「今60歳です。年金は何歳で受け取ると1番得ですか?」にFPがお答えします!
ファイナンシャルフィールド / 2023年3月19日 10時20分
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年金は基本的には65歳から生涯受け取ることが可能です。とはいえ、2022年4月の年金改正により、受け取り始める年齢を75歳まで遅らせられるようになり、60~75歳までの間で自ら受給開始時期を選べるようになりました。 自由度が高い分、自分は何歳から受け取れば良いのか迷う人も多いのではないでしょうか。本記事では、現在60歳の人が何歳から年金を受け取ると1番得をするのかについて検証しています。
受け取る年齢によってもらえる年金受給額は大きく異なる
年金は65歳よりも前に受け取り始めると基準となる金額よりも毎月の受給額が減り、遅らせると増えます。
具体的には、受給を早める「繰上げ受給」の場合、1ヶ月早めるたびに0.4%が減額され、例えば60歳0ヶ月から受け取り始めると、その減額率は24%です。一方、受給を遅らせる「繰下げ受給」では、1ヶ月遅らせるたびに0.7%が増額され、受給開始が70歳0ヶ月であれば42%、75歳0ヶ月であれば84%が増額率です。
平均余命でもらえる期間を考えよう
受け取れる年金額が増えるのであれば、できるだけ受給を遅らせたいところです。とはいえ、受け取り始めてすぐに亡くなってしまうと、ほとんど年金を受け取れなかったということになってしまいます。
そこで注目したいのが「平均余命」です。平均余命とは、ある年齢の人があと何年生きられるのかという期待値です。年金は生涯受け取れますので、年金を受け取り始めた時の平均余命が、そのまま年金を受け取れる期間の平均的な期間と考えてよいでしょう。
60歳・65歳・70歳・75歳ではどのように年金受給額の合計は変わるか
ここからは具体的に、今60歳の人が、現在・65歳・70歳・75歳で年金を受け取り始めた場合、それぞれ生涯でどれくらい年金を受け取れるのかについて見ていきます。
厚生労働省の「令和5年度の年金額改定についてお知らせします」によると、平均的な収入で40年間就業した場合に夫婦2人で受け取れる年金は月額で22万4482円です。このうち、夫のみの分で考えると、15万8232円となりますので、この額を基準とします。
この金額は65歳で受け取り始めた場合の金額です。65歳の男性の平均余命は厚生労働省の「令和3年簡易生命表(男)」によると、約20年です。そのため、生涯で受け取れる年金の金額は下記のとおりです。
15万8232円×12ヶ月×20年=3797万5680円
続いて、60歳の男性の場合を見てみましょう。60歳の男性の平均余命は約24年です。そして、60歳から年金を受け取ると、受け取れる年金は24%減額されます。よって、生涯で受け取れる年金の金額は次のようになります。
15万8232円×76%×12ヶ月×24年=3463万3820円
60歳から受け取ると、65歳よりも4年間受け取れる期間は増えるものの、毎月受け取れる年金額が減るため、生涯では約334万円少なくなることが分かりました。
70歳では平均余命は16年、増額率は42%、75歳では平均余命が12年で増額率は84%ですので、それぞれ生涯で受け取れる年金は下記のとおりです。
●70歳:15万8232円×142%×12ヶ月×16年=4314万372円
●75歳:15万8232円×184%×12ヶ月×12年=4192万5151円
ちなみに、同じ条件で60~75歳までで計算したところ、最も生涯で受け取る金額が大きかったのは72歳で4522万9035円、最も少なかったのは60歳でした。
図表1
受給開始年齢 | 生涯年金受給額 |
---|---|
60歳 | 3463万3820円 |
61歳 | 3528万7002円 |
62歳 | 3575万7900円 |
63歳 | 3604万6515円 |
64歳 | 3723万7432円 |
65歳 | 3797万5680円 |
66歳 | 3910万7355円 |
67歳 | 3992万035円 |
68歳 | 4041万3719円 |
69歳 | 4312万5182円 |
70歳 | 4314万372円 |
71歳 | 4283万6567円 |
72歳 | 4522万9035円 |
73歳 | 4444万6736円 |
74歳 | 4334万5441円 |
75歳 | 4192万5151円 |
日本年金機構 年金の繰下げ受給
日本年金機構 年金の繰上げ受給
厚生労働省 令和3年簡易生命表(男)を基に作成
まとめ
今回は平均余命を四捨五入し、また繰り上げと繰り下げも〇〇歳0ヶ月というきりがよい年齢で検証しました。もう少し細かく分析すれば、多少変わった結果も得られるかもしれませんが、おおよそ平均的に生きることができれば、70歳くらいで受けとれば最も金額が大きくなるようです。
とはいえ、年金を受け取りはじめるまでは貯蓄を切り崩したり働いたりして生活費を捻出しなければなりませんし、どれだけ生きられるかは誰にも分かりません。一人ひとりの価値観や生活状況に応じ、受け取る時期を考えていきましょう。
出典
日本年金機構 年金の繰下げ受給
日本年金機構 年金の繰上げ受給
厚生労働省 令和3年簡易生命表(男)
厚生労働省 令和5年度の年金額改定についてお知らせします
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
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