年金を払わないと「450万円の損」!?「差し押さえ」などのデメリットを解説

国民年金の保険料を支払うことは国民の義務です。しかし、支払う能力があるにもかかわらず、保険料を納付していない人もゼロではありません。   国民年金の保険料を納付しない場合、将来年金を受け取れないだけでなく、他にも多くのデメリットがあります。本記事では国民年金の保険料を支払わないことによるデメリットについて解説しています。

国民年金の保険料を支払わないと、収支としても損をする可能性が高い

国民年金の保険料を支払わない人の中には、「払っても結局損になる」と考えている人もいるかもしれません。たしかに、年金を受給し始めてすぐに亡くなってしまうと、支払った保険料を回収できないでしょう。
 
しかし反対に、年金は生涯受け取れるため、長生きすればするほど得をするともいえます。平均的なケースで考えてみましょう。
 
国民年金は20～60歳まで国民全員が加入し、一律で保険料は月額1万6590円です（令和4年度）。加入期間である40年間、480月保険料を納付すると、支払った保険料の総額は、1万6590円×480月＝796万3200円となります。
 
一方、日本の男性の平均寿命は最新では81歳です。年金は基本的には65歳から受け取れ、金額は令和4年度の満額で年間77万7800円です。65～81歳までの16年間受け取ると、受給した年金の総額は、77万7800円×16年＝1244万4800円となります。
 
つまり、しっかりと保険料を負担し、平均寿命まで生きれば、支払った保険料よりも受け取る年金の方が448万1600円多いということです。
 

国民年金の保険料を支払わないことによるデメリット

支払った保険料と受け取る年金の関係以外にも、国民年金の保険料を支払わないと多くのデメリットがあります。いくつか見ていきましょう。
 

財産が差し押さえられる可能性がある

国民年金の保険料支払いは納付月の翌月末までですが、そこを過ぎると保険料の滞納扱いとなります。
 
そのままにしておくと、催告状が届き、さらに無視していると電話や戸別訪問による催促がなされることもあります。そして、そのまま放置し続けると、最悪財産を差し押さえられてしまうかもしれません。
 

亡くなったり障害を負ったりした場合の保障がない

国民年金の役割は老後の収入だけではありません。国民年金を払っている人が障害を負った場合には障害年金が、亡くなった場合には遺族に年金が、要件を満たしていれば支払われます。
 
しかし、国民年金を払っていなければ、これらの保障は受けられません。ちなみに、払えない場合でも免除や猶予など所定の手続きをしていれば、これらの保障が受けられますので、払えないからといってそのままにしておかず、手続きをしておきましょう。
 

長生きに対応できない可能性がある

支払った保険料よりも受け取る年金の方が約450万円多いなら、「自分で450万円分貯蓄しておけばいい」と考える人もいるかもしれません。しかし、450万円で収まるかどうかは誰にも分かりません。
 
人は何歳まで生きるか分かりませんが、年金の良いところは「生涯受け取れる」という点です。すなわち、「貯蓄」というよりも長生きに対応する「保険」としての機能こそが、年金の本質です。
 

 

国民年金の保険料はしっかり支払い、厳しいなら各種手続きをしよう

国民年金は支払わないと将来損をする可能性が高いばかりか、差し押さえなどのリスクもあります。
 
経済的な理由により支払えない場合には、保険料の納付を免除や猶予する仕組みもあります。期限までに支払うか、どうしても厳しければ所定の手続きを行いましょう。
 

出典

日本年金機構 国民年金保険料
厚生労働省 令和3年簡易生命表の概況 1 主な年齢の平均余命
日本年金機構 老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額
 
執筆者：FINANCIAL FIELD編集部