固定資産税が高くてうんざり。軽減措置っていろいろあるけど、どんな内容?
ファイナンシャルフィールド / 2023年2月13日 22時40分
住宅や土地、償却資産などに毎年課せられる固定資産税の負担を重く感じている人は多いでしょう。固定資産税にはさまざまな軽減措置が用意されているため、活用すれば税負担を減らせる可能性があります。 本記事では、固定資産税の軽減措置の種類ごとに、軽減の範囲や適用される要件などの情報をまとめました。自身に適用される制度がないか、チェックしてみましょう。
新築住宅の固定資産税の軽減措置
新築住宅のうち一定の床面積の要件を満たすものについては、新築後3年間(マンションなど地上3階建て以上の中高層耐火建築物は5年間)にわたって、固定資産税が軽減されます。減額される範囲は、当該住宅の固定資産税(居住部分の床面積120平方メートル相当分まで)の2分の1です。
住宅の床面積で軽減措置が適用される要件は、図表1のとおりです。
【図表1】
区分 | 床面積の要件 |
---|---|
一戸建て住宅 | 床面積:50~280平方メートル |
併用住宅(店舗などが含まれる住宅) | 居住部分の床面積:50~280平方メートル |
共同住宅(アパートなど) | 居住部分1区画ごとの床面積+共有部分を案分した床面積:50~280平方メートル(貸家は40~280平方メートル) |
区分所有の住宅(マンションなど) | 専有部分のうち居住部分の床面積+共有部分を案分した床面積:50~280平方メートル(貸家は40~280平方メートル) |
出典:東京都主税局 固定資産税・都市計画税(土地・家屋)
認定長期優良住宅の固定資産税の軽減措置
新築住宅のうち基準に適合する認定長期優良住宅については、新築後5年間(マンションなど地上3階建て以上の中高層耐火建築物は7年間)にわたって固定資産税を減額する措置が設けられています。減額の範囲は当該住宅の固定資産税(居住部分の床面積120平方メートル相当分まで)の2分の1です。
長期優良住宅の認定基準は、以下のとおりです。
・住宅の構造・設備について長期間良好な状態で使用するための措置が取られている
・良好な居住水準の確保に必要な面積規模である
・地域の居住環境の維持・向上に配慮されている
・維持保全計画が適切である
・自然災害による被害発生の防止・軽減に配慮がなされている
固定資産税の減額を受けるには、固定資産税が課税される年度の1月31日までに、市区町村の担当機関に減額の申告をする必要があります。
住宅用地の固定資産税の軽減措置
住宅用地(住宅の敷地として利用されている土地)にかかる固定資産税は、特例措置により軽減されることになっています。
本来、土地にかかる固定資産税は次の式で算出される額です。
土地の固定資産税額=1月1日時点の評価価格(課税標準額)×税率1.4%
しかし、住宅用地の場合は課税標準額が図表2のとおり軽減されます。
【図表2】
住宅用地の区分 | 固定資産税 | 都市計画税 |
---|---|---|
小規模住宅用地 (200平方メートル以下の部分) |
6分の1 | 3分の1 |
一般住宅用地 (200平方メートル超の部分) |
3分の1 | 3分の2 |
出典:大阪市 住宅用地の課税標準の特例措置
ただし、空き家を無管理で放置するなどして「特定空家等」に該当し、自治体からの是正勧告にも応じない場合、宅地であっても上記の軽減措置が適用されなくなるため注意が必要です。
住宅の改修に関する固定資産税の軽減措置
住宅の改修に関する固定資産税の軽減措置には、次のようなものがあります。
・耐震改修にともなう軽減措置
・バリアフリー改修にともなう軽減措置
・省エネ改修にともなう軽減措置
適用を受けるための主な要件や軽減される範囲は、それぞれ図表3のとおりです。
【図表3】
区分 | 家屋・工事の主な要件 | 軽減の範囲 |
---|---|---|
耐震改修 | ・昭和57年1月1日以前に建った住宅(賃貸住宅を除く)である ・現行の耐震基準に適合する改修である ・改修費用が50万円超 |
改修工事完了した翌年度の固定資産税の2分の1(120平方メートル相当分まで) |
バリアフリー改修 | ・賃貸住宅でない ・「65歳以上の人」「要介護認定または要支援認定を受けている人」「障がいのある人」のいずれかが住んでいる ・新築から10年以上経過した住宅である ・改修工事後の床面積が50~280平方メートル以下 ・次のいずれかの改修である⇒廊下の拡幅、手すり取付、階段の勾配緩和、床の段差解消、浴室改良、引き戸への取替、トイレの改良、床の滑り止め化 ・改修費用が50万円超(補助金等を除く) |
改修工事完了した翌年度の固定資産税の3分の1(100平方メートル相当分まで) |
省エネ改修 | ・賃貸住宅でない ・平成20年1月1日以前に建った住宅である ・改修工事後の床面積が50~280平方メートル以下 ・併用住宅の場合、改修工事後の家屋の床面積の2分の1以上が居住用の家屋であること ・次の改修工事である⇒窓の改修(必須)、天井の断熱改修、床の断熱改修、壁の断熱改修 |
改修工事完了した翌年度の固定資産税の3分の1(120平方メートル相当分まで) |
出典:矢板市 住宅の改修工事(耐震・バリアフリー・省エネ)に伴う固定資産税の軽減措置について
なお、固定資産税の軽減を受けるには、いずれも改修工事完了後3ヶ月以内の申告が必要です。また、耐震改修による軽減は、バリアフリー改修および省エネ改修と同時に受けられません。
災害で損害を受けたときの固定資産税の軽減・免除措置
自然災害や火災などで大きな被害を受けた場合、固定資産税の減免を受けられることがあります。対象となるのは、主に次の場合です。
・崖崩れや地滑り、土砂岩石の流入などによって利用できなくなった土地の面積が全体20%以上の場合
・損壊、焼失、流失などにより損害を受けた家屋の床面積が全体の20%以上の場合
・床上浸水の場合
・損害を受けた償却資産が全体の20%以上の場合
それぞれ、被災の程度に応じて固定資産税の4~10割(免除)が軽減されます。軽減を受けるには、自治体が定める期限までに申告する必要があります。
固定資産税にはさまざまな軽減措置がある
固定資産税の軽減措置には、新築住宅に関するもの、住宅用地に関するもの、改修工事に関するもの、災害による被害に関するものなどさまざまな種類があります。軽減幅は制度により異なりますが、制度の利用によって固定資産税の負担が大幅に軽くなるはずです。
軽減措置を受けるには自身で申告する必要があるため、どの制度の適用が受けられるかを確認して、期限までに手続きしましょう。
出典
国土交通省 新築住宅に係る税額の減額措置
総務省 固定資産税
東京都主税局 固定資産税・都市計画税(土地・家屋)
国土交通省 認定長期優良住宅に関する特例措置
国土交通省 長期優良住宅のページ
大阪市 住宅用地の課税標準の特例措置
矢板市 住宅の改修工事(耐震・バリアフリー・省エネ)に伴う固定資産税の軽減措置について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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