転職先は「固定残業制」です。時間分「残業」しなければならないのでしょうか? 定時で帰っても問題ありませんか?
ファイナンシャルフィールド / 2023年2月8日 11時20分
会社によっては「固定残業制」が採用されているケースもあります。給与にあらかじめ残業代が加算されていると、その分の残業をしなければならないのか疑問を感じる人もいるでしょう。 そこで、今回は、そもそも固定残業制とはどのようなものか基本的なことを紹介し、採用されている場合の残業の考え方などを労働基準法に基づいて解説していきます。
そもそも「固定残業制」とはどのような制度なのか?
実は、労働基準法で固定残業制という名称の制度が定められているわけではありません。労働基準法で定められているのは、1日8時間、1週40時間の法定労働時間です(ただし、常時使用する従業員が10人未満の場合は例外として1週44時間とされています)。そして、この時間を超えて労働させたときは、時間外手当として残業手当などを支払うことが事業者に義務付けられています。
固定残業制とは、残業時間に関係なく支給される定額の割増賃金のことです。一定時間分の時間外労働手当をあらかじめ給与に含めて支払うもので、実際の名称は〇〇手当など会社によって自由に決められています。また、残業の他に休日出勤などを含める会社もあります。
時間外労働をしたとみなして支給されるものですが、必ずしもその分の労働をしなければならないということではありません。つまり、残業する必要がないときは定時で退社しても問題はないということです。
「固定残業制」を採用するときはわかりやすく明記することが必要
会社が固定残業制を採用するには、何時間までで金額はいくらで支給されるのかといった基本的なことを明確に決めておく必要があります。そして、休日労働や深夜労働を含め、決められた時間を超えて労働した場合は割増賃金を追加で支払うことを就業規則に記載しなければなりません。この点においては、新規採用の求人票や募集要項にも明記することが求められています。
求人票に給与を記載するときは「基本給」と「固定残業手当」とを分けることとされており、会社が決めた手当の名称とともに「時間外労働の有無に関係なく○時間分の時間外手当として〇〇円を支給する」といった内容を盛り込み、さらにそれを超過したときの追加手当の支給にも言及しておくことになっています。
取り決めがあいまいで残業が多いときは注意が必要
固定残業制は、全体的に残業が少ない会社ならお得な制度といえます。例えば、実際に残業が必要なのは週に1~2時間程度なのに、固定残業手当として月2万円ほど支給されていれば本来より高い給与をもらえているということになります。しかし、固定残業手当を支給されているからといって安心はできません。
実は、支給されている手当よりはるかに多い額の残業をこなしているケースもあります。残業時間が多いと感じたときは、改めて計算してみた方がいいでしょう。そして、会社の就業規則にきちんと記載されているかどうか確認することも必要です。
「固定残業制」の場合は残業せず定時で退社しても問題はない
固定残業制を採用している会社は、実際の残業の有無に関係なく定額の残業手当が給与に上乗せされます。通常は、何時間まで含まれるのか、そして金額はいくら支給されるのかなどが明記されますが、残業する必要がないときは定時で退社しても問題はありません。
ただし、支給額に対して残業時間が多いときは超過した分を加算して受け取ることができます。
出典
厚生労働省 法定労働時間と割増賃金について教えてください。
厚生労働省 固定残業代を賃金に含める場合は、適切な表示をお願いします
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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