2023年4月から年金額が「増加」! でも実質「増えてない」って本当? 4月からの年金受給額を解説
ファイナンシャルフィールド / 2023年2月16日 23時10分
2022年度はモノやサービスの価格が上がり続けるインフレに苦しんだ・苦しんでいる人が多いのではないでしょうか? このようなインフレ禍の中で、2023年度の年金額が発表されました。年金額はインフレに対応して引き上げとなっているのでしょうか? 本記事では、2023年度の年金受給額を解説します。年金受給額の平均や豊かな老後を迎えるための選択肢についても紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
2023年度年金額が公表
2023年1月20日、2023年度の年金額が厚生労働省より発表されました。2023年度の年金額は図表1のとおりです。
図表1
※…年収約527万円の会社員と専業主婦(夫)の家庭が受け取れる年金額
厚生労働省 令和5年度の年金額改定についてお知らせしますを基に作成
自営業者や専業主婦(主夫)などは国民年金のみに加入し、会社員や公務員などは厚生年金にも加入します。国民年金、厚生年金ともに前年より受給額は増加しています。
インフレ率よりも年金増加率は少ない
2023年度の年金受給額は増加していますが、大事なポイントは「物価の上昇率(インフレ率)に対して、どの程度年金額が増加しているか」です。
物価が10%増加したのに、受給額は5%しか上昇していなければ、実質的な年金受給は減少したと言えるでしょう。
2023年度の年金受給額の増加割合は、インフレ率よりも少なくなっています。2022年の物価変動率は+2.5%でしたが、2023年度の68歳以上の年金額改定率は+1.9%です。
これは、年金の受給額を決定する「マクロ経済スライド」という仕組みが影響しています。
「マクロ経済スライド」は、物価が下がった際に年金の支給額減少幅を物価の下がり幅よりも抑える代わりに、物価が上がった際には、年金の支給額を物価の上がり幅よりも抑える仕組みです。
年金受給額の平均
2023年度の国民年金の満額受給額や平均的な夫婦の年金受給額を紹介しましたが、国民年金と厚生年金それぞれの平均受給額はいくらなのでしょうか?
2021年度の国民年金受給者、厚生年金受給者の平均年金受給額は以下のとおりです。
●国民年金のみ受給者の平均年金受給額:月額5万6368円
●第1号厚生年金被保険者の平均年金受給額:月額14万5665円
国民年金は保険料を納付できない期間や免除期間があると、将来の年金受給額が減額されることがあるため、平均受給年金額は満額よりも低くなります。
厚生年金は、働く期間や収入によって大きく異なるため、受給額に差が出やすいです。平均年金受給額はあくまでも参考としてみてください。
金銭的に豊かな老後を迎えるため選択肢
老後の生活に不安を抱えている人も多いですが、少しでも金銭的に豊かな老後を迎えるための方法を紹介します。
現役時代の収入を増やす
現役時代の収入を増やせば、貯蓄に回せるお金が増えます。また、会社員や公務員など厚生年金に加入している場合は、収入が増えれば将来受け取れる年金も増えるでしょう。
現在は、転職や副業が当たり前になってきています。いまの会社にいても収入が低いままで、給与アップも期待できないならば、転職や副業を検討しましょう。転職や副業をサポートするサービスも増えています。
長く働いて年金受給開始時期を遅らせる
長く働いて年金受給開始時期を遅らせることも選択肢の一つです。年金には「繰下げ受給」という制度があり、受給開始時期を遅らせることで受給額が増えます。受給額の増額は1ヶ月で0.7%で、上限年齢まで繰り下げれば、75歳での受給額は84%の増額率になります。
現在、繰下げ受給を利用している人は少数ですが、定年退職の延長や再雇用を進める企業も増えているので、できるだけ長く働き、年金の受給開始を遅らせることを検討してみてください。
NISAやiDeCoなどの税制優遇制度を利用する
貯蓄や投資に回せるお金があることが前提となりますが、NISAやiDeCoなどの税制優遇制度を利用しての資産形成も検討しましょう。投資はリスクを伴いますが、投資をせずに銀行に円でお金を預けていても、インフレや円の価値が下がるリスクが潜んでいます。
「銀行の預金が安全」と言い切れるわけではないので、自分の資産をどうやって保有・運用するかを考えましょう。
計画的に老後に備えよう
老後は突然やってくるものではありません。若いうちから、年金はいくらもらえるのか、自分で用意する資金はいくら必要なのかをシミュレーションして、定期的に進捗を確認しましょう。老後から逆算すれば、今やるべきことは見えてくるはずです。
出典
厚生労働省年金局 令和5年度の年金額改定についてお知らせします
厚生労働省年金局 令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
住宅ローンを完済し来年に定年を迎えます。夫婦の年金「月15万円」と「貯蓄800万円」で、老後は生活できますか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年8月1日 2時10分
-
今払っている「年金保険料」って、自分は老後“もらえない”こともあるんですよね? 毎月給料から「4万円」引かれているので、払わずに自分の貯金にしたいのですが…
ファイナンシャルフィールド / 2024年7月27日 5時0分
-
〈年金の繰下げ〉なんて意味なかったな…70歳・受給開始で「月26万円」のはずが、年金事務所で知る「年金減額」の仰天事実
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年7月25日 11時15分
-
大卒で35年以上同じ会社で働いています。「退職金」はどれくらいもらえるでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年7月21日 4時30分
-
年金「月27万円」悠々自適かと思いきや…「もっと早くから受け取っていれば」〈繰下げ受給〉を選んだ74歳男性の本音
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年7月15日 13時30分
ランキング
-
1日経平均終値4451円安、ブラックマンデー超え過去最大の下落幅
読売新聞 / 2024年8月5日 15時10分
-
2ホンダ、コンパクトカー「フィット」リニューアル 「本当にデザインが良いよなぁ」SNS期待の声
J-CASTニュース / 2024年8月5日 7時10分
-
3東証続落、一時4600円超安 ブラックマンデー超え史上最大
共同通信 / 2024年8月5日 14時45分
-
4最高の1万9210円アップ=賃上げ率5.58%は33年ぶり水準―24年春闘
時事通信 / 2024年8月5日 18時40分
-
5株安・円高に歯止めかからず、マネーが逆回転 米景気後退に現実味
ロイター / 2024年8月5日 14時6分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください