iDeCoの受け取り方 〜一時金で受け取る場合〜
ファイナンシャルフィールド / 2023年2月23日 3時40分
積立投資のなかで、つみたてNISAやiDeCoを利用している方もいらっしゃるでしょう。18歳以上なら年齢に上限がなく、そして非課税になるのがつみたてNISAです。 一方で、iDeCoは加入できる(積立投資ができる)年齢が65歳まで[自営業者や専業主婦(夫)は60歳まで]です。iDeCoを受け取ることができるのは60~75歳までですが、加入期間が10年に満たない場合には、受け取り開始の年齢が加入期間に応じて61~65歳になります。 本稿では、iDeCoの受け取り方のなかで「一時金受取」について見ていきましょう。
退職所得控除
iDeCoは運営管理機関ごとに投資商品などが用意され、自己責任で積立投資をし、その結果を老後資金として受け取ります。
iDeCoを一時金で受け取る場合には「退職所得控除」を利用できます。一時金の金額から退職所得控除の額を差し引いた数字に2分の1を掛けた額が、所得税や住民税の課税対象です。
退職所得控除は「勤続年数」が計算の基礎になりますが、iDeCoの場合には加入していた期間をもって勤続年数とします。例えば、iDeCoに加入していた期間が2001年10月~2022年9月までの21年間だと想定する場合、退職所得控除額は以下のように計算します。
40万円×20年間+70万円×(21年-20年)=870万円
(70万円×21年間-600万円でも計算できます)
この870万円が退職所得控除の額です。つまり、iDeCoから受け取る一時金の額が870万円以下の場合は、非課税で受け取ることができます。
では、退職所得控除の額が870万円を超える一時金の場合はどうなるのでしょう。例えば一時金が1000万円のケースでは、一時金1000万円から退職所得控除の額870万円を差し引くと130万円になりますが、この130万円の2分の1の65万円が所得税と住民税の課税対象です。
つみたてNISAとは異なり、全額を非課税で受け取ることはできませんが、1000万円の一時金に対して課税対象が65万円ですから、優遇されているといえるかもしれません。
退職所得控除は勤続年数が長いほうが有利
iDeCoに加入していた期間(=勤続年数)が20年以下の場合、勤続年数に40万円を掛け、勤続年数が20年を超える期間は、800万円+70万円×(加入年数-20年)です。つまり、勤続年数(iDeCoの場合は加入期間)が長いほうが、退職所得控除の額は大きくなります。
iDeCoに損失があった場合
先述の例では、iDeCoに加入していた期間は21年でした。iDeCoの掛金が毎年54万円(=4万5000円×12ヶ月)だったとすると、掛金の総額は1134万円(=54万円×21年)です。仮に、掛金の総額が1134万円で一時金の額が1000万円だとすると、iDeCoは134万円の損失になります。
このケースでも同じく、65万円分が課税対象です。投資の世界では、損失が生じた場合には課税対象とはなりませんが、iDeCoの場合には異なる点に留意しましょう。
本記事では、iDeCoを一時金で受け取る場合を見てきました。iDeCoの受け取り方法を検討する際の参考にしてください。
出典
金融庁 NISAとは?
厚生労働省 令和4(2022)年5月からiDeCoに加入できる年齢の要件などが拡大されます
厚生労働省 2020年の制度改正 受給開始時期の選択肢の拡大
国税庁 退職金を受け取ったとき
執筆者:大泉稔
株式会社fpANSWER代表取締役
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