医療費の計算がマイナンバーカードで便利に! マイナポータル活用での医療費控除の注意点を解説
ファイナンシャルフィールド / 2023年1月26日 6時30分
![医療費の計算がマイナンバーカードで便利に! マイナポータル活用での医療費控除の注意点を解説](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_182556_0-small.jpg)
所得税の医療費控除を受けるためには、1年分の医療費を集計して確定申告時に添付した上で、その領収書を5年間保管することが必要となります。 2022年分の確定申告から、1年分の医療費通知情報を「マイナポータル」で取得できるようになり、集計・入力の手間が簡略化できます。さらにこの場合、領収書の保管義務も免除されます。 この「医療費控除のマイナポータル連携」について、概要やメリットを解説します。
マイナポータル連携で医療費情報の取得が可能に
医療費控除の手続きには、原則として「医療費控除の明細書」を所得税の確定申告書に添付する必要があります。医療費控除の明細書は、領収書ごとに1件ずつ入力するか、または「医療を受けた人」「病院・薬局などの名称」ごとにまとめて記入する必要があり、手間がかかります。
一方で、マイナポータル連携を利用すれば、確定申告時に上記の情報が自動で取得でき、明細書の作成が不要となります。医療費控除の手続きに要する手間の軽減が見込めるのです。
マイナポータル連携とは
マイナポータル連携とは、政府が運営するウェブサイト「マイナポータル」を利用し、所得税の確定申告などについて必要書類(控除証明書など)をデータで取得し、該当項目へ自動入力する機能のことです。
2021年分は、医療費通知情報については9〜12月分しか取得できませんでしたが、令和4年分からは1年間分のデータをまるごと取得できるようになり、入力作業が軽減できます。
マイナポータル連携による医療費控除の手続きをするには、
「マイナンバーカードの取得」
↓
「マイナンバーカードと健康保険証の一体化」
↓
「マイナポータル上での事前設定」
という流れを踏む必要があります。
また、マイナンバーカードをマイナポータルに認識させるとき、マイナンバーカード読取機能のあるスマートフォン(またはICカードリーダライタ)が必要となります。
医療費をマイナポータル連携するメリット
医療費通知情報をマイナポータルと連携するメリットは、大きく分けて以下の3つが挙げられます。
1.入力する手間が不要になる
上述のとおり、医療費控除の手続きには、原則として「医療費控除の明細書」を作成する必要があります。明細書には、「医療を受けた方の氏名」「病院・薬局などの支払先の名称」「医療費の区分」「支払った医療費の額」などを記入します。
マイナポータル連携で医療費情報を取得すると、これらの必要事項が自動入力されるため、入力の手間が省けます。
2.領収書の保管義務が免除される
医療費控除を受けた場合、医療費控除の明細書を作成した上で、その根拠となる領収書を5年間保存する義務があります。
この点、マイナポータル連携を利用して取得した医療費通知情報に含まれる医療費は、領収書を保存する義務が免除されます。
3.家族分の情報も連携できる
マイナポータル連携によって取得できる医療費通知情報は、通常だと本人分だけです。一方で、医療費控除においては、本人だけでなく生計を一にする配偶者など、親族が支払った医療費も控除の対象とすることができます。
家族分の情報もマイナポータル連携によって取得したい場合、あなたと家族の間で「代理人設定」をすることで、家族分の医療費通知情報も取得できます。ただし、家族もマイナンバーカードを取得していることが条件となります。
医療費をマイナポータル連携するときの注意点
医療費をマイナポータルと連携する場合の注意点は、以下の3つが挙げられます。
1.生命保険等で補填されるものがある場合
実際に支払った医療費であっても、加入している生命保険などで医療費を補填される場合には、支払った医療費から差し引き計算する必要があります。
保険金の請求情報や、受け取った保険金がどの医療費と対応するかということまでは、マイナポータル連携では反映されないため、手動で修正する必要があるのです。
ただし、生命保険などによって、実際に支払った医療費の金額を超える給付金を受けたとしても、ほかの医療費からは差し引きません。
2.保険診療(健康保険)外の費用がある場合
医療費通知情報は、健康保険の対象として自己負担分を支払ったものが反映されます。そのため、「医療費控除の対象とはなるが、健康保険では対象とならない費用」はマイナポータル連携で取得することはできません。
例えば、「松葉づえ」や「コルセット」「公共交通機関の料金」などは、医療費控除の対象になる場合でも、マイナポータル連携で反映させることはできません。
3.保存期間は3年まで
医療費通知情報がマイナポータルに保存されるのは、過去3年分のみです。さらに、医療費通知情報の連携が開始された2021年8月診療分以前については、そもそも取得対象外です。
ご自身の医療費の推移を知りたい場合など、取得対象外の情報も参照したい人は、医療費の領収書を手元に残しておくことをおすすめします。
まとめ
医療費控除の手続きは、従来は控除対象となる医療費を計算して入力する作業が必要でしたが、マイナポータル連携によってかなりの手間が削減できます。また、領収書を5年間保管する義務がなくなることで、部屋のスペースを圧迫せずに済みます。
マイナンバーカードをすでに持っている人なら簡単に始められるので、この機会に試してみてはいかがでしょうか。
出典
国税庁 医療費控除を受ける方へ
国税庁 マイナポータル連携特設ページ(マイナポータルを活用した控除証明書等のデータ取得と自動入力)
国税庁 確定申告書等作成コーナー 入力方法の選択(医療費控除)
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)
国税庁 確定申告書等作成コーナー よくある質問より 保険金などで補てんされる金額とは
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.1122 医療費控除の対象となる医療費
デジタル庁 マイナポータルAPI 仕様公開サイト よくあるご質問
執筆者:齋藤たかひろ
2級ファイナンシャルプランナー
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