「足りなくて働いてるのに…」年金が「支給停止」になる場合がある?「在職老齢年金」について解説
ファイナンシャルフィールド / 2023年2月9日 8時0分
“老後2000万円問題”がクローズアップされるなど、公的年金だけでは生活が難しいと言われている中で、60歳以降や65歳以降も「働かざるをえない」と考えている人もいることでしょう。 しかし、働きながら年金を受け取る場合、一定以上の収入があると年金が減額されたり、最悪の場合は年金が支給停止になったりするので、注意が必要です。 そこで本記事では、年金を受け取りながら働く場合の注意点について解説していきます。
働きながら年金を受け取る場合
給与収入を得ながら「特別支給の老齢厚生年金」や「老齢基礎年金・老齢厚生年金」を受け取ることは可能です。働きながら受け取る年金を「在職老齢年金」と言います。在職老齢年金は、給与収入と老齢厚生年金の合計金額が一定以上ある場合は、減額や支給停止となる制度です。
在職老齢年金の対象となるのは、「年金を受け取っている人が厚生年金保険に加入している場合」です。そのため、厚生年金保険に加入していない短時間労働者や自営業者などは対象となりません。
年金が減額や支給停止される要件
年金の基本月額と賃金の総報酬月額相当額の合計が47万円以上の場合は公的年金が減額または支給停止されます。計算式は、基本月額-(基本月額+総報酬月額相当額-47万円)÷2です。以前は、60歳から64歳までの人と65歳以降の人では要件が異なりましたが、令和4年5月以降からは同じ要件となりました。
基本月額は年間の年金額を12で割ったもので、総報酬月額相当額は毎月の賃金と1年間の賞与の合計を12で割ったものになります。
老齢厚生年金の年額が180万円、標準報酬月額が25万円で賞与が132万円の場合
老齢厚生年金の年額が180万円、標準報酬月額が25万円で賞与が132万円の場合を例に計算していきます。
まずは、基本月額と総報酬月額相当額を算出する必要があります。老齢厚生年金の年額を12で割った15万円が基本月額です。また、標準報酬月額が25万円と賞与が132万円なので、総報酬月額相当額は36万円になります。「基本月額と総報酬月額相当額の合計が47万円を超える」ので、「減額もしくは支給停止の対象」です。
これを計算式に当てはめると、15万円-(15万円+36万円-47万円)÷2となり、13万円なので、老齢厚生年金の180万円から13万円を引いた167万円が受け取れる年金額です。月額だと約1万円が減額となってしまいます。
在職定時改定と退職改定
公的年金を受け取る権利が発生した後も厚生年金保険に加入することが可能です。そして、厚生年金保険の加入期間が延びることで年金額を増やすこともできます。年金額が増えるタイミングは在職定時改定と退職改定の時期です。
「在職定時改定」は毎年9月1日を基準として、老齢厚生年金に加入している65歳以上70歳未満の人の保険加入期間を増やし、年金額を10月分から増額させる仕組みです。
また、退職改定は70歳未満の厚生年金保険に加入している人が退職した場合に退職の翌月から年金額を変更する制度となっています。
60歳以降の働き方について考えてみましょう
本記事では、年金を受け取りながら働く場合の注意点について解説してきました。在職老齢年金は注意点もあるので、収入を把握しながら受け取るようにしてください。
また、65歳以降も厚生年金保険に加入して働くことで、年金額を増やすことができます。60歳以降の働き方について考えてみましょう。
※ 2023/2/9 記事を一部、修正いたしました。
出典
日本年金機構 在職老齢年金の支給停止の仕組み
日本年金機構 在職老齢年金の計算方法
日本年金機構 働きながら年金を受給する方へ
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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