「年金だけ」だと老後は住むところがない!?「平均受給額」と「家賃」を検証
ファイナンシャルフィールド / 2023年2月8日 23時30分
賃貸住宅で生活をするには、家賃を支払い続ける必要があります。将来の年金暮らしをイメージすると、それだけの余裕があるのか心配になるかもしれません。この場合、しっかり実情を把握した上で、あらかじめ対策を考えておくことが大事です。 そこで本記事では、年金の平均受給額と家賃について検証し、具体的な対策のアイデアも紹介します。
年金の平均受給額をチェック
まず年金の平均受給額を確認しておきましょう。厚生労働省が発表した「厚生年金保険・国民年金事業の概況」に、そのデータが掲載されています。令和5年2月1日時点では令和3年度版が最新であり、それによると国民年金の平均受給額は1ヶ月当たり約5万6000円です。
厚生年金の平均受給月額は約14万6000円で、これには老齢基礎年金の併給分も含まれています。このように2種類の年金には大きな差があるので注意しましょう。基本的に、保険料を自分で納付している自営業者は国民年金を受け取り、給与から天引きされている被雇用者は厚生年金を受け取ります。
なお、年度が変わっても、どちらの年金も平均受給額に大きな変動は見られません。少なくとも平成30年度から令和3年度までは、国民年金は約5万6000円で厚生年金は約14万6000円のままです。よって、老後までの年数が少ないなら、そのときの平均受給額もこれらに近いと予想できます。
家賃との差はどれくらい?
家賃に関しては、総務省による「住宅・土地統計調査」の結果が参考になります。令和5年2月1日時点で公表されている最新版は平成30年のものです。それによると、家賃の平均は1ヶ月当たり約5万6000円となっています。
この数値は国民年金の平均受給額と同じなので、平均同士で計算すると、家賃を支払った場合の収支はゼロです。厚生年金を受給する人は余裕があると思うかもしれませんが、家賃は地域ごとに差が大きいので楽観的に考えてはいけません。
例えば、東京都は約8万1000円で神奈川県は約6万8000円というように、人口が多い首都圏のほうが家賃の平均は高い傾向にあります。そのような地域での暮らしを想定し、生活費や医療費の支払いも視野に入れると、厚生年金でも不足するリスクが大きいことが分かるでしょう。
老後も賃貸に住むための対策
家賃を支払った後も年金を手元に残したいなら、家賃の平均が安い地方に住むという手があります。例えば、鹿児島県の平均は約3万8000円なので、平均同士の計算では、国民年金を受給する場合でも収支は約1万8000円のプラスです。
また、小さな物件や古い物件を選ぶことで家賃を抑えやすくなります。とはいえ、生活費などの支払いを考慮すると、やはり年金の受給だけで住み続けるのは厳しいといえます。そこでポイントになるのは、他の手段でも家賃用の資金を用意することです。
健康状態が良好ならシルバー人材として働いても良いですし、老後を迎える前から投資しておくことも有効な対策になります。投資の種類は多岐にわたりますが、家賃の支払いに備えたいなら、リスクが高いものは避けなければなりません。
そういう意味では、国民年金基金連合会が実施しているiDeCoは安心感があります。税制上の優遇措置がありますし、長期的な家賃の支払いを見据えて、年金として分割で受け取っていくことも可能です。
実情を把握して将来の賃貸暮らしに備えよう
年金受給と家賃の平均額を比較すると、賃貸物件で年金だけで暮らすのは難しいことが分かります。ただし、悲観的になる必要はなく、工夫次第で賃貸暮らしを続けることも可能です。そのためには、どれくらい資金が不足するのか考え、住む場所や投資なども検討しなければなりません。今回の検証結果を踏まえ、なるべく早い段階で将来の見通しを立てましょう。
出典
厚生労働省 令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況
総務省 平成30年住宅・土地統計調査
国民年金基金連合会 iDeCoってなに?
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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