もしも国民年金の納付期間が延長したら、生活にはどんな影響がある?
ファイナンシャルフィールド / 2023年2月11日 1時40分
日本では20歳から60歳までの40年間、原則として国民年金への加入が義務付けられています。しかし2022年秋、国民年金保険料の支払期間を5年延長して64歳までとするかもしれない、という話題を耳にされた方もいるのではないでしょうか。 もしも国民年金の納付期間が5年間延長された場合、生活にどのような影響があるのでしょうか? 「将来的にもらえる年金額は少なくなっているのに、支払う期間は延びたらどうなるの?」と不安に思う方もいるかもしれません。 今回は、国民年金の納付期間が、もしも5年間延長した場合の生活への影響などについて解説します。
国民年金の納付期間が延びるとどうなる?
国民年金の納付期間が延びると単純に納付金額が多くなるため、納付義務のある人たちが納める国民年金保険料も最終的には増えるでしょう。
令和4年度の国民年金保険料は月額1万6590円であり、この保険料を参考にして計算すると、1万6590円×12ヶ月×5年=99万5400円と、納める保険料は5年で約100万円多くなります。
これまでは国民年金保険料を40年間納付すれば満額受給できましたが、納付期間が5年間延長されれば、満額をもらうためには約100万円、納めるべき金額も増える計算です。
個人事業主やフリーランス、厚生年金保険が適用されない事業所でパートや嘱託などとして働く定年退職者、また60歳までに定年退職した会社員にとっては、これまでよりも国民年金保険料の納付総額が多くなることで負担が増えるため、反発が予測されます。
ただし、再雇用などにより65歳まで働く人は、現役世代と同じように保険料を納付することとなり、厚生年金の経過的加算や報酬比例に反映されるので大きな違いはないでしょう。
国民年金の納付期間が延びる背景
国民年金ではマクロ経済スライドが導入されているため、国内の物価の上昇・下降に合わせて、年金の給付水準が調整される仕組みになっています。
少子高齢化によって、国民年金保険料を納付する現役世代が少なくなっている一方、年金を受給する高齢者世代は多くなっています。マクロ経済スライドによって全体の給付水準を抑えているのが現状であり、国民年金受給額は毎年見直しが行われています。
近年では比較的、受給金額は大きく変わっていないものの、物価は全体的に高くなっています。結果的に、実質手取り金額が少なくなってしまうため、給付水準低下を抑えるためにも、納付期間を増やすことは検討材料の1つとして考えられているといえるのかもしれません。
もらえる国民年金額も増える可能性もある!?
近年ではもらえる年金額が少なくなっているにも関わらず、国民年金保険料を支払う期間は延びるということかと、不安に思う方も多いでしょう。
しかし、5年間納付期間が増えるのに伴って、受給できる国民年金額が増える可能性もあります。これまでは40年間で満額支給であったものが45年間で満額支給となるため、単純計算では1.125倍程度になると算出できます。
ただし同時に、年金受給額が据え置きで変わらない可能性もあります。国民年金の制度変更についての発表は注意深く確認しておきたいですね。
まとめ
もしも国民年金の納付期間が5年間延長されると、国民年金保険料は総額で100万円近く増えるため、個人事業主やフリーランス、厚生年金保険が適用されない事業所でパートや嘱託などとして働く定年退職者などには影響が大きいといえます。
しかし、納付期間が5年間延長されることで、将来的に受給できる国民年金額が多くなる可能性もあります。
本当に納付期間が延長されるかどうかは現状では分かりませんが、国民年金保険料に関する政府からの発表に注目しましょう。
出典
日本年金機構 国民年金保険料の変遷
日本年金機構 マクロ経済スライド
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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