退職金が「2230万円」でも使い方次第で「老後破産」に!? 避けるべき使いみちを解説
ファイナンシャルフィールド / 2023年3月30日 10時30分
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長年勤めた会社を定年退職した際に、退職金を受け取る人も多いと思います。しかし、使い方によっては、退職金をあっという間に枯渇させてしまうかもしれません。 本記事では、退職金の避けるべき使い方と、老後破産とならない方法を解説していきます。
避けるべき退職金の使い方
入社してから定年退職するまで勤務した場合の退職金の平均額は、大企業だと大学卒で約2230万円、高校卒で約2018万円。中小企業だと大学卒で約1092万、高校卒で約994万円です。
大企業と中小企業では平均額に1000万円ほどの差があるものの、それでも約1000万円以上の退職金を受け取れます。
大きな額の退職金ですが、使い方次第では予想以上に目減りし、場合によっては枯渇してしまいます。退職金の避けるべき使い方は次の2つです。後悔しないためにも、どのような使い方がよくないのか、理解しておきましょう。
不必要な出費
1つ目は不必要な出費、つまり浪費です。まとまった退職金を受け取ると、つい気持ちがゆるんでしまい、定年までがんばった自分にごほうびを与えたくもなります。
しかし、ここで不必要な出費をしてしまうのは危険です。特に、次のような支出には気を付けたいところです。
・自動車の購入
・自宅のリフォーム
・住宅ローンの一括返済
自動車の購入や自宅のリフォームも、必要があれば実行するべきです。ただし、必要がないのに「退職金が入ったから使う」などの安易な理由であれば、一度立ち止まって考える必要があるでしょう。
また住宅ローンの一括返済は、利息を減らせるメリットがありますが、ローンを組む際に「団体信用生命保険(団信)」への加入が一般的です。団信に加入すれば、被保険者が死亡や高度障害になった場合に、残りのローン残高がゼロになります。
団信に加入している場合、住宅ローンは生命保険の役割も担っているため、現在の資産状況を把握した上で、一括返済を検討しましょう。
リスクの高い投資
リスクの高い投資とは、主に次の2つです。
・退職金の一括投資
・レバレッジをかける投資
退職金の一括投資は、年金で生計を立てる人には大変危険です。まとまった退職金が振り込まれると、取り引きしている金融機関から投資をすすめられるケースはよくあります。
金融機関から「年金の代わりになる」といわれて、金融商品を一括で購入したものの、後に商品の価値が大幅に下落してしまって、資産の大半を失うこともあり得ます。
レバレッジとは「てこの原理」の意味で、投資では自己資金以上の額で取り引きすることを意味しています。
レバレッジをかけると、少ない資金でも大きなリターンが得られる機会がありますが、その分、損失も大きくなります。レバレッジをかける投資に退職金を使うのはおすすめできません。
レバレッジをかけられる投資商品は「外国為替証拠金取引(FX)」「先物取引」「不動産投資」「暗号資産」などに関連したものが多いです。どうしてもレバレッジをかけて投資したい場合は、極力レバレッジを低く設定して投資しましょう。
退職金の有効な使い方
退職金の避けるべき使い方として、「不必要な出費」と「リスクの高い投資」について解説しました。では、老後の生活を豊かにする退職金の使い方は何でしょうか。
まずはライフプランを練り、今後必要な支出をリストアップすることです。「3年後に100万円の自動車を購入する」「2年後に予算20万円で家族旅行をする」など、当面分かる範囲で構いません。
リストアップすることで退職金がどのくらい減少するのかが明確になり、余裕のある資金を把握できます。そして、余裕のある資金で比較的リスクの低い商品で投資を開始します。
定年後の投資は、決していけないわけではありません。人生100年時代といわれている今、定年後の生活も数十年続く見込みです。
長生きすればそれだけ老後資金がかかるため、貯蓄だけでは老後資金は不足しがちです。そのために、退職金を有効に運用して資産の目減りを少しでも遅らせることは、有効な退職金の使い方といえるでしょう。
定年後の投資で意識することは「増やす」のではなく、「減らさない」ことです。そのために投資の基本である「長期投資」「積み立て投資」「分散投資」を意識して行いましょう。
退職金は計画的に活用しましょう
退職金の避けるべき使い方は「不必要な出費」と「リスクの高い投資」です。有効な使い方は、初めに今後必要になる支出をリストアップし、その上で余裕のある資金をリスクの低い商品で投資することです。
定年後は現役時代よりも収入の減る人が多いのが現実です。老後資金を枯渇させないためにも、計画的に退職金を使いましょう。
出典
厚生労働省(中央労働委員会) 令和3年賃金事情等総合調査(確報)
東京都産業労働局 中小企業の賃金・退職金事情(令和4年版)
執筆者:辻本剛士
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士、宅地建物取引士、証券外務員2種
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