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教育資金、結婚・子育て資金の「贈与の特例」が期間延長になるって本当?

ファイナンシャルフィールド / 2023年2月9日 7時10分

教育資金、結婚・子育て資金の「贈与の特例」が期間延長になるって本当?

2023年3月までとされていた教育資金、結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置が、それぞれ3年、2年と延長される見通しとなりました。これは、2022年12月にまとめられた与党税制改正大綱をふまえて閣議決定されたもので(※)、国会の審議を経て、成立し施行されることになります。

「贈与の特例」~これまでの経緯と制度の概要

親や祖父母から教育資金や結婚・子育て資金の贈与が受けられるのであれば、将来に漠然とした不安のある若い世代や子育て世代にとって、とても心強いものです。そして、資金を渡す親や祖父母にとっても、元気なうちに喜んでもらえるのはうれしいことでしょう。
 
通常、個人間で財産を受け取った場合には、年間110万円を超える金額について「贈与税」が発生します。1月1日から12月31日までの1年間で贈与を受けた人は、その合計金額から基礎控除110万円を差し引き、その残額に一定の税率をかけて贈与税額を算出、納付します。
 
人生100年時代と言われるなかで、資産の多くは、高齢世代が保有しているのが現状です。一括贈与に係る贈与税の非課税措置は、高齢世代の資産をより早いタイミングで若い世代に移転することで有効に活用できれば、経済の活性化が期待できるとして始まった特例です。
 
金融機関との教育資金管理契約に基づいて利用することにより、また金融機関を経由して申告書を提出することにより、受贈者(贈与される人)の贈与税が非課税となります。
 
かわいい孫のために贈与したいおじいちゃん・おばあちゃんにとっても、受け取る子や孫にとってもうれしい特例ですが、これらの「教育資金」「結婚・子育て資金」いずれの特例も、2023年3月31日までが期限とされていました。
 
それが今回の税制大綱で、「教育資金贈与」は、3年延長により2026年3月31日まで、「結婚・子育て資金贈与」は、2年延長により2025年3月31日まで非課税措置が継続することとされました。期限を前に「かけこみ贈与」などを検討していた方にとっては朗報です。
 

「教育資金の一括贈与の非課税制度」の概要と改正点

親や祖父母などの直系尊属から、30歳未満の子や孫への教育資金の贈与を対象とした「直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置」は、入学金や授業料、修学旅行費など「学校等への支払い」と塾代や習い事などの「学校等以外への支払い」に分けられます。特例を活用することで、1500万円(「学校等以外への支払い」については500万円)までの贈与が非課税となります。
 
今回の改正では、教育資金贈与として一括で受け取った資産のうち、「使い切れなかった額」に対する課税負担の強化が注目されます。
 
これまでは、贈与者(祖父母等)の相続が発生した時点で、受贈者(孫等)が23歳未満の場合や在学中であれば残額に対しても非課税でしたが、改正後(2023年4月1日以降)は、贈与者の相続財産が5億円を超える場合には、受贈者が23歳未満であっても、教育資金贈与額のうち、残額に対して相続税の課税対象となります。
 
また、受贈者が30歳に達した時点で残額がある場合には、残額に対して贈与税が課税されます。贈与税の税率は、「一般税率」と「特例税率」に区分されており、通常、親や祖父母など直系尊属からの贈与の場合には、負担の少ない「特例税率」が適用されるのですが、「使いきれなかった分」の贈与税の計算においては、「一般税率」の適用となり、税負担が若干重くなります。
 

「結婚・子育て資金の一括贈与の非課税制度」の概要と改正点

結婚・子育て資金の一括贈与は、親や祖父母から、18歳以上50歳未満の子や孫への結婚費用や子育て費用について、管理契約を締結した子や孫名義の金融機関の口座に一括で入金することで、1000万円(結婚に関わる費用は300万円)までの贈与税が非課税となる特例です。
 
今回の改正では、教育資金の一括贈与と同様に、「使いきれなかった分」に対する課税が強化されています。受贈者である子や孫が50歳に達した時点で残額がある場合には、「一般税率」での贈与税が課税されます。
 

まとめ ~有効な贈与とするために、慎重な検討を

今回の改正では、資産5億円超の一部の富裕者層にとって、相続税の節税メリットがなくなることが懸念されます。
 
ただし、高齢世代から若い世代への資産移転による経済の活性化が本来の目的であることをふまえると、生前贈与による相続財産の圧縮で相続税負担を下げるという節税対策の一環として行われている現実との間のギャップは否めません。また、領収証の提出や管理など使い勝手の不便さなどから利用件数が減少傾向であり、適用期限の到来後は制度の廃止も考えられます。
 
なお、贈与者が亡くなった場合に、使いきれなかった残額に対する相続税は、法定相続人でない孫が受け取る場合、「2割加算」と税負担は重くなります。相続の発生時期を予測することは難しいですが、年齢等をふまえた贈与額の検討が必要かもしれません。
 
また、子や孫が複数である場合には、「贈与する孫」「贈与しない孫」「贈与される子」「贈与されない子」で、心のわだかまりに注意する必要があります。感謝されるはずの贈与が思いもよらない「争族」に発展するケースもあります。贈与を検討する際は、当事者だけでなく、周囲の理解も得ておきたいものです。
 

出典

(※)令和5年度税制改正の大綱

国税庁 No.4510 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税

国税庁 No.4511 直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税

 
執筆者:大竹麻佐子
CFP🄬認定者・相続診断士

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