【2023年4月から】「雇用保険料」が高くなる!?「手取り25万」は4月から「約310円」の負担増に!
ファイナンシャルフィールド / 2023年3月29日 23時20分
厚生労働省は雇用保険料を2023年4月から引き上げると公表しました。食品をはじめとした物価の値上げに歯止めがかからず、生活が苦しいご家庭も多いでしょう。保険料引き上げの背景には何があるのでしょうか。 ここでは、引き上げはどんな内容なのか、また、負担が増えるのは具体的にどの程度の金額になるのかについて考えます。
そもそも雇用保険とは?
雇用保険は社会保険の1つとして位置づけられ、労働者の生活や雇用を守るための制度です。雇用保険料は育児や介護で休業する際に支給される「育児休業給付」「介護休業給付」、また、失業した際に支給される「求職者給付」などの財源として積み立てられています。保険料は事業主と従業員の双方で負担しており、従業員の保険料は、給料から天引きされます。
雇用保険の保険料改定の内容と負担増はどのくらい?
それでは、保険料改定の内容と具体例からどのくらい保険料金額が変わるのかについて考えましょう。
・2023年4月から制度はどう変わる
新型コロナウイルス感染症の拡大によって失業者が増加し、求職者給付が増加しました。このため、国は雇用保険の財源が不足しないよう2022年度に雇用保険料率を引き上げており、さらに、2023年4月から引き上げることになったのです。
厚生労働省の「令和5年度の雇用保険料率」にもとづき、2023年4月以降に適用される業種ごとの労働者及び事業主が負担する保険料率を以下に示します。なお、かっこ内の数値は2022年10月から2023年3月まで適用される保険料率です。
図表1
厚生労働省 令和5年度雇用保険料率のご案内を基に作成
どの業種においても、2023年4月からはそれ以前と比較して、労働者、事業主ともに0.1%ずつ保険料率がアップしています。多くの企業は「一般の事業」に該当し、「農林水産・清酒製造の事業」「建設の事業」以外のすべての業種です。
なお、園芸サービス、牛馬育成、酪農、養鶏、養豚、内水面養殖及び特定船員を雇用する事業は、一般の事業の率が適用になります。
・25万円の場合はどのくらい保険料が変わるの
従業員が負担する雇用保険料は、毎月の賃金総額(賞与を含む)に雇用保険料率を乗じて算出し、給与から控除されます。ここでいう賃金総額は、いわゆる手取り額ではなく、基本給、家族手当、扶養手当、管理職手当、住居手当、通勤手当など通常業務に関連し安定的に支払われる手当等をすべて含みます。なお、一時的に支払われるものは含みません。
それでは、2023年4月前後でどのくらい保険料が変わるのでしょうか。一般の事業の従業員で手取りが25万円の場合、賃金総額は約31万円になるとして計算してみます。
2023年4月以前31万円×0.5%=1550円
2023年4月以後31万円×0.6%=1860円
以上のように310円ほど負担額が増えます。なお、新しい雇用保険料率が適用されるのは、2023年4月1日以降に支払義務が確定した賃金が対象です。このため、4月に支給される2023年3月分の給与は0.5%が適用されます。
制度の対象者はどのような人?
雇用保険は、1人でも従業員を雇用する適用事業所であれば、事業主や従業員の意思にかかわらず雇用保険の加入が必要になります。なお、31日以上の雇用が見込まれない場合や、週の所定労働時間が20時間に満たない場合、学生の場合は雇用保険に加入する必要ありません。
週20時間以上の所定労働時間があり、31日以上の雇用が見込まれる高齢労働者も2020年4月以降は雇用保険へ加入させることを義務づけています。さらに、適用事業所に雇用される日雇い労働者も、労働者自ら職業安定所で加入手続きを行えば、日雇労働被保険者として雇用保険の適用を受けることができます。
雇用保険制度を効果的に活用しよう
ここまで2023年4月の雇用保険の保険料率引き上げについてみてきました。育児や介護のため一時的に休職する場合には、雇用保険から育児休業給付や介護休業給付などを受けることができます。また、すでに知っている人も多いと思いますが、従業員が失業した場合は、雇用保険の被保険者期間や給料額に応じた失業手当を受けることができます。
離職理由などによってちがいますが、失業手当は約3ヶ月後から1年間受けることができます。また、就職のための知識、スキルの習得や資格取得のための職業訓練も受けることができます。このように雇用保険は働く人の生活や雇用のための頼りになるセーフティネットです。雇用保険制度をよく知った上で、必要な際には忘れることなく効果的に活用しましょう。
出典
厚生労働省 令和5年度雇用保険料率のご案内
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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