令和のパパたち、育休取得をためらってませんか? 国からの経済支援を解説!
ファイナンシャルフィールド / 2023年3月15日 3時30分
男性の育児休業(以下、育休)の取得に理解を示す企業が増えてきている反面、労働者側が収入の減少などを理由に育休取得をためらうということも起きているようです。 そこで令和のパパたちに向け、国から受けられる育休の取得や育休に関連する経済的支援のうち、注目すべきものを解説していきます。
育児休業給付金と出生時育児休業給付金
育児休業給付金とは、雇用保険に加入している方が1歳未満(1歳を超えても休業が必要と認められる一定の場合については最⾧で2歳未満)の子の養育のために育休を取得し、一定の条件を満たしている場合、180日までは最大で休業開始時賃金日額の67%相当額(181日以降は50%相当額)の支給を受けられる制度です。
また、2022年(令和4年)10月からは雇用保険の被保険者が産後パパ育休を取得する場合には、一定の要件を満たすことで出生時育児休業給付金として最大28日間、休業開始時における賃金日額の67%相当額が支給されます。
なお、これらの給付金は育休中に勤務先から給与を受け取ると一定の割合で減額、または支給を受けられないこともあります。実際に受け取れる金額がいくらになるのかは、勤務先の所在地を管轄するハローワークなどでご確認ください。
税負担の軽減
育児休業給付金は非課税のため、所得税(復興特別所得税含む)と住民税はかかりません。ただし、育休期間に勤務先から受け取る給与までが非課税になるわけではない点にご注意ください。
また、住民税は前年の所得を基に発生するため、育休中で収入がなくても前年の所得に応じて納税の必要があります。
社会保険料の負担軽減
産前産後休業中、育児休業中、産後パパ育休中は社会保険料(健康保険料、厚生年金保険料)が免除されます。
また、育児休業等の終了後、育児などを理由に報酬が低下し、実際の給与と社会保険料の算定基準となる標準報酬月額の金額に乖離が生じた場合には、保険者への申し出により変動後の給与を基準に社会保険料を算定し直すことも可能です。
さらに、3歳未満の子の養育期間中の標準報酬月額が、養育を始めた月の前月と比べて低下した期間については、将来受け取る年金額の計算の際、低下前の標準報酬月額を適用させることができます。
健康保険と厚生年金の免除など、上記の手続きは事業主を通じて行うため、詳細については勤務先へご確認ください。
なお、2019年(平成31年)4月1日からは国民年金第1号被保険者の方についても、届け出により出産前後の一定期間(出産予定日または出産日が属する月の前月から4ヶ月間)の年金保険料が免除されるようになっています。
窓口はお住まいの市区町村役場となり、出産予定日の6ヶ月前から届け出が可能です。
出産手当金
出産手当金とは、健康保険の加入者が産前産後休業の期間中、雇用主から給与を受けられない場合に原則1日当たり、通常の賃金の3分の2相当額が支給されるものです。手続きは事業主を通じて行います。
給与を受け取っていても産休前よりも少ない金額の場合は、通常の賃金の3分の2相当額を上限に、その差額分が支給されます。男性の育休の取得には直接は関係ないものの、こういった制度があることで育休取得をより現実的に考えられるようになります。
財形非課税貯蓄の特例措置
勤務先で財形年金貯蓄および財形住宅貯蓄を行っている場合、定期的な払い込みが2年間止まると、財形貯蓄のメリットである利子の非課税措置が適用されなくなります。
この点については勤務先を通じて所定の手続きをとることで、育休の取得などにより払い込みを2年以上中断しても、子が3歳に達するまでは非課税措置を受けて財形貯蓄が継続されます。
育児に伴う休暇には国による経済面の支援がある
育児期間に収入が低下したり、途絶えてしまったりすることを恐れて、育休の取得をためらってしまうという親に対して、国は多くの経済的支援策を用意しています。
支援制度などによって、すべての世帯で安心して育休を取得できるとは限りませんが、対象となる制度を確認してみると、意外と育休を取得しても生活していくことができるケースも多いようです。
育休取得に対する社会の理解が進み、経済的支援も充実しているのが令和の時代です。育休をためらっているパパたちも、取得について一度前向きに考えてみてはいかがでしょうか。
出典
厚生労働省 育児休業、産後パパ育休や介護休業をする方を経済的に支援します
執筆者:柘植輝
行政書士
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