出産前後の国民年金・厚生年金の納付ってどうなるの?
ファイナンシャルフィールド / 2023年2月28日 11時20分
![出産前後の国民年金・厚生年金の納付ってどうなるの?](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_189610_0-small.jpg)
妊娠し出産してから子どもを保育園に預けて職場復帰できるようになるまで、会社員の場合は産休や育休を取得することになるでしょう。 産休中や育休中は原則として給料が支払われませんが、国民年金と厚生年金の納付はどうなるのでしょうか。わかりやすく解説します。
産休・育休中の社会保険料のあつかい
産前産後休業(産休)や育児休業(育休)の期間中、社会保険料は免除となるので払う必要がありません。
払わないと「厚生年金の加入月数が減って、将来受け取る年金額も減ってしまうの?」と心配する人がいるかもしれませんが、免除期間も厚生年金保険料の納付記録が残るので、老齢年金が減る心配もありません。
免除される期間は産休・育休とも月単位で、休業を開始した月から終了月の前月までとなります。産休は予定日の42日前(予定日を含む)から取得でき、出産日の翌日から数えて56日までのうち、働かなかった期間が免除の対象です。
産休明けからそのまま育休に入るとして、終了月の前月、正確には育休を終了した日の翌日が含まれる月の前月までの期間が免除の対象です。
どのくらいの保険料が免除になる?
少し分かりにくいと思いますので、例を挙げて説明します。例えば出産予定日が5月1日、出産日が5月4日で、産休後に育休に入り、翌年3月31日まで育休を取得する場合を考えてみましょう。
産休期間:3月21日~6月29日
育休期間:6月30日~翌年3月31日
上の例では、産休で3月から5月が免除対象期間となります。育休の終了日は3月31日ですが、翌日が4月1日なので、6月から3月までが免除対象期間となり、合計13ヶ月間の社会保険料免除を受けられます。
社会保険料の免除期間:3月~翌年3月まで13ヶ月間
では、実際にどのくらいの社会保険料が免除されるのかを計算してみましょう。健康保険・厚生年金保険の保険料は都道府県によって異なりますが、ここでは東京都で月収が30万円だった場合の免除額を計算します。
健康保険料:月額1万5000円(40歳未満、令和5年度額)
厚生年金保険料:月額1万7730円(令和5年度額)
(出典:全国健康保険協会「令和5年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表(東京都)」)
健康保険料・厚生年金保険料を合わせて月額3万2730円ですから、13ヶ月間で42万5490円が免除されます。ただし、これはあくまで折半額で、自分が負担する金額です。
健康保険料・厚生年金保険料どちらも会社が1/2を負担してくれています。会社が負担する保険料も免除の対象となるので、実際は85万980円が免除されることになります。
社会保険料免除の手続き
産休・育休の取得予定が決まったら、事業主に申し出ます。事業主が産休期間中に「産前産後休業取得者申出書」を、育休期間中に「育児休業等取得者申出書」を年金事務所に提出することで、保険料の免除が開始されます。提出方法は電子申請、郵送のほか年金事務所の窓口持参でも可能です。
なお、育休期間を当初の予定より延長する場合は改めて「育児休業等取得者申出書」を、予定より早く育休を終了して復職する場合は「育児休業等取得者終了届」を提出することになります。
短期の育休の場合は?
子どもが3歳になるまでの期間に、短期の育休を取得する場合もあるでしょう。その場合でも社会保険料免除の対象ですが、2022年10月の育児・介護休業法の改正により、ルールが少し変わりました。
これまでのルールだと、育休が1ヶ月未満の場合は月末時点で育休を取得していないと保険料免除にならない一方で、賞与月の月末に育休を取得していれば賞与の社会保険料が免除になるため、それらを意識して育休を取る傾向がみられていました。
改正により、以下のように免除要件が見直されました。
・同じ月に14日以上育休を取得した場合には、その月の保険料を免除
・賞与にかかる保険料は、賞与月の末日を含む連続1ヶ月超の育休取得で免除
・連続する2つ以上の育休を取得する場合は1つの育休とみなして保険料免除
育休期間は開始月から終了日の翌日を含む月の前月までです。したがって改正前は、例えば同じ15日間の育休を取得するのでも、3月21日から4月4日までなら免除の対象となりますが、3月1日から15日までの場合対象にならないという不公平がありました。
改正後は、1ヶ月未満の育休で月末を含んでいなくても、14日間以上の育休であればその月の社会保険料が免除されるようになりました。
仕事と子育ての両立を支援する制度は、徐々に整ってきているように思います。制度を正しく理解し、できるだけ有効に利用しながら、より良いライフプランの実現を目指してほしいと思います。
出典
全国健康保険協会 ホームページ
執筆者:蟹山淳子
CFP(R)認定者
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