いたことはないでしょうか?
確かに住宅ローンの契約では多くの場合、変動金利から固定金利への変更は可能です。しかし、変動金利が上がり始めた段階では、固定金利はすでに上昇してしまっており、変更のメリットを十分に享受することは困難となります。
固定金利は、長期金利を参考に決定されるといわれていますが、その代表的な指標が「新発10年国債利回り」です。利回りの水準は、国内外の投資家による市場取引によって、将来の景気見通しに影響されるとされています。
一方、変動金利は一般的に「短期プライムレート」と呼ばれる、銀行が信用力の高い企業に融資する際に適用される金利(期間1年以内)によって決定されるといわれています。この短期プライムレートは、日銀の政策金利とほぼ連動しています。
つまり、固定金利は投資家による将来の景気見通しに影響され、変動金利は現在の景況感を反映した日銀の政策金利に連動する傾向があります。
そのため、金利が上昇していく過程では、先行して長期金利(固定金利)が上昇し、その後に政策金利と連動する変動金利が上昇する傾向が強いとされています。
実際に、固定金利の代表格である「フラット35」の借入金利の推移を見ると、2022年前半から徐々に上昇傾向にあり、2022年12月時点で最高3.000%、最低1.650%となっています(借入期間21年以上35年以下、融資率9割以下、新機構団信付き)。
結論として私たち一般消費者は、前述したとおり、住宅ローンの変動金利が上昇し始めた頃には、すでに固定金利は上昇している可能性が高い点をしっかりと認識しておく必要があるということです。
変動金利の基本的なルール
住宅ローンの変動金利には、その金利や返済額の変更の際の原則的なルールとして以下の3つがあります。
(1)金利の見直しは半年に一度
金融機関ごとにタイミングは異なりますが、半年に一度(年2回)金利の見直しが実施され、向こう6ヶ月間の返済額の内訳(元金と利息)が提示されます。
(2)返済額の変更は5年に一度(5年ルール)
実際に金利の上昇などによって返済額自体を変更するタイミングは、5年に一度とする「5年ルール」があります。その間、半年に一度金利が見直しされ、仮に上昇を続けたとしても元利均等返済の場合は5年間、毎月の返済額は変わらず、元金と利息の構成が変化することになります。
(3)急激な返済額の上昇を防ぐ125%ルール
5年に一度の返済額の変更により、仮に金利の上昇が急激であった場合、返済額の大幅な上昇による過度の負担増加を避けるため、その上昇幅の上限を125%とする「125%ルール」が適用されます。
まとめ
今回のタイトルにあるような、住宅ローンの金利水準の将来的な予測を事前に行うことは、実質不可能といえます。また、変動金利と固定金利でどちらが有利であるかについても、人それぞれの状況に応じて判断するしかないという回答になります。
少々無責任な結論のように聞こえるかもしれませんが、変動金利と固定金利のそれぞれにメリット・デメリットがあり、その特性をしっかりと理解しながら活用することが重要だといえるでしょう。
筆者の私見ではありますが、変動金利についても、いつかは上昇に転じるものであるという意識は必要だと思います。超低金利時代のメリットを享受しつつ、仮に将来的に変動金利が急激に上昇したとしても、返済額の変化に対応できる準備を進めておくことが大切ではないでしょうか。
出典
住宅金融支援機構 住宅ローン利用者の実態調査
住宅金融支援機構 【フラット35】借入金利の推移
執筆者:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー
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