2023年4月から中小企業労働者の月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が引き上げに! 残業代はどのくらいになる?
ファイナンシャルフィールド / 2023年3月27日 0時20分
![2023年4月から中小企業労働者の月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が引き上げに! 残業代はどのくらいになる?](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_194353_0-small.jpg)
2023年4月から、中小企業労働者の月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が引き上げられる予定です。 これにより、大企業との間で存在していた割増賃金率の差が是正され、同じ基準が適用されることになります。しかしながら、割増賃金率が上がるといっても、具体的にどの程度変更になるのかピンとこない人も多いでしょう。 そこで本記事では、2023年4月から中小企業労働者の月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が、どの程度引き上げられるのかについて解説します。
中小企業労働者の時間外労働に関する現状と課題
労働者が時間外労働をした場合の割増賃金率は、労働基準法によって定められています。しかし、図表1のように中小企業と大企業の間で割増賃金率が異なっている点が問題視されていました。
【図表1】
1ヶ月の時間外労働時間 | 60時間以下 | 60時間超 |
---|---|---|
大企業 | 25% | 50% |
中小企業 | 25% | 25% |
同じように残業をした場合でも、中小企業勤務であれば残業代が少なく、手取りにも差が出ていました。
2023年4月からの改正労働基準法の概要
2023年4月からの改正労働基準法では、図表2のとおり、中小企業労働者が月60時間を超える時間外労働をした場合、割増賃金率が引き上げられます。大企業と同じ基準になり、60時間超の時間外労働に対する割増賃金率は50%になります。
【図表2】
1ヶ月の時間外労働時間 | 60時間以下 | 60時間超 |
---|---|---|
大企業 | 25% | 50% |
中小企業 | 25% | 25%→50% |
割増賃金率がこれまでよりも高くなるため、中小企業労働者の残業代も増加することになります。また、これまでとは残業代の計算式が変わるため、担当部署では対応が必要となります。
休日労働との関連性
月60時間を超える時間外労働が深夜に行われた場合、賃金がさらに加算されます。
・深夜割増賃金率25%+時間外割増賃金率50%=75%の割り増し
ただし、法定休日に行った労働時間は、月60時間の時間外手当の計算には含まれず、割増賃金率は35%です。法定休日以外の休日に行った労働時間は、時間外手当の計算対象となります。
法改正によって残業代はどのくらいになる?
では、労働基準法の改正により、残業代がどの程度変わるのかを計算します。図表3は毎月の残業時間が75時間、基本給+諸手当が40万円、1ヶ月平均所定労働時間数が160時間の場合です。
【図表3】
残業代 | |
---|---|
2023年3月31日まで | (40万円÷160)×1.25×75=23万4375円 |
2023年4月1日から | (40万円÷160)×1.25×60+(40万円÷160)×1.5×15 =24万3750円 |
このように、60時間を超えた時間外労働分は、時間外手当が引き上げられます。
労働基準法が改正される背景や影響とは
中小企業で時間外労働の割増賃金率が引き上げは、労働基準法の改正によるものですが、このような改正に至ったのには、どのような背景があるのでしょうか?
働き方改革の一環である
働き方改革とは、労働者それぞれが1人ひとりの事情に応じた柔軟な働き方を選択できる社会を実現するための、政府の取り組みです。2019年までは、時間外労働には上限時間が特に決められていませんでした。
そんな中、労働基準法の改正で、大企業は2019年4月から、中小企業は2020年4月から罰則付きの労働時間規制が導入されました。
そしてさらに2023年4月から、中小企業で時間外労働の割増賃金率が引き上げられます。労働者にとってよい職場環境を実現するために、働き方改革によってこのような改正が行われているのです。
業務効率化が求められる
これまでと同じように従業員が残業していては、企業にとっては人件費の負担が増えることになり、業務効率化・生産性向上に取り組まざるをえなくなるでしょう。
中小企業事業主に対して、「業務改善助成金」や「キャリアアップ助成金」といった、生産性を向上させ、労働時間を短縮するための取り組みに必要な費用の一部を助成する制度があります。詳しくは厚生労働省の「働き方改革特設サイト」を確認してみてください。
中小企業労働者の時間外労働割増賃金率引き上げは2023年4月から! 早めに業務効率化に取り組みましょう
2023年4月からの改正労働基準法において、中小企業労働者でも時間外労働の割増賃金率が引き上げられます。これに伴い、大企業との格差が是正され、同じ基準になります。
これまでと同じように働いていると企業は人件費の負担が増えますので、生産性の向上が求められます。国などが生産性の向上に取り組んだ企業を対象に助成する制度もありますので、企業としては活用しない手はありません。
中小企業の60時間超の時間外労働に対し、50%の割増賃金率が適用される改正労働基準法は2023年4月からです。少しでも人件費の負担を増やさないよう、生産性の向上に取り組むことが求められます。
出典
厚生労働省 2023年4月1日から月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が引き上げられます
厚生労働省 働き方改革特設サイト 時間外労働の上限規制
厚生労働省 働き方改革特設サイト 助成金のご案内
厚生労働省 「働き方改革」の実現に向けて
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
令和6年度厚労省調査で、男性の約3割が育児休業期間は「半年以上取得したい」と回答 約6割が就職活動中の企業の選択に当たっては「育児休業取得実績」を重視と回答
PR TIMES / 2024年7月31日 18時15分
-
「働き方改革」が始まってから収入が減っています。むしろ増えると思っていたのですが、なぜ収入が下がっているのでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年7月28日 8時40分
-
年収が400万円→360万円に下がって「あり得ない」と落ち込む33歳の彼氏…年収はアップすることが当たり前なのでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年7月27日 2時30分
-
営業職ですが、転職先が「みなし残業代」を支給しています。残業代が支払われるなら、必ず“金額分”は働く必要がありますか? 定時で帰宅したら「残業代」は減るのでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年7月18日 10時10分
-
部署異動で「営業部」に配属されましたが、給与が「みなし残業制」になるそうです。何もなければ、残業せず早く帰っても問題ないのでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年7月6日 5時0分
ランキング
-
1【夏の体臭ケア】50代女性もクサい?今すぐできる「夏の臭い対策」5つ!
ハルメク365 / 2024年8月3日 14時50分
-
2メルカリは米国市場に見切りをつけるのか? 赤字続きでついに現地で100人レイオフ(小林佳樹)
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年8月3日 9時26分
-
39000円と16万円「炊飯器」を徹底的に比べてみた アイリスオーヤマVS象印、価格差は17倍以上
東洋経済オンライン / 2024年8月3日 9時30分
-
4パリ五輪「誹謗中傷やめない人」の驚く"思考回路" 「嫌ならSNSやめろ」と言う人に知ってほしいこと
東洋経済オンライン / 2024年8月3日 10時0分
-
5女性から自然と「好かれる/嫌われる男性」に共通している“6つの特徴”
日刊SPA! / 2024年7月28日 8時52分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/point-loading.png)
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)