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繰上げ後、年金はもう増えない?(4)繰り上がらない年金のこと

ファイナンシャルフィールド / 2023年2月16日 3時0分

繰上げ後、年金はもう増えない?(4)繰り上がらない年金のこと

老齢厚生年金を繰上げする場合は、老齢基礎年金も同時に繰上げ受給となります。しかし、両者を受給できる人が老齢基礎年金のみの繰上げとなるケースもあり、その場合に老齢厚生年金が繰上がったものと勘違いしているケースもあります。第4回目はこちらの論点がテーマです。

厚生年金加入期間が12月未満だと特老厚はない

特別支給の老齢厚生年金を受給するためには、10年以上の受給資格期間(保険料の納付・免除の期間など)を満たすほか、厚生年金被保険者期間が12月(1年)以上必要です。その対象となる世代(会社員など第1号厚生年金被保険者の場合、男性は1961年4月1日以前生まれ、女性は1966年4月1日以前生まれ)であっても、12月未満の場合は支給されません。
 
一方、65歳からの老齢厚生年金は、厚生年金被保険者期間が1月でも対象となります。つまり、当該期間が1月以上12月未満の人の場合は、65歳になってから老齢基礎年金と老齢厚生年金の受給になります(【図表1】)。
 

 
第1回目で老齢厚生年金を繰上げすると老齢基礎年金も同時に繰上げとなることを取り上げましたが、もし、【図表1】の人が繰上げ受給をした場合、老齢基礎年金は繰上げ受給することになるものの、老齢厚生年金は繰上げ対象になりません。そして、老齢厚生年金は65歳開始となります(【図表2】)。
 

 
60歳での繰上げで、繰上げ減額された老齢基礎年金の受給が始まりますが、65歳になると、繰上げ減額の老齢基礎年金に老齢厚生年金が上乗せされ、合計の年金額が増えます。支給開始年齢が65歳の人(特別支給の老齢厚生年金が支給されない世代の人)の繰上げとこの点が異なっています。
 

老齢厚生年金も繰り上がったと勘違いしていることも

厚生年金の被保険者期間が1月以上12月未満ですので、実際に上乗せされる老齢厚生年金の額は少ないかもしれません。
 
しかし、老齢基礎年金を繰上げ受給した際に、老齢厚生年金も繰上げしたものと勘違いして、65歳で老齢厚生年金を請求していないケースもあります。請求をしていないと受け取れるはずの年金を受け取っていない状態となってしまいますので注意が必要です。
 
実はこの場合の老齢厚生年金については繰下げ受給も可能となっています。「老齢基礎年金は繰上げ、老齢厚生年金は繰下げ」というパターンにもなるということです。
 
いずれにせよ、年金の時効が5年であることも踏まえ、65歳以降に老齢厚生年金の手続きは忘れないようにしておきたいところでしょう。
 
執筆者:井内義典
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー

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