年金で足りない2000万円を補える? 新NISAの魅力を解説
ファイナンシャルフィールド / 2023年2月19日 3時0分
老後に生活資金が不足するという、いわゆる「老後2000万円問題」が以前話題になりましたが、昨今の円安・インフレで、老後に不安を覚える人もいるでしょう。 そんな暗い世相にあって、2022年終わりに明るいニュースがありました。新NISAです。 1人1800万円の非課税枠を活用すれば、老後2000万円問題も解決するかもしれません。この記事では、2024年から始まる新NISAの魅力を紹介します。新制度を活用して、若いうちからコツコツ生活資金を確保しましょう。
老後2000万円問題をおさらい
2019年の金融庁による報告書では、老後30年間で約2000万円が不足するという試算が示され、大きな話題になりました。この報告書には次のように書かれています。
「夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職の世帯では 毎月の不足額の平均は約5万円であり、まだ20~30年の人生があるとすれば、不足額の総額は単純計算で1,300 万円~2,000万円になる。」
年金と退職金を合わせても老後の生活に大いに不安が残る内容で、当時の財務大臣がこの報告書の受け取りを拒否したことが報道されました。
新NISAの魅力
老後に暗い影を落とす中、昨年2022年12月に閣議決定された「令和5年度税制改革大綱」が注目を集めました。この中で言及された新NISAの改正概要は図表1のとおりです。」
【図表1】
出典:金融庁 新しいNISA
令和5年度税制改革大綱で大幅な改善をされた新NISAの注目すべき主な内容は、次の3点です。
1.非課税の年間投資枠が360万円(つみたて投資枠120万円・成長投資枠240万円)
2.生涯非課税枠が1800万円
3.いったん利用した枠の再利用が可能
これらのポイントについて、順に解説します。
1.非課税の年間投資枠が360万円(つみたて投資枠120万円・成長投資枠240万円)
1点目のポイントは年間投資枠が拡大されたことです。
新NISAは2024年から開始される制度です。非課税の年間投資枠は360万円まで拡大されました(内訳はつみたて投資枠120万円・成長投資枠240万円)。また、つみたて投資枠と成長投資枠の併用が可能となります。
一方、旧NISAで2023年までの利用可能な年間投資枠は、一般NISAが120万円、つみたてNISAが40万円で併用ができませんでした。非課税枠が最大120万円から360万円と大幅に拡充されたのが特徴です。
2.生涯非課税枠が1800万円
2点目のポイントは、生涯を通じての非課税枠が設定されたことです。
新NISAでは、投資しても生涯非課税となる1800万円の枠が設定されました。旧NISAでは、1年限りの非課税枠しかなかったのですが、新NISAでは1800万円に達するまで、非課税枠を気にすることなく安心して投資できます。
3.いったん利用した枠の再利用が可能
3点目のポイントは、いったん利用した投資枠を再利用できることです。
例えば、新NISA制度が始まった数年後に、生涯非課税枠1800万円を全て利用して投資していたとします。その後、教育資金や住宅ローンの頭金が必要となり、300万円を取り崩したら、非課税枠はどうなるのでしょうか?
なんと、取り崩した300万円の非課税枠が消失するのではなく、再利用枠として新たに復活するのです。これが、実質生涯非課税といわれる理由となっています。
なお、これまで述べてきた1800万円などの数字は全て簿価です。つまり投資の元本であって、ここには元本から生まれる配当や売却益は含まれていません。
老後資金はNISAで備える
さて、金融庁の報告書で老後に2000万円不足するとされたのは夫婦2人の場合でした。新NISAを使えば、夫婦で1800万円×2人=3600万円の資産形成を目指せます。毎年360万円ずつ投資して早期に1800万円を利用しておけば、複利の効果で増やせます。
例えば金融庁のシミュレーションでは、年間360万円を5年間投資し続けた元本1800万円に対し、5年後には139万4000円の利益を生みだすことになります。その後も運用し続ければ、複利でさらに資産を増やせる可能性があるのです。
投資にはリスクが付きものなので、当初予定していた利回りを達成し続けられるかどうかは分かりません。
しかし、冒険をせず堅実に投資していけば、資産を増やせる可能性のある環境は整いました。インデックス投資と呼ばれる市場の値動きに連動した商品もあります。2024年に新NISAが始まるまでに、有利な投資先について、ぜひ考えてみませんか?
出典
金融庁 金融審議会「市場ワーキング・グループ」報告書の公表について
財務省 令和5年度税制改正の大綱の概要
金融庁 新しいNISA
金融庁 資産運用シミュレーション
執筆者:二角貴博
2級ファイナンシャルプランナー
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