新制度である「NISAの抜本的拡充・恒久化」とはどんな内容? 現行からどう変わる?
ファイナンシャルフィールド / 2023年3月29日 7時20分
現行NISAは、少額投資ができる非課税制度として、2014年1月から開始されました。NISAに興味があるけれども、非課税になる金額や期間が決められていることで、あまりメリットを感じていなかった方には朗報があります。 2024年からNISAは制限が撤廃され、使いやすい制度として生まれ変わります。本記事では現行NISAについておさらいするとともに、新しいNISAに関する情報を提供しています。少額投資に興味のある方は、ぜひ参考にしてください。
NISAとは
イギリスには、ISAとよばれる個人貯蓄口座(Individual Savings Account)の制度があります。金融庁は、この制度を参考にして日本版ISA(Nippon Individual Savings Account)として、2014年にNISAをスタートさせました。
新しいNISAの解説をする前に、まずは現行NISAの制度概要やNISAの種類について解説します。
NISAの仕組み
一般的に、株式投資や投資信託などで得た利益や配当には約20%の税金がかかりますが、NISA口座を開設してその口座内で運用して得た利益については、一定の条件の下で非課税となります。そのため、NISA口座は非課税口座ともよばれています。
現行NISAには以下の3種類があり、それぞれ運用枠や非課税期間に違いがあります。
・一般NISA
・ジュニアNISA
・つみたてNISA
上記3種類のNISAについて、それぞれの違いを解説します。
NISAの種類
3つの現行NISAの違いは、図表1をご覧ください。
【図表1】
一般NISA | ジュニアNISA | つみたてNISA | |
---|---|---|---|
利用可能な人 | 日本に居住する20歳以上の方 (口座を開設する年の1月1日現在) 2023年は18歳以上が対象 |
日本に居住する0歳~19歳の方 (同左) 2023年は0~17歳が対象 |
日本に居住する18歳以上の方 (同左) |
非課税対象 | 株式・投資信託などへの投資から得られる配当金・分配金や譲渡益 | 一定の投資信託への投資から得られる分配金や譲渡益 | |
口座開設可能数 | 1人1口座※1 | 1人1口座 | 1人1口座※1 |
非課税投資枠 | 新規投資額で毎年120万円が上限(最大600万円) | 新規投資額で毎年80万円が上限 | 新規投資額で毎年40万円が上限(20年間で最大800万円) |
非課税期間 | 最長5年間 | 最長20年間 | |
投資可能期間 | 2014年~2023年 | 2016年~2023年 | 2018年~2042年 |
※1 NISA口座を開設する金融機関は1年単位で変更可能。NISA口座内で、一般NISAとつみたてNISAを1年単位で変更可能。ただし、つみたてNISAですでに投資信託を購入した場合、その年は他の金融機関または一般NISAに変更できない
出典:金融庁「NISAとは?」より筆者作成
一般NISAとジュニアNISAの投資可能期間は2023年までで、2024年以降は新しいNISAに切り替わります。なお、現行つみたてNISAの非課税期間は、2042年まで変更なく継続されます。
「NISAの抜本的拡充・恒久化」とは
金融庁では、2024年以降の新しいNISAの特徴を「NISAの抜本的拡充・恒久化」と表現しています。抜本的拡充化と拡充の具体的な内容は、以下のとおりです。
・つみたて投資枠と成長投資枠を新設、併用が可能
・年間投資枠の拡大(合計最大年間360万円)
・非課税保有限度額を全体で1800万円まで拡充
・非課税保有期間の無期限化
・口座開設期間の恒久化
新しいNISAの特徴
2024年からNISAは、一般NISAとジュニアNISAに替わって、つみたて投資枠と成長投資枠の2つが新設されます(併用可能)。新しいNISAの特徴は、図表2をご覧ください。
【図表2】
つみたて投資枠 | 成長投資枠 | |
---|---|---|
対象年齢 | 18歳以上 | |
投資対象商品 | 長期積立・分散投資に適した一定の投資信託(現行つみたてNISAと同じ) | 上場株式・投資信託など |
年間投資枠 | 120万円 | 240万円 |
非課税保有期間 | 無期限化 | |
非課税保有限度額 | ・合計で1800万円(成長投資枠は内1200万円まで) ・簿価残高方式で管理(枠の再利用が可能) |
|
非課税保有限度額 | 恒久化 |
出典:金融庁「新しいNISA」
新しいNISAと現行NISAの比較表
新しいNISAと現行NISAの相違点は図表3でご確認ください。
【図表3】
現行NISA | 新しいNISA(2024年~) | |
---|---|---|
種類 | ・つみたてNISA ・一般NISA(つみたてNISAとの選択制) ・ジュニアNISA |
・つみたて投資枠 ・成長投資枠 ※併用可能 |
年間投資枠 | ・つみたてNISA:40万円 ・一般NISA:120万円 ・ジュニアNISA:80万円 |
・つみたて投資枠:120万円 ・成長投資枠:240万円 |
非課税保有期間 | ・一般・ジュニアNISA 最長5年 ・つみたてNISA 最長20年 |
無期限 |
口座開設期間 (投資可能期間) |
・一般・ジュニアNISA ~2023年 ・つみたてNISA ~2042年(新規買付は2023年まで) |
2024年から恒久化 |
出典:金融庁「NISAとは?」「新しいNISA」より筆者作成
新しいNISAは現行制度の制限を撤廃して使いやすくした制度
現行の一般NISAとジュニアNISAは、当初から2023年までの口座開設期間が定められていました。そのため、2024年から「NISAの抜本的拡充・恒久化」をキャッチフレーズとして新しいNISAが開設されます。
キャッチフレーズのとおり、非課税は無期限、口座は恒久的に利用できます。また、年間の投資枠も大幅に拡充される予定です。投資に興味がある方は、少額から始められる非課税のNISAを検討してみてはいかがでしょうか。
出典
金融庁 NISAとは?
金融庁 新しいNISA
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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