【50万円へ増額の出産育児一時金】と【治療費値上げの病院】のアメとムチ
ファイナンシャルフィールド / 2023年2月22日 3時30分
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健康保険の被保険者および被扶養者が出産した際には、出産育児一時金が支給されます。現在は42万円である出産育児一時金ですが、2023年4月から50万円に値上げすることが決まっています。 この値上げがどのようなことを意味しているのかについて、またそれによって出産費用を値上げする病院が増えていることも含めてご紹介します。
そもそも出産費用は50万円あれば足りるのか?
出産にかかる実際の費用は住んでいる都道府県によって差があります。出産する病院が個人病院か国立・市立病院、あるいは総合病院かによっても費用が異なるのが一般的です。また、平日の昼間や夜間・休日など、出産する日時も影響します。さらに、自然分娩・帝王切開・無痛分娩・吸引分娩というように分娩方法にもよるため、事前に正確な金額を把握することは難しいでしょう。
厚生労働省の調査によると、令和3年度に報告された正常分娩での出産費用の平均は、最も高いのが東京都で56万5092円、最も低いのが鳥取県で35万7443円となっています。
ただし、妊産婦に対して質の高いサービスを提供している病院を利用した場合や、個室を選択した場合などはさらに高額な費用が必要です。このように、出産育児一時金の50万円だけでは足りないケースも少なくありません。
8万円の増額で少子化は止められる?
出産育児一時金制度がスタートしたのは、平成6年のことです。当初の支給額は30万円でしたが、出産費用の全国的な値上げにともない、平成21年に支給額が現在の42万円になりました。現在、少子化が急速に進んでいる日本において、出産育児一時金で出産費用を賄えるケースが増えることは大きなメリットになるはずです。
ただし、出産だけでなく育児にも費用はかかります。むしろ出産後にかかる費用のほうが何倍も大きな負担になるため、今回の出産育児一時金の「8万円増額」がどこまで少子化対策につながるのかは疑問です。
病院の出産費用値上げでわからなくなる「増額の意味」
出産育児一時金の増額にともなって懸念されているのが、病院の出産費用も値上げになる可能性があることです。50万円への増額が発表されたタイミングですでに値上げしている病院も多く、「結局は妊産婦の負担が変わらない」と落胆の声も上がっています。実際に、一時金の増額分と同じ8万円の値上げを決めた病院もあるとのことです。
いずれにしろ、日本では「正常分娩は病気ではない」という考えにより出産費用に公的医療保険が適用されないため、出産費用は病院によって異なります。自分が受診しようとしていた病院が出産育児一時金の増額にともなって値上げをしたのかそうでないのか、事前に確認しておきたいという方も多いのではないでしょうか。
妊産婦の方々が安心して利用できる病院を選べるようにするためにも、政府は2024年の4月をめどに、すべての病院が出産費用を公表するよう調整しています。これによって出産にかかる費用が透明化すれば、病院選びに悩まずに済むようになることが期待できるはずです。
かかる費用を把握して慎重に病院選びを
出産育児一時金の増額がどの程度少子化対策に効果をもたらすかは疑問ですが、出産にかかる費用をしっかりと把握したうえで慎重に病院選びをすることが大切です。
出産を控えている方、今後妊娠出産を考えている方にとってはとても重要な問題なので、しっかりと確認しておくとよいでしょう。
出典
厚生労働省 出産育児一時金について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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