「猶予を受けた国民年金保険料」を追納できる期間が終了間際の30歳会社員。老後の資金を考えるなら追納するべきでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2023年3月15日 1時10分
20代前半に国民年金保険料の納付猶予を受けている期間がある場合、追納できる期限が近づく30歳ごろになると、未納分の保険料の支払いについて悩まれる方もいるようです。国民年金保険料の未納期間がある30歳会社員が老後資金を考えたとき、追納すべきかどうかを検討していきます。
国民年金保険料の未納期間があることによる影響は?
学生や無職の方であっても20歳からは国民年金に加入し、保険料を毎月支払っていくことになります。また、公的年金を受け取るためには、保険料を納付した期間や猶予・免除を受けた期間などを合計して10年(120ヶ月)以上の受給資格期間が必要です。
仮に、10年の受給資格期間を満たしていたとしても、原則の65歳から満額の老齢基礎年金を受け取るには、国民年金の全加入期間となる40年(480ヶ月)分の保険料を支払わなければなりません。
学生時代に、国民年金保険料の学生納付特例制度によって保険料の納付を猶予されていた場合には注意が必要です。猶予期間は受給資格期間に含まれるものの、保険料を払っているわけではないため、国民年金の全加入期間で保険料を納付した場合と比べて将来受給できる年金額は減少します。
つまり、過去に国民年金保険料の納付猶予を受けていた方は、その期間の保険料が未納のままでは満額の老齢基礎年金を受け取ることはできないのです。
猶予を受けた国民年金保険料は10年以内なら過去にさかのぼって支払える
一度でも国民年金納付の猶予を受けて保険料が未納となっていた期間があると、将来受け取る老齢基礎年金を満額にできなくなるのかというと、そうではありません。
保険料の納付猶予や免除が適用された期間の国民年金保険料については、追納という制度によって後から支払うことで老齢基礎年金を満額にする、または満額に近づけることができます。
ただし、保険料を追納できるのは、追納が承認された月の前10年以内の期間となっています。また、猶予や免除を受けた期間の翌年度から3年目以降に追納する場合、経過期間に応じた加算額が当時の保険料に上乗せされます。
時間的な制限もあり、学生時代に納付の猶予を受けていた期間の国民年金保険料を30歳前後で追納すべきか悩む方もいるでしょう。
老後資金を考えたとき、保険料は追納すべき?
例えば、現在30歳で会社員の方が老後資金について考えたとき、過去に猶予を受けていた国民年金保険料を追納すべきかどうかは、個別具体的な状況によって異なります。とはいえ、悩んでいるのであれば追納しておくのが無難です。
追納した保険料は、全額が所得控除の対象になるので節税効果があります。また、国民年金は終身年金であるため、長生きすることを前提で考えると、追納によって受け取れる年金額を増やすことは老後の備えにもなります。
追納以外でも国民年金保険料を後から納めることができる
追納以外の方法でも、猶予などを受けていた期間の国民年金保険料を後から納めることはできます。
60歳までに受給資格期間を満たしていない、また国民年金保険料の納付済み期間が40年未満で満額の老齢基礎年金を受給できない場合、60歳以降65歳まで(受給資格を満たしていない場合は70歳まで)は国民年金に任意加入することができます。
また、厚生年金に加入している方は同時に国民年金にも加入しており、給与から支払われる厚生年金保険料には国民年金の保険料も含まれています。そのため、60歳以降も厚生年金に加入して働き続けることで任意加入のように国民年金保険料を支払い、満額までは老齢基礎年金の受給額を増やせます。
こうした点を鑑みると、これから結婚や子育て、住宅購入などでお金が必要となるであろう30歳前後では、無理に追納をすることはないともいえます。
国民年金保険料の追納は無理をせず、可能な範囲で行うべき
国民年金保険料を追納できる期限が近づくと、急いで追納すべきか悩んでしまうかもしれませんが、追納については無理に行う必要はありません。
60歳以降での国民年金への任意加入のほか、できるだけ長く厚生年金に加入して働くことで、追納ができる期間が過ぎても老齢基礎年金を満額まで増やすことができます。
人生100年時代といわれるものの、今があってこその老後です。学生時代に国民年金保険料の猶予を受けた期間があり、現在30歳前後で追納の期限が迫っている方は、無理のない範囲で追納について検討するようにしてください。
執筆者:柘植輝
行政書士
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