家族信託、契約手続きは自分でできる?
ファイナンシャルフィールド / 2023年3月1日 8時10分
![家族信託、契約手続きは自分でできる?](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_189846_0-small.jpg)
家族信託は、認知症などによる口座凍結に備えられる財産管理手法です。柔軟な財産管理ができることから注目されています。 しかし「家族信託の手続きは自分でできる?」「自分で手続きをするメリットは?」など、疑問を持っている方は多いのではないでしょうか。 そこで本記事では、家族信託を自分で手続きするメリットやデメリット、手続きの流れについて解説します。
家族信託とは
家族信託とは、家族で財産を管理する手法の1つです。不動産や預貯金などの財産を持つ者(委託者)が、子どもなどの家族(受託者)に財産の管理・運用・処分を任せます。信託財産の財産権を持ち、委託者の財産で利益を得る方は「受益者」となります。「委託者」が「受益者」となることもあります。
家族信託は、認知症による口座凍結への備えができて遺言としての効果もあることから、注目を集めている財産管理手法です。
家族信託を自分で手続きするメリットとデメリット
家族信託を自分で手続きするメリットは「コストを軽減できる」「財産の内容を第三者に知られない」の2点です。
家族信託を専門家に任せる場合は、司法書士などに支払う費用が発生します。数十万円かかる場合もあるため、自分で手続きをすればその費用を節約可能です。
一方、家族信託を自分で手続きするデメリットは「ミスが生じる場合がある」「時間がかかる」の2点です。
全くの初心者が手続きをするため、ミスが生じて家族信託の内容などを間違える可能性があります。トラブルの原因にもなり得るため注意が必要です。
また、調べながら手続きを進めなくてはいけないため、手続きが完了するまでに時間がかかります。
家族信託の契約手続きの流れ
自分で家族信託の契約手続きをするためには、事前に流れを把握しておく必要があります。そうでなければ必要以上に時間がかかるだけでなく、手続きをミスする可能性が高まるでしょう。
手続きの流れを把握しておけば事前準備もでき、計画的に進めることが可能です。本項では、信託契約書の作成や締結、信託財産の登記など、家族信託の契約手続きの流れについてみてみましょう。
1.信託契約書の作成
信託内容を決めて信託契約書を作成する際は、次の項目を明確にしておく必要があります。
委託者(財産の所有者)
受託者(財産を預かって管理する人)
受益者(委託者の財産で利益を得る人)
信託する財産の内容
信託の内容(信託財産の管理、運用、処分の方針など)
信託期間(受益者が死亡するまで、など)
受託者の権限義務
など
契約書の信頼性を高めてトラブルなどのリスクを軽減するために、契約書を公正証書にしましょう。公証人に依頼する際には、信託財産の金額に応じた手数料が発生します。
また、公正証書を作成する際には、本人確認書類や委託者・受託者・受益者の証明資料、信託財産を証明する資料などが必要です。事前に委託者や受託者、ほかの家族とも話し合った上で内容を決めるようにしましょう。
2.信託契約を締結
信託契約書を作成したら公正証書で作成し、契約を締結します。あとで「思っていた内容と違う」とならないように、関係者が契約内容をしっかりと理解した上で締結してください。
3.信託財産の登記
信託契約を締結したら、信託財産の登記をします。例えば不動産の場合は、不動産の名義を委託者から受託者へと移すために、所有権移転登記と信託登記を行います。なお受託者は、自身の固有財産と信託財産とを分別し、委託者の信託財産を管理する必要があります。
4.信託用銀行口座の開設
預貯金を家族信託した場合には、信託用の専用口座を開設します。口座開設は必須ではありませんが、受託者は自分の財産と信託された財産を明確に分けて管理しなければならないため、口座を開設した方がよいでしょう。
家族信託の契約でかかる費用
家族信託の契約でかかる費用には、次のようなものがあります。
【公正証書の作成費用】
3000万~5000万円までで手数料2万9000円、5000万~1億円までで手数料4万3000円など(公証人手数料令第9条別表より。信託財産の額で異なる)
【不動産の登記費用】
土地:固定資産評価額×1000分の3
建物:固定資産評価額×1000分の4
ほかにも、司法書士や信託監督人や受益者代理人などへの報酬や証明書取得の費用(登記事項証明書、印鑑証明書など)がかかります。
家族信託の契約は自分でもできるが不安なら専門家に任せよう
ここで紹介したように、家族信託を自分で手続きすると、司法書士などに支払う費用を節約できるのでコスト削減が可能です。
ただし、家族の財産にかかわる大切な件なので、自分での手続きが少しでも不安な場合は、司法書士などの専門家に任せましょう。コストはかかりますが、問題なく手続きを進められます。
出典
一般社団法人家族信託普及協会 家族信託とは?
e-Gov法令検索 公証人手数料令
日本公証人連合会 手数料
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
監修:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー
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