年金保険料を払うことで得られる社会保障~障害年金・遺族年金について解説~
ファイナンシャルフィールド / 2023年2月5日 2時0分
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年金保険料をきちんと払っていると、万一の際に保障を受けられることをご存じでしょうか。一定程度の障害状態や亡くなった場合に、障害年金や遺族年金を受け取れます。被保険者を支える家族や遺族の方も安心です。 本記事では、年金保険料を払うことで得られる社会保障の障害年金と遺族年金の受給要件、年金額などについて解説します。
障害年金とは
年金保険料を払うことで、病気やけがで障害が生じたときに障害年金を受け取れます。障害年金は、「障害基礎年金」と「障害厚生年金」の2種類あります。
一定期間以上の年金保険料納付済期間などを有し、障害基礎年金は障害等級1〜2級、障害厚生年金は障害等級1〜3級の障害状態がある場合に受給可能です。障害基礎年金もしくは障害厚生年金(障害等級1級・2級)を受給する場合は、国民年金保険料は免除となります。
受給要件
障害基礎年金の受給要件は、次のとおりです。
(1)障害の原因である病気・けがの初診日が以下のいずれかの間であること
・国民年金加入期間
・20歳未満または日本に住む60歳以上65歳未満で国民年金未加入期間
(2)障害の状態が障害認定日に障害等級表に定める1級・2級に該当していること
※障害認定日以後に20歳に達したときは20歳に達した日が障害認定日となります
(3)初診日前日において、初診日がある月の前々月までの被保険者期間に、国民年金保険料納付済期間と保険料免除期間の合算期間が3分の2以上あること
ただし、初診日が令和8年4月1日前で初診日に65歳未満の場合は、初診日前日において初診日がある月の前々月までの1年間に年金保険料の未納期間がないこと
※20歳前の年金制度に加入していない期間に初診日があるときは、納付要件は不要
また、障害厚生年金の受給要件は、次のとおりです。
(1)厚生年金加入期間に障害の原因となる病気・けがの初診日があること
(2)障害等級が、障害認定日に障害等級表に定める1〜3級のいずれかに該当していること
(3)初診日前日において、初診日がある月の前々月までの被保険者期間に、国民年金保険料納付済期間(厚生年金保険の被保険者期間、共済組合の組合員期間を含む)と保険料免除期間の合算期間が3分の2以上あること
ただし、初診日が令和8年4月1日前で初診日に65歳未満の場合は、初診日前日において初診日がある月の前々月までの1年間に年金保険料の未納期間がないこと
年金額
障害基礎年金の年金額は、図表1のとおりです。
【図表1】
障害等級1級 | 97万2250円+子どもの加算額 |
障害等級2級 | 77万7800円+子どもの加算額 |
※2022年4月分からの場合
出典:日本年金機構 障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額
子どもの加算額は、障害年金受給者に生計を維持されている子どもがいる場合に加算されます。子どもの加算額は図表2のとおりです。
【図表2】
2人まで | 1人につき22万3800円 |
3人目以降 | 1人につき7万4600円 |
※2022年4月分からの場合
出典:日本年金機構 障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額
また、障害厚生年金の年金額は図表3のとおりです。
【図表3】
障害等級1級 | 報酬比例の年金額×1.25+[配偶者の加給年金額(22万3800円)] |
障害等級2級 | 報酬比例の年金額+[配偶者の加給年金額(22万3800円)] |
障害等級3級 | 報酬比例の年金額 最低保障額 58万3400円 |
※2022年4月分からの場合
※配偶者の加給年金額は、受給者に生計を維持されている65歳未満の配偶者がいる場合
出典:日本年金機構 障害厚生年金の受給要件・請求時期・年金額
遺族年金とは
遺族年金とは、国民年金や厚生年金の被保険者だった方が亡くなった場合に、その方に生計を維持されていた遺族が受給できる年金のことです。「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」の2種類あります。
亡くなった方の年金加入状況などによって、遺族基礎年金と遺族厚生年金のいずれか、もしくは両方の受給が可能です。
遺族基礎年金と遺族厚生年金の受給要件や年金額について見ていきましょう。
受給要件
遺族基礎年金は、亡くなった方が以下の要件のうちいずれかを満たしているときに受給できます。
(1)国民年金の被保険者である間に亡くなったとき
(2)60歳以上65歳未満の国民年金の被保険者で日本国内に住所がある方が亡くなったとき
(3)老齢基礎年金の受給権者が亡くなったとき
(4)老齢基礎年金の受給資格を満たす方が亡くなったとき
※(1)(2)は、亡くなる前日時点で保険料納付済期間が国民年金加入期間の3分の2以上が必要。ただし、死亡日が令和8年3月末日までで、亡くなった方が65歳未満の場合は、死亡日を含む月の前々月までの1年間に年金保険料の未納がないこと
※(3)(4)は合算期間(保険料納付済期間と保険料免除期間)が25年以上ある方
遺族厚生年金は、亡くなった方が以下の要件のうちいずれかを満たしているときに受給できます。
(1)厚生年金保険の被保険者である期間に亡くなったとき
(2)厚生年金被保険者期間に初診日がある病気やけがが原因で5年以内に亡くなったとき
(3)障害厚生(共済)年金(1級または2級)の受給者が亡くなったと
(4)老齢厚生年金の受給権者が亡くなったとき
(5)老齢厚生年金の受給資格を満たす方が亡くなったとき
※(1)(2)は死亡日前日時点で、免除期間を含む保険料納付済期間が国民年金加入期間の3分の2以上必要。ただし、死亡日が令和8年3月末日までで、亡くなった方が65歳未満の場合は、死亡日を含む月の前々月までの1年間に年金保険料の未納がないこと
※(4)(5)の要件は合算期間(保険料納付済期間と保険料免除期間)が25年以上ある方
年金額
遺族基礎年金の年金額は、図表4のとおりです。
【図表4】
子どものいる配偶者が受け取る場合 | 77万7800円+子どもの加算額 |
子どもが受け取る場合 | 77万7800円+2人目以降の子どもの加算額 |
※2022年4月分からの場合
出典:日本年金機構 遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)
子どもの加算額は、図表5のとおりです。
【図表5】
2人まで | 各22万3800円 |
3人目以降 | 各7万4600円 |
※2022年4月分からの場合
出典:日本年金機構 遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)
遺族厚生年金の年金額は、亡くなった方の厚生年金の報酬比例部分の4分の3です。受給要件に該当し、報酬比例部分の厚生年金の被保険者期間が300月未満のときは300月として算出します。
また、厚生年金の受給権利のある方が、配偶者が亡くなって遺族厚生年金を受給する場合は、以下の2つの金額を比較して、高いほうの金額が受給額となります。
・亡くなった方の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3
・亡くなった方の老齢厚生年金の報酬比例部分の2分の1と自身の老齢厚生年金の2分の1を合算した額
年金保険料を納付していると万一の際に保障があるので安心
国民年金保険料や厚生年金保険料を納めていると、万一の際に障害年金や遺族年金を受給できます。障害年金や遺族年金の有無によって、支える家族や遺族の経済的負担は大きく変わります。老後対策だけでなく、家族の心配を減らせるのが年金のメリットです。
万一の際にしっかりと社会保障を受けられるように、年金保険料はきちんと納めましょう。
出典
日本年金機構 障害年金
日本年金機構 障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額
日本年金機構 障害厚生年金の受給要件・請求時期・年金額
日本年金機構 遺族年金
日本年金機構 遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)
日本年金機構 遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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