「配偶者」も「子ども」もいない会社員、死亡したら「遺族年金」は誰がいくらもらうの?
ファイナンシャルフィールド / 2023年2月12日 2時30分
配偶者や子どもがいない会社員がもし亡くなったら、遺族年金は出るのでしょうか。出るとしたら、誰がいくらくらい受け取れるのでしょうか。「実家の親に受け取ってほしい」「かわいい甥や姪に受け取らせたい」などの希望もあるかもしれません。 配偶者や子どもがいない会社員が亡くなった場合、「遺族基礎年金」は出ませんが、要件を満たす遺族は「遺族厚生年金」を受け取ることができます。本記事では、このケースにおいて遺族基礎年金が出ない理由と遺族厚生年金について解説します。会社によっては企業年金制度による遺族年金や弔慰金制度もありますが、これらについては割愛します。
遺族基礎年金を受け取れない理由
遺族基礎年金は国民年金加入中の人などが亡くなった場合に支給されるもので、
●18歳になった年度の3月31日までの子
●20歳未満で障害等級1級または2級の子
がいる場合に、亡くなった人によって生計を維持されていた「子のある配偶者」または「子」が受け取れます。したがって本記事のケースの場合、子どもがいないため遺族基礎年金を請求できる人はいません。
遺族厚生年金
遺族厚生年金は厚生年金保険に加入中の人などが亡くなった場合に支給されるものです。
誰が受け取れる? (遺族とは)
亡くなった人によって「生計を維持されていた」人のうち、「妻」「子」「夫」「父母」「孫」「祖父母」の順で最も優先順位の高い人が受け取れます。本記事のケースの場合、離別・死別を含めて現在は配偶者と子どもがおらず、孫もいないとすると、父母、祖父母の順で1人が請求できます。
「生計を維持されている」とは、原則として次の2つを満たす場合を指します。
●生計を同じくしている(同居している、別居だが仕送りを受けているなど)。
●前年の収入が850万円未満、または所得が655万5000円未満である。
●亡くなったときに55歳以上だった父母、祖父母が対象です。
●亡くなったときに60歳未満だった父母、祖父母の場合、受給開始時期は60歳です。
受け取る条件は? (受給要件)
亡くなった人が次のいずれかの受給要件に該当する必要があります。
(1)厚生年金保険の被保険者である間に死亡したとき
(2)厚生年金の被保険者期間に初診日がある病気やけがが原因で初診日から5年以内に死亡したとき
(3)1級・2級の障害厚生(共済)年金を受けとっている方が死亡したとき
(4)老齢厚生年金の受給権者であった方が死亡したとき
(5)老齢厚生年金の受給資格を満たした方が死亡したとき
本記事のケース(会社員)の場合、給与・賞与から「厚生年金保険料」が差し引かれていると思われ、そうであれば上記の(1)に該当します。ただし過去、自営業や無職など、「国民年金保険料」納付義務があった期間の保険料未納などが一定の限度内であることが必要です。
いくら受け取れる? (年金額)
亡くなった人の「老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3」が遺族厚生年金の額になります。
厚生年金保険の被保険者期間が25年以上ある人であれば、毎年送られてくる「ねんきん定期便」を基に目安を概算できます(50代の人に届いたねんきん定期便の「報酬比例部分」の見込み額、50歳未満の場合は「老齢厚生年金」の見込み額に0.75をかけます)。被保険者期間が25年未満の場合、年金事務所などに試算を依頼しましょう。
いつまで受け取れる? (受給権の失権)
遺族厚生年金を受け取っている父母、祖父母が次のいずれかに該当したとき、受給権を失権します。多くの場合は(1)でしょう。
(1)死亡したとき
(2)婚姻したとき(内縁関係を含む)
(3)直系血族または直系姻族以外の方の養子となったとき
(4)父母が受け取っている場合で、亡くなった人と離縁したとき
(5)祖父母が受け取っている場合で、離縁によって亡くなった人との親族関係が終了したとき
(6)亡くなったときに胎児であった子が生まれたとき(本記事のケースでは該当しません)
まとめ
配偶者や子どもがいない会社員が亡くなった場合、要件を満たす遺族は「遺族厚生年金」を受け取れます。遺族厚生年金は、亡くなった人と生計同一だった父母または祖父母の暮らしを終身にわたって支えてくれることでしょう。
出典
日本年金機構 身近な方が亡くなったとき
日本年金機構 遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)
執筆者:福嶋淳裕
CMA、CFP(R)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、1級DCプランナー
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