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会社で「ひじ掛け付きのイス」を使えるのは正社員のみ…非正規社員との「待遇格差」はどこから違法?

ファイナンシャルフィールド / 2023年2月18日 0時0分

会社で「ひじ掛け付きのイス」を使えるのは正社員のみ…非正規社員との「待遇格差」はどこから違法?

会社で「ひじ掛け付きのイス」を使えるのは正社員のみ…非正規社員との「待遇格差」はどこから違法?   日本企業では「非正規社員より正社員を優遇する」ことが正当化されている傾向にあります。では、オフィスで使うイスについて「正社員がひじ掛けあり、非正規社員がひじ掛けなし」と区別する待遇は正当化されるでしょうか。   ひじ掛けがないからといって、非正規社員にとって迷惑と感じないことが多いかもしれませんが、ひじ掛けなしのイスのほうが比較的安価でしょう。このような待遇差は法的に認められるのでしょうか。

そもそも、正社員と非正規社員で待遇差を付けることが認められるか?

まず、いわゆる非正規社員の待遇について規定した、「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」(通称:パートタイム労働法)8条では「事業主は、その雇用する短時間・有期雇用労働者の基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、当該待遇に対応する通常の労働者の待遇との間において」「不合理と認められる相違を設けてはならない」と定めており、合理的な範囲での待遇差を設けることが認められる前提の記述としています。
 
「その他の待遇」には、金銭面以外の待遇も含まれるため、オフィスチェアのひじ掛けの有無にも及ぶものと考えられます。
 
また、同法9条では「事業主は、職務の内容が通常の労働者と同一の短時間・有期雇用労働者(中略)であって、当該事業所における慣行その他の事情からみて、当該事業主との雇用関係が終了するまでの全期間において」「短時間・有期雇用労働者であることを理由として、基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、差別的取り扱いをしてはならない」と定めており、いわゆる「同一労働・同一賃金の原則」を定めています。
 
たとえ非正規社員であっても、正社員と同等の労働時間で、同等の業務内容を担当していれば、あらゆる差別的取り扱いが認められません。オフィスチェアのひじ掛けも原則として正社員と統一されるべきでしょう。
 
これらの条文は、労働契約書(雇用契約書)によって引っくり返すことが認められない強行規定です。違反すれば、非正規社員の側から会社に対して、損害賠償請求が行われても仕方ありません。
 

非正規社員にだけ、ひじ掛けなしのオフィスチェアをあえて使わせることは違法?


 
もし、「週5日」「1日8時間」などといった正社員と同等の労働時間、さらに同様の業務内容で実際に勤務している非正規社員がいれば、正社員との間における一切の差別的取り扱いが認められません。
 
もちろん、オフィスチェアのひじ掛けの有無も、正社員との間で統一されるべきです。正社員との間で、労働時間や業務内容に差がある非正規社員においては、合理的な範囲での待遇差であれば法的に認められます。
 
よって「正社員がひじ掛けあり、非正規社員がひじ掛けなし」の待遇について、合理的な説明ができるのであれば合法で、合理的に説明できないのであれば違法です。
 
なお、同法14条2項では、雇用する非正規社員から会社に説明の請求があれば、会社は正社員と非正規社員との間の待遇差について、理由を説明する義務が課されています。
 

余計な区別はしないに越したことはない

「正社員にひじ掛けあり、非正規社員にひじ掛けなし」のオフィスチェアを支給することについて、合理的な説明をすることは極めて困難であると考えられます。仮に「たまたまそうなっている」などと説明したとしても、裁判所や労働審判では通用しない可能性があります。正社員と非正規社員をことさらに区別する処遇、特に正社員を優遇することは、基本的に行わないに越したことはありません。
 

出典

e-Gov法令検索 短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律

 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

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