定年後も働きながら年金額を減らさない月収の目安、8万8000円と47万円とは?
ファイナンシャルフィールド / 2023年2月17日 1時10分
「定年後も働くつもりだけど、保険料を長年納めてきたのだからもらえる年金は全額もらいたい」という人は多いでしょう。年金を受給しながら働く場合、収入額などの条件に応じて年金を減額するルールがあるため注意が必要です。 本記事では、働くことで年金が減額される制度の詳細や、年金が減額されない月収の目安を紹介します。ルールを確認して、年金が減額されない働き方を考えてみましょう。
厚生年金の被保険者にならなければ年金額に影響しない
老齢年金を受け取りながら定年後も働く場合「在職老齢年金」という制度により、収入額に応じて年金が減額または支給停止となる場合があります。厚生年金保険に加入しなければ在職老齢年金制度の対象にならないため、年金額を減らしたくない場合は、厚生年金保険加入が必要ではない条件で働くとよいでしょう。
厚生年金加入が必要となるのは「週の所定労働時間と月の所定労働日数がその会社で働く一般社員(臨時従業員、季節的な業務の従業員を除く)の4分の3以上」の場合、または原則として以下の条件すべてに当てはまる人です。
・事業所の厚生年金保険被保険者数(短時間労働者を除く)が101人以上
・週の所定労働時間が20時間以上
・雇用期間の見込みが2ヶ月超
・月額賃金が8万8000円以上
つまり収入面では、月額賃金8万8000円を超えないことが、年金額を減らさないラインの目安です。ただし、週の所定労働時間が20時間を切る場合など、月額賃金が8万8000円を超えても厚生年金保険の加入対象にならないケースもあるため、働き方を総合的にみて判断する必要があります。
厚生年金被保険者の年金減額のボーダーラインは月収47万円
厚生年金被保険に加入して在職老齢年金制度の対象となった場合、年金額が減額されないのは老齢厚生年金または退職共済年金の基本月額(※1)と総報酬月額相当額(※2)の合計金額が47万円以下の場合です。例えば、老齢厚生年金・退職共済年金の基本月額が12万円の人の場合、総報酬月額相当額が35万円までは年金の減額はありません。
※1:加給年金額を除く老齢厚生年金・退職共済年金の月額
※2:(当月の標準報酬月額)+(当月以前1年間の標準賞与額の合計)÷12で求めた金額
基本月額と総報酬月額相当額の合計が47万円を超えると、次の式で計算した金額が老齢厚生年金・退職共済年金の基本月額から減額されます。
在職老齢年金による支給停止額(月額)=(老齢厚生年金・退職共済年金の基本月額+総報酬月額相当額-47万円)÷2
例として、老齢厚生年金・退職共済年金の基本月額が12万円、総報酬月額相当額が40万円の人の場合、(12万円+40万円-47万円)÷2=2万5000円が、1ヶ月の年金額から減額される計算です。
高年齢雇用継続給付の受給による年金減額にも注意
「高年齢雇用継続給付」とは、雇用保険の加入期間が5年以上ある60~65歳未満の雇用保険被保険者を対象とする制度です。賃金額が60歳到達時点より25%以上、下がった場合に、最高で賃金額の15%相当が支給されます。
老齢年金の受給者が高年齢雇用継続給付を受給する場合は、年金が減額されるため注意しましょう。減額される年金の額は、最高で賃金(標準報酬月額)の6%相当です。在職老齢年金制度による減額も該当する場合は、両方が同時に年金から差し引かれることとなります。
また、高年齢雇用継続給付の初回の支給決定を受けると、その後に支給申請をしなかった場合も、申請が可能な期間中は老齢年金の減額が解除されないことにも注意が必要です。
年金を減らさない働き方を確認しよう
老齢年金を受給しながら働く場合、厚生年金保険の加入状況、賃金の額などに応じて、年金額が減額されることがあります。月収に注目するなら、雇用保険に加入しなくてよい月収8万8000円未満、在職老齢年金の減額対象にならない月収47万円が、ひとつの目安となるでしょう。
ただし、年金が減額される条件には月収以外にもさまざまなものがあります。定年後も年金が減額されない範囲で働きたいと考えている人は、年金が減額される条件をよく確認して、働き方を検討しましょう。
出典
日本年金機構 在職中の年金(在職老齢年金制度)
日本年金機構 Q 会社に勤めたときは、必ず厚生年金保険に加入するのですか。
日本年金機構 短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大
日本年金機構 社会保険適用拡大ガイドブック
日本年金機構 在職老齢年金の支給停止の仕組み
日本年金機構 在職老齢年金の計算方法
日本年金機構 年金と雇用保険の高年齢雇用継続給付との調整
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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