助手席の窓ガラスに「着色フィルム」を貼るのは犯罪!? 自動車の不正改造で取られる罰金はいくら?
ファイナンシャルフィールド / 2023年2月17日 9時30分
車の助手席の窓ガラスに着色フィルムを貼り付けたい。そう考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。しかし、車の窓ガラスに貼り付けられる着色フィルムには決まりがあり、場合によっては不正改造に該当することもあります。 今回は、どのような着色フィルムなら貼り付けられるのか、もし不正改造に該当してしまったらどうなるのか、解説していきます。
自動車の不正改造とは
自動車の不正改造とは、主にマフラーやバンパーを取り外した状態や、タイヤやホイールが車体の外に飛び出ている状態など、周囲への安全性が疑われるような改造のことをいいます。不正改造は事故や犯罪、騒音問題や環境問題の原因となる可能性があり、法令で禁止されています。
不正改造車に乗っているとどうなる?
不正改造車は法令に違反した車であり、不正改造を実施することやそれを運転することは刑事罰が科されることもある、れっきとした犯罪行為です。
不正改造を実施した場合は、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科されます。
また、国土交通省では警察と協力して車両の街頭検査を行っており、その検査に適合しない車には整備命令が発せられます。不正改造車を使用中に整備命令を受け、それでもなお従わない場合、車両の使用停止命令が出るほか、50万円以下の罰金の対象となります。
不正改造を自ら実施しないことはもちろんですが、知らず知らずのうちに不正改造車を運転してしまわないよう、自身の車が不正改造に該当しないかどうかきちんと確認しておきましょう。ちょっとした改造だからと甘く見ていると、重大な事件や事故を引き起こしてしまうことや、そうでなくとも刑罰が科され取り返しのつかないことになる可能性があります。
不正改造車は車検にも通らない
自動車を所有している場合、基本的には2年ごとといった高い頻度で自動車検査登録制度、通称車検を受ける必要があります。
不正改造車は車検の基準を満たしていないと判断され、審査を通過することができません。車検に通っていない車は公道を走ることが許可されません。公道を走るためには、不正改造状態を改善し、車検に通らなければならないのです。
車検に通らないということは、実質的に、日本での使用が不可能であることと同義です。車検にも通らないような改造はやめておきましょう。
助手席の窓ガラスに着色フィルムを貼るのはどうなの?
車の窓ガラスにフィルムを貼ること自体は問題ではありません。断熱効果や日差しの反射防止効果のあるフィルムや、事故の際にガラスの飛散を防止する効果のあるフィルムなどを貼り、快適性や安全性を高めることは認められています。
問題となるのはフィルムの色です。自動車のフィルムには無色透明なもののほか、色の付いた着色フィルムも存在しており、この着色フィルムを貼り付ける行為が違法改造に該当する可能性があります。例えば、いわゆるフルスモークと呼ばれるような、ガラスが真っ黒になって車内の様子がうかがえないフィルムなどがこれに該当します。
とはいえ、着色フィルムを絶対に貼ってはいけないわけではなく、法令に抵触する可能性があるのは可視光線の透過率が70%未満のものとなります。透過率が70%以上であれば、着色フィルムが問題となることはありません。
また、貼り付けが制限されているのは自動車の前面ガラスおよび運転席と助手席の側面ガラスのみです。後部座席においては可視光線の透過率が70%未満の真っ黒な着色フィルムでもよいとされています。つまり、単に助手席に着色フィルムを貼り付けるだけでは犯罪ではなく、透過率が70%未満の場合に法令に抵触するということです。
なお、改造を請け負った業者や自身の検査で透過率70%以上となっていても、環境などの違いから検査機関の機械では70%未満となることもあります。着色フィルムを貼り付ける場合は、ぎりぎりではなく余裕を持った透過率としておくことをおすすめします。
助手席の窓ガラスに着色フィルムを貼り付ける行為は犯罪となることもある
不正改造の実施は6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が、不正改造車の運転は50万円以下の罰金が科される可能性のある犯罪行為です。助手席の窓ガラスに透過率70%未満の着色フィルムを貼り付けることは不正改造に当たるため、絶対に行ってはいけません。
事故を起こさず安全に車を運転するためにも、着色フィルムを貼り付ける際は必ず貼る箇所とフィルムの透過率について確認し、十分に安全性を確保した上で行うようにしてください。
執筆者:柘植輝
行政書士
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