フリーランスですが、親に「年金は厚生年金のほうがいい」と言われます。国民年金とどんな違いがありますか?
ファイナンシャルフィールド / 2023年3月28日 23時20分
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自営業者などの会社に雇用されていない人は、自分で国民年金の保険料を納めることになります。しかし、国民年金だけでは将来の年金額に不安を感じる人も多く、親から「会社員になって厚生年金に加入しなさい」といった提案を受けるケースもあるでしょう。 本記事では、厚生年金に加入すると金額がどれくらい異なるのか、詳しく説明し、メリットやデメリットの違いについても紹介します。
金額のちがい
ここでは両者の金額について解説します。
・国民年金だけに加入
日本の公的年金は2階建ての構造になっており、その1階部分にあたるのが国民年金です。免除などの措置を除くと、支払う保険料は誰でも共通となっています。
ただし、保険料の月額は毎年見直され、2021年度は1万6610円で2022年度は1万6590円でした。一方、受給額は納付の期間などによって個人差があります。1ヶ月あたりの満額も年によって異なり、2021年度が6万5075円で2022年度が6万4816円です。
なお、厚生労働省は「厚生年金保険・国民年金事業の概況」という資料を作成しており、2023年3月15日時点の最新版は2021年度のものです。それによると、2021年度末の時点で、受給者は約3300万人で平均月額は5万6479円でした。
・厚生年金にも加入
公的年金の2階建て構造のうち、2階部分に該当するのが厚生年金です。保険料は給与に依存するため、金額は人によってさまざまです。標準報酬月額に保険料率を乗じ、その金額の半分を納めることになります。残りの半分は事業主が支払う仕組みです。標準報酬月額が20万円の場合、保険料率が18.3%ならば保険料は3万6600円で、半分の1万8300円を納付することになります。
基本的には、厚生年金の保険料に国民年金の分も含める形で給与から天引きされます。上記の資料によると、受給に関しては、2021年度末の時点で約1562万人が対象です。平均月額は14万5665円で、これには国民年金の受給額も含まれています。
メリットのちがい
メリットに関して、国民年金のみに加入するケースと、厚生年金と両方に加入するケースを比べた場合、前者が有利な点は多くありません。国民年金基金に加入できるのは、国民年金の第1号被保険者だけです。
しかし、これはメリットではなく、フリーランスや自営業者に対する救済措置といえます。厚生年金の代わりに、年金の2階部分として受給の増額が可能です。
一方、後者のケースについては、国民年金のみへの加入と比べ基本的に受給額が多いという以外にも、配偶者を自分の被扶養者にできるというメリットがあります。配偶者は国民年金の第3号被保険者として扱われ、保険料の納付免除が可能です。また、前述のように事業主と保険料を折半できるなど、厚生年金の加入者本人も出費をおさえやすくなっています。
デメリットのちがい
国民年金のみに加入するデメリットは受給額が少ないことです。受給の平均月額は、厚生年金にも加入しているケースを大きく下回ります。資産運用や再雇用など、別の手段で老後の生活資金を確保することも、早めに視野に入れたほうがよいでしょう。
なお、厚生年金に関して多いのは、扶養の範囲でパートもしていた人が、収入が増えて勤務先で被保険者になるパターンです。この場合、給与の天引きで保険料が自動的に納付されるため、以前より手取りが減ってしまうことも珍しくありません。受給額が増えるので損はしておらず、明らかなデメリットとはいえませんが、現状の生活で自由にできるお金が減るというリスクに注意が必要です。
ちがいを十分に理解してから判断しよう
国民年金だけでなく、厚生年金も受け取れると生活に余裕が生まれやすいので、親が加入を勧めることには妥当性があります。とはいえ、現在自営業の人が実際にそうするなら、自営業を廃業して就職するなど、人生に大きな変化が生じやすいです。
新しい仕事が自分に合わず、長続きしないなら恩恵は大きくありません。よって、国民年金だけの場合と何が異なるのか、よく理解した上で慎重に判断しましょう。
出典
日本年金機構 国民年金保険料
日本年金機構 令和4年4月分からの年金額等について
厚生労働省 厚生年金保険・国民年金事業の概況
厚生労働省 令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況
日本年金機構 厚生年金保険の保険料
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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